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【イベントレポート】「これからの“土”と“キャリア”のあり方」#1

こんにちは。タネノチカラ、広報担当の金藤(かねとう)です。
1月25日に<<日本の農作物を取り巻く現状や健康への影響、豊かな生き方や働き方とは何かについて、現代における都市型の「あたりまえ」を問い直すイベント>>が東京で開催されました。

アンケートでは参加者の97%以上が「満足・大満足♪」と回答し、イベント終了後もまるで懇親会のようにオーガニックコーヒーを片手に参加者と登壇者が自然と交流するようなアットホームな雰囲気でした。

参加者は、食と健康に興味のある方や2019年は新たなことにチャレンジしたいという方、下記のようなもやもやした気持ちを心の隅に抱えている方などさまざま。

「これからの社会ってどうなるんだろう‥」
「正直、今の自分が何をしたいのか、どう生きたいのかがわからない‥」
「とりあえず安定した企業で、安定して働くのが幸せな気がする‥」

【 食と健康の“あたりまえ”を見つめ直す ~イベントタイトルに“土”を入れた理由~ 】

イベントの冒頭にはTPPや食料自給率、F1種と固定種、種子法と種苗法など、いくつかのキーワードを挙げながら農業や種、それらを取り巻く制度や法律に関する話がありました。

■タネノチカラ 金子
「人間がミジンコよりも遺伝子の数が少ないのに高度な活動をすることができるのは、体内に、細胞の3倍以上にあたる、100兆個以上の菌(細菌含む)と共生している為だと言われています。菌と共生しなければ生活が出来ない私たちは今、多様な菌と共生する生活ができているでしょうか。土の中と、私たちの体内の菌が似ている事が分かってきた現在、菌が多く生息する土から離れ、無菌状態の野菜を食べていると、体内の菌の多様性が減ってしまいます。体内の菌を増やすためには、生きた土から出来たものを食べるという、生物にとって''あたりまえ''の活動が必要だと思っています。
種子法廃止や種苗法改正により、将来、オーガニック野菜が食べられなくなるかもしれません。最も大切なことは、私たち消費者が選択肢を知り、意志を持って選ぶ事だと思います。」

【 自分が心地良いと感じる“土”の匂い、感触はどれだろう?】

当日は自然栽培(無農薬・無肥料)の農地の土、農薬等を使用した一般的な農地の土、東京都千代田区のビル街の土の3種類を用意。実際に触れたり、匂いを嗅ぐなどして土の中の微生物の数や種類によって土の匂いや触り心地が異なることを体感して頂きました。
東京で生まれ、東京で育った男性は、目の前にある土がどこから来たのかを知らない中で触れて、東京の土を指さし「感覚的に、この土が心地良いと思った。」と笑顔で話してくれました。
地方に実家があり、都会に出て働いている女性は「この土はおばあちゃんのお家の匂いに似ている!」と自然栽培農地の土を指さして「なんか、この感覚を忘れかけていたな~」としみじみ。

【 これからの働き方はどう変わっていくのか 】

■タネノチカラ 金子
「まずは亀田さん、ITの視点からこれからの働き方はどうなっていくのかをお聞かせください。」

■パソナ 人材紹介事業部門 亀田様
「24年前にwindows95が発売されて、その12年後にスマートフォンが誕生するなどおよそ10年ごとにIT領域では大きな変化が起きています。2019年は5G(第5世代移動通信システム)のプレサービスが開始されます。ロボティクスやAI、VR・ARなどの先端技術と掛け合わされることで、私たちの働き方はもちろん、生活スタイルが劇的に変化すると思っています。」

■タネノチカラ 金子
「ITインフラが整うことでより一層普及していくであろうシェアリングエコノミーについて加藤さんのお考えをお聞かせください。」

■パソナ ソーシャルイノベーション部 加藤様
「個人の時代になると思います。気づいたら「加藤 遼」という名刺は10数枚になり、Facebookの友人は数千名を超えました。僕が新しいプロジェクトを始めてSNSに投稿して発表すると少なくとも数件はビジネスマッチングが起きるんです。ソーシャルメディアによって情報の発信や資金調達(クラウドファンディング)、仲間集めもできる。会社が個人化しているという側面もありますし、個人の創造力と意思決定力によって事業がすごくやりやすい時代となっていますね。」

■タネノチカラ 金子
「神奈川出身で都会にいた私が淡路島に移住をして、都会の暮らしを振り返ると『都会の生活には感性がなかった』ということですね。技術革新が進むことで画一化した仕事はIT・ロボティクスに取って代わられるかもしれませんが、より一層人間だからこそできる生き方・働き方に焦点があたるかと。私は、未来は感性と、AIにはない自分の意志によって、お互いが助け合いながら働く社会になると思います。」

【 次の社会の“安定”とは何か 】

■タネノチカラ 金子
「ある会社の調査によると今の学生の就活の軸は『安定』らしく、今大手志向の学生が多いようです。今までの前提を受けて次の社会の“安定”についてお話できたらと思います。」

■パソナ ソーシャルイノベーション部 加藤様
「個人の時代がくると個人で事業を始めたくなりますが、同時に、一人でできることには限りがあるということにも気づきます。そうなると、仲間づくりが必要なんですよね。通常、採用にはお金がかかりますが、事業を始めたばかりの時期はあまりお金はありません。そんなときに必要なのは個人のビジョンや原体験、想いに共感してくれる人を募って、餅は餅屋のスタイルでやっていくことだろうと思います。すなわち、これからの社会においては、ソーシャルキャピタル(社会関係資本)こそが安定に向けた一番の要素だと考えます。僕は食の生産能力がないので、知識のある金子さんとは仲良くしておこうと思いますし、グリーンツーリズムの仕事で出会った地方に住む農家の方との繋がりこそが私の財産だと思っています。極論を言えば、信頼できて助け合うことができる人たちとの繋がりがあれば、あまりお金はいらないんです。」

■パソナ 人材紹介事業部門 亀田様
「僕は社会という大きなくくりではなく個人にフォーカスをして“安定”とはなにか考えたのですが、大手企業に勤めれば安泰と思う人は依然として多いのですが、実際は外部環境の変化に伴いビジネスモデルの変革が求められ、仕事の変化についていけなくなってしまう人がいるんです。私は“変化への適応力”が一番安定に寄与すると思っています。次に常にあたりまえを疑うことですかね。今、あたりまえだと思っていることがあたりまえではなくなるという前提を持ち、何が変化してもいいようにしておく。最後に行動し続けること。テクノロジーが社会のあり方を大きく変えていく中で、労働者に求められるものも変わっていくと思います。今後の社会に必要とされる人間であるには、自分にしかない経験や知識、感性が重要になってくると考えます。そのためには自分がやってきたこと、チャレンジしたいことを大切にして行動してほしいと思います。」

■タネノチカラ 金子
「僕も“変化への適応力”と現代のあたりまえとなっていることを常に疑うことが重要だと思います。将来、大きくなった子どもに見せても恥ずかしくない生き方を、僕はしたいなと思いますし、どんなに未熟で失敗をしても行動し続けることこそが財産になると考えていますね。もっと多くの人に今のあたりまえの再定義の必要性を発信することで、社会には色んな人がいて色んな選択肢がある“ダブルスタンダード”が良しとされる社会をつくりたいと思っていますし、矛盾するふたつを受け入れることが安定に繋がると考えます。」

少子高齢化が急速に進み、技術革新によって働き方や社会のあり方が大きく転換する今、「次の社会をどう生きるのか」「自分にとって本当に大切なものが何か」を見つめ直す、ここでしか聞けない話が満載の2時間半となりました。

これからもタネノチカラでは、今の自分の“あたりまえ”を問い直すきっかけとなるイベントを定期的に開催する予定です。
(2月にも全国のどこかでイベントを開催するとかしないとか・・!?)

今回、スケジュールが合わずに参加できなかったという方や当日急な予定で来られなかった方、このレポートをお読みになって何か面白そうと思ってくださった方も、次回お会いできることを楽しみにしております♪


【実施概要】
▷日時
 2019年1月25日(金)19:00 ~ 21:30
▷会場
 <TRAVEL HUB MIX>
  東京都千代田区大手町2-6-2 日本ビルヂング1階
▷主催
 株式会社タネノチカラ

【 登壇者 】
▶株式会社パソナ ソーシャルイノベーション部 部長 
 加藤 遼 様
(株式会社パソナJOBHUB 旅するように「はたらく」部長 /内閣官房シェアリングエコノミー伝道師)
大手からベンチャーまで幅広い業界・業種の人財採用・育成に携わった後、行政・企業・NPOなどと連携して、若者雇用、東北復興、海外展開、地方創生、観光立国などをテーマにした事業企画・開発・立上に取り組む。直近は、シェアリングエコノミー、複業、リカレント教育を通じた新しい「はたらく」を創る事業やプロジェクトの企画・立上に取り組む。また、地域活性化ベンチャーファンドの事務局として、起業家の発掘・育成、事業インキュベーションに取り組み、出資先である地方創生やVISIT東北の事業開発・戦略担当役員も兼務。 その他に、政府・自治体の政策委員や講演活動にも参加している。
 
▶株式会社パソナ 人材紹介事業部門 WEB統括部マネージャー
 亀田 隆明 様
1987年生まれ。栃木県佐野市出身。立命館大学大学院卒業後、新卒でSIerに入社。ITインフラ基盤の提案、要件定義、設計、構築に携わる。SIerで働いていくなかで、IT業界で働く方々の待遇改善の一助となりたいとの想いから人材業界へ転職。現在は大手Webサービス企業を中心にWebデジタル業界専任のキャリアアドバイザー、そして企業担当を兼任。

▶株式会社タネノチカラ 代表取締役社長 
 金子 大輔
1989年生まれ。神奈川県藤沢市出身。早稲田大学教育学部卒。大学卒業後、次世代の子ども達が幸せに暮らせるために、持続可能な充実した雇用環境を実現したいと思い、株式会社パソナパソナキャリアカンパニーに人材紹介コンサルタントとして新卒入社。最先端IT技術を扱う企業に特化した紹介事業を行うチームの立ち上げリーダーを経験。その後、経営企画チームに所属。知らないうちに身に染みてしまっている都市型の「あたりまえ」を再定義し、「持続可能」で「安心して子どもを育める社会」を作りたいと思い、それらの基盤である「食と健康」をテーマにした事業を立ち上げるため、淡路島に移住。

【 タネノチカラの活動について 】
*facebook  
(https://www.facebook.com/seedbed.awajishima/)
*instagram
(https://www.instagram.com/seedbed_awajishima/)

【 本件に関するお問い合わせ 】
株式会社タネノチカラ 広報担当 金藤(info@tanenochikara.com)

知らないうちに染みついた現代の「あたりまえ」を見つめ直し、安心して子どもを育める“持続可能な社会”をつくりたい。 全く性質の異なる、都会にいた4名が淡路島に移住し、共感者と共に「食と健康」をテーマにしたプロジェクト(#seedbedプロジェクト)を始動。