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ビジネス創出組織立ち上げで乗り越えるべき課題と事例

こんにちは!株式会社NTTデータのデザイナー集団「Tangity」で、デザイナーをやっています稲田です。

新規ビジネス創出組織を運営している方と普段の業務で、お話しする機会があるのですが、よくこんな話を聞きます

「本や研修で知識は得ていたが、活動の進め方、アイディアの質についての課題に気付けず、実務上うまく進められなかった。」

「活動を始めて少し経過した頃から、アイディアに本人の想いや当事者意識が無くなっていった。」

どの運営者の方も、組織の立ち上げ後からお困り事が多い様子でした。

私たちは、これまで様々な組織の営みを調査・分析してきました。
その結果、立ち上げ時につまずく、いくつかのポイントがあることが分かりました。
このポイントにつまずくと、様々な課題が発生し、その対応に追われることで、ビジネス創出に注力できなくなってしまいます。

今回の記事では、このポイントにつまずくと、組織はどのような状態になってしまうのか?を実際の事例を交え、1つずつご紹介していきますので、皆さまの新規ビジネス創出活動にお役立頂ければと思います。

モデルケースの新規ビジネス創出組織について

今回実例として紹介していく組織ですが、新規ビジネス創出活動を始めたきっかけは、これまで自分たちが強みとしていた製品・サービスがコモディティ化したため、新たな強みとなる製品・サービスを生み出そうと考えたのが始まりでした。

この組織の運営者の方は、自身は新規ビジネス創出活動の経験があるものの、新規ビジネス創出組織の管理は初めてという方でした。また、組織のメンバたちは公募によって集められ、やる気は十分だが、スキルはない方が多いといった状態でした。

読者の方の中には、似たような状態で、チームや組織を立ち上げ、活動を始めようとしている方もいるのではないでしょうか?

ここから、上記のような状態で活動を始めた場合につまずくポイントを、3つご紹介していきたいと思います。

つまずきポイント1「Willの有無」

Willとは、自分の作りたい世界や解決したい課題への熱意や、やる気のことです。Willが無い・足りていないとどのようになるのか、どの様に対策を取るのかといったところは、過去の記事「新規ビジネス創出で一番大切なコト」で挙げていますので、そちらをぜひご参照ください。

モデルケースの組織では、以下のような状態で活動を続けている状態でした。

図. Willの有無分析結果

メンバは、アイディアをガムシャラに出すものの、その内容が表面的なものになっていたり、上手く説明できなかったり、指摘を受けると諦めてしまったりということが続きました。ビジネスにつながりそうにない活動に、メンバのモチベーションは徐々に減退し、ビジネス創出活動そのものが停滞してしまいました。

運営者は、

「やる気があるメンバが集まってきたはずなのに、なぜ行動が伴わないんだ?」

と疑問を抱いていました。

このつまずきを事前に予防するためには、Willを見つけ、Willを育てることのできる施策が必要です。
この施策の対象は、メンバだけでなく、運営者も含めましょう。チームや組織内で、「Will」を共通認識にすることで、日常のフォローで利用できたり、ビジネスアイディアを評価・審査する判断基準にも利用できるようになります。

私たちはこの組織に対して「♥思考研修」という研修を提供しました。

この研修を受けたメンバは、自分の想いや考えに向き合えるようになり、想いの込もったアイディアが沢山出てくるようになりました。

つまずきポイント2「知見・経験の有無」

組織・チーム内での経験や専門性の有無、運営者、上席者の理解の有無が2つめのつまずくポイントになります。
具体的には、

  • メンバ、運営者、上席者がそれぞれ新規ビジネス創出の知識や経験があるか?

  • メンバはアイディアを数多く発想するスキルや、顧客や市場のニーズ・動向を把握し・分析するスキルを持っているか?

  • 運営者、上席者はメンバとビジネスアイディアの状態・状況を理解するため、定期的に相談の場を設けているか?

  • 運営者、上席者は、メンバの挑戦を歓迎し、失敗を許容しているか?

というところから判断します。

ある組織では、運営者、上席者の知識や経験が高い一方で、メンバはユーザ視点や市場、業界動向の把握・分析結果からビジネスアイディアを数多く出せるスキルを持っていない状況でした。

図. 知見・経験の有無分析結果

この状態で創出されたアイディアは、背景や深みを持たない、いわゆる思い付きのアイディアとなっていました。

アイディアに対する運営者の意見やアドバイスは、

「面白そうだけど全然考えられてないアイディアが出てきたな」、「ターゲットの市場が狭そうだ」、「競合が多そう」

という状態でした。

このつまずきを事前に予防するためには、様々手段を用いることができます。

  • ビジネス創出活動の書籍やガイドブックを活用し知識得る

  • ワークショップやイノベーションを起こしている企業への出向などで実践経験を積む

  • 市場・業界動向を把握・分析手段を用意する

  • メンバと運営者間の相談の場を整える

などが必要になってくるでしょう。

ビジネス創出組織を立ち上げたばかりですべてを準備していくのは難しいと感じるようであれば、専門家や有識者の伴走支援を入れることで、対策を図っていくという方法もあります。

私たちは、この組織に対して、これまでのビジネス創出活動経験を元に作成したガイドラインを提供したうえで、伴走支援を行いました。

これによって、メンバは一定の道筋で活動が行えるようになり、アイディアや活動の質も徐々に上がっていきました。

つまずきポイント3「ネットワークの有無」

新規ビジネス創出活動は、不確実な事柄に対して、失敗を繰り返しながら進めることが多くなります。そのなかで行き詰った時に悩みや相談を受けるメンター、活動やアイディアに対して気付きや助言を与えるコーチの存在が必要です。また、不確実なニーズや課題などの情報に確からしさをもたらす顧客とのつながりが重要となってきます。
これらは

  • メンバに対して、専門的な立場から指導できる存在がおり、コーチングできているか?

  • メンバの困難に寄り添い、精神的なサポートができる存在がおり、メンタリングできているか?

  • 顧客へ直接ニーズや課題などを、直接収集できているか?

というところから判断します

ある組織の例ですが、

図. ネットワークの有無分析結果

顧客情報は、別組織を経由することで得られていたものの、活動の進め方についてアドバイスを行える人員が不足していたり、困りごとや不安を解消するためのメンター役がいなかったりと、メンバが孤立しやすい状態でした。

メンバはアイディアの深掘りや新たな気付きを得られず、かつ不安を抱えたまま活動をすすめていたので、誰かに自信を持ってアイディアを話すということができない状態でした。

運営者は、

「なぜこんなにもアイディアや活動の相談がこないんだ」

と頭を悩ませていました。

このつまずきを事前に予防するためには、組織内で経験者と未経験者をペアリングし、コーチングできる体制にしたり、メンター制度を導入することでフォロー体制を厚くすることが理想です。

私たちは、2つ目のポイントでご紹介した伴走支援の中で、メンバ共にアイディアを徐々に洗練させていく「壁打ち」を実施しました。
壁打ちを受けたメンバはアイディアだけでなく、アイディアの伝え方についても、徐々に上達していきました。

おわりに

今回は3つのつまずきポイントとその事例をご紹介しました。
記事でご紹介したポイントや、その対策についての詳しい方法についてはこちらのページからお気軽にお問い合わせください。

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