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このサービス、本当に世に出して大丈夫? サービス商用化を判断するためのユーザー調査のポイント

こんにちは!株式会社NTTデータのデザイナー集団「Tangity」の内野です。主にリサーチを担当しています。

新サービスを「世に出すか」「商用化に向けた予算を確保すべきか」を最終判断するときは、ユーザー調査を実施して、ユーザーに本当に受け入れられるサービスであることを裏付けることが重要です。

ユーザー調査には、以下の2種類があります。

・選択回答形式のアンケートなどを通じてユーザーの回答を収集する「定量調査」
・インタビューなどでユーザーと直接意見や感想を交わしながら回答を収集する「定性調査」

商用化するかどうかの判断材料が欲しいときは、どちらの調査方法を採用したほうがよいのでしょうか。

「このサービスを、こんなに多くのユーザーが利用したいと思っている」
「だから、商用化する価値がある」
といった内容を事業計画書に盛り込みたいのであれば、ユーザーの利用意向の高さを量的に証明できる定量調査一択です。定性調査のみですと「それって、一部の人たちの主観的な意見ですよね」と商用化を判断する上層部から一蹴されてしまう可能性があります。

では、商用化を判断する段階では定性調査は不要なのでしょうか。答えはNoです。
今回の記事では、新サービスの商用化につなげるための、定性調査の活用方法について書きたいと思います。

1. アンケート調査の選択肢では拾えないユーザーの本音を聞く

定量調査は、Webアンケートでの実施が一般的です。
アンケートは、「はい/いいえ」や「1~5の選択肢のなかから1つを選ぶ」といった、明快に回答できる設問で構成されている場合が多いです。このため、ユーザーが選択肢にはない意見をもっていた場合、それを回答として収集するすべがありません(自由記述欄を設けても、自分の本音をわかりやすく丁寧に記述するユーザーはほとんどいません)

それに対して定性調査では、選択肢の制約を受けることなく、設問に対するユーザーの本音を自由に聞き出すことができます。定性調査で得たユーザーの声を、商用化に向けてサービスを改善するときのインプット情報として活用できます

2. アンケート調査で選択肢を選んだ理由について聞く

定量調査において、サービスの利用意向が、若年層とシニア層のどちらも60%という結果が出た場合、「若年層とシニア層のどちらにもそこそこ受け入れられるサービスである」といった結論を出しがちです。しかし、実際にサービスを世に出してみたとき、どちらか一方の層にはほとんど受け入れられなかったといったことがあります。

定量調査では、ユーザーがサービスを利用したいと思った背景や、どの程度強く利用したいと思っているかについて、明確に特定することができません。
「なくても良いけれど、利用してみたい」も「自分の悩みや困りごとが解決されるため、積極的に利用したい」も、同じ「利用したい」としてカウントされます。

定量調査で利用意向の高さが若年層とシニア層で同じくらいでも、定性調査でそれぞれにインタビューしてみたところ、シニア層のほうが切実にサービスを必要としていることが分かった場合、商用化を判断する上層部に対して以下のようにアピールできます。

商用化にあたっては、シニア層をメインのターゲットに据えて、シニア層に向けてサービス設計を見直したり、プロモーションを実施したりするほうが成功の確度が上がります

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3. サービスの使い勝手や見た目の印象について聞く

定性調査の最大のメリットは、サービスをユーザーに直接見せながら、サービスの良し悪しについてインタビューできる点です。

定量調査でも、画像や動画などを使って、どのようなシーンでどのように役立つサービスかを説明できます。しかし、画像や動画で伝えられる情報には限界がありますし、情報がユーザーにきちんと伝わったかを確かめるすべもありません

それに対して定性調査は、時間が許す限り、サービスの特長や機能について説明したうえで「利用したいか」を尋ねることができます。また、調査対象がアプリやプロダクトのようにユーザーが実際に触って操作できるものの場合は、使い勝手や見た目の印象などについてもインタビューできます。

定量調査で利用意向が低く出たにもかかわらず、定性調査で高い結果が出たときは、以下のように商用化を判断する上層部への提案につなげることができます。

定量調査ではサービスの情報がユーザーに正しく伝わらなかった可能性があるため、それを検証するためにプロトタイプを使ったユーザー調査をもっと大規模にやりましょう

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4. ユーザーの代表者のお墨付きを得るために聞く

最後に、あまり一般的ではありませんが、サービスのターゲットユーザーの代表者からのお墨付きをもらうために定性調査を実施する場合があります。

サービスが特定の業界の特定のユーザーのみをターゲットにした、比較的ニッチなサービスだった場合、定量調査で充分な数のモニターを収集できないときがあります。
そんなときは、ペルソナ(※)のモデルとなったユーザーにサービスのプロトタイプを見せながら、
「このサービスがあったら、あなたの困りごとや悩みは解決できそう?」
「更に改善するとしたら、どういったところだと思う?」
とインタビューしながら、真にターゲットに向けたサービスになっているかを検証します。
※:サービスの企画段階でターゲットの具体像として設定したペルソナ

5. 次につなげるための具体的なヒントを得るために、定性調査はやる価値がある

定性調査は定量調査と比較すると、準備にも実施にも時間がかかるため、どうしても億劫になりがちです。しかし、定量調査においてサービス利用意向が高く出た(あるいは低く出た)あとの、次の打ち手を具体化する際には、非常に有効です。
次の打ち手を計画に盛り込むことで、事業計画書の説得力がぐんと増して、商用化を判断する上層部に対するアピールにもつながると思います!

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