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野本響子さんのVoicyを聴いて特別支援について思うこと


野本響子さんがVoicyで特別支援教育についてお話しされてました。「国連から特別支援教育をやめるように要請されている」なんて知りませんでした。
野本さんはVoicy内で「日本は社会全体がエクスクルーシブに向かってる」と仰ってましたが、わかる気がします。
過去の放送から温めていた共感と思い出したことをここにまとめます。


私は今放課後デイサービスで子どもたちの送迎の手伝いをしています。半年くらい前に初めて障害のある子たちが通う学校へ送迎に行きました。玄関から出てきたダウン症の子たちを見て、私は自分がいつの間にか分断された社会の片側にいたということ、そしてそれに気が付いていなかったことに少しショックを受けました。そしてふと小学校時代を思い出したのです。

私のひとつ上の学年にYちゃんという女の子がいました。通学路が同じ方面だったので帰り道にたまに見かける子でした。人を追いかけたり、捕まえて髪をひっぱったりしてくるのですが、今思えばダウン症だったと思います。当時はそんな言葉も知らず、単に「目が会うと追いかけてくる子」という感じで、同じ方面に帰る子たちの共通認識でした。

もうひとり、同じ学年にMくんという男の子がいました。ちょっといきがってる男子にパシリっぽくいいように使われていましたが、いつも笑顔で楽しそうにしている印象でした。でもこの子も今思えば知的障害があったんだろうと思います。

YちゃんもMくんも、さくら学級(仮)という学校内に設置された教室へ通っていました。そこが数十年後に自分の息子がお世話になる特別支援学級だったのだということも、この送迎のバイトを始めてから改めて知ったことでした。

障がい者の学校へ送迎に行ってダウン症の子たちを毎回見ているうちに、YちゃんやMくんのことを思い出し、違和感が強くなっていきました。なんで、この子たちはこんなところに閉じ込められているんだろう、と。実際は別に閉じ込められている訳ではありませんが、何か切り離されているような、そんな気持ちになったのです。公立の小学校に通っている子たちのうちどれだけの子が、障がいを持った子たちが通う学校があることを知っているのだろうと。

「普通のクラスがどんどんいろんな子を追い出している」


野本さんがVoicy内でそう仰ってましたが、本当に同感です。
息子の通う学校ではダウン症のお子さんは見かけません。息子のように不登校の子はいても、ほとんどの子が毎日学校へ来て、6時間黒板に向かい、給食当番・掃除当番をこなし、自力で帰っていきます。支援学級に在籍している子は、苦手だったりサポートが必要な科目の時だけ支援級へ通級します。つまり教室内は特別なサポートを必要とする子がいない状態がデフォルトなんでしょう。

3年ほど前、公立ではない他の学校へ行っている子のお母さんから話を聞く機会がありました。そこは特別支援級はないので授業中歩き回る子や教室を飛び出して行ってしまう子もいるとのこと。他の保護者からクレームもあるそうですが(それも残念な話です)、学校側は「社会に出たら、電車の中で大声出す人もいるし、障害があったり本当に色んな人がいる。学校も同じで色んな子がいていいんだ」というような方針でいるのだそうです。

不登校児の母が言うのもなんですが、学校は社会を疑似体験する場だと思います。色んな人がいる中で協力したり助け合ったりして世に出ていく準備をすると思うのです。でも今の学校はみんなが同じように座っていられて、みんなが同じように体を動かせる。能力に多少の差はあれど右も左も自分と同じことができる子しかいないわけです。特別なサポートが必要な人たちもいない。少しのサポートですら、支援級に出されてしまう。多様性とか言いながらそこに多様はない。そしてこの状態はおそらく社会に出るまで続くと思うのです。割れないシャボン玉のように囲われた社会の中でそれぞれが生きていく。インクルーシブとは程遠い世の中だと思います。


YちゃんもMくんも、確かに他の子とは違うところがあって、子供ながらに少し怖い存在ではありましたが、それ以上でもそれ以下でもありませんでした。追いかけてくるけどそうゆう子。一見怖そうだけど話すといい奴、そうゆう子。学年やクラスが違ったので関わることはあまりなかったですが、学校内にそうゆう子がいるのはおかしなことでもなかったし、自然でした。それが40年近く経って気づいてみたら別の世界になってしまいました。

そして怖いのは、知らぬ間にそうゆう世界にどっぷりと浸かってしまっていた自分です。日本は外国人や違った文化をなかなか受け入れられないというような話をよく聞きますが、もうすでにこうゆうところから繋がっているように思えます。みんな違ってみんないい、そういいながらも受け入れるのに勇気がないんですね。「違ってて普通」という経験をしてこなかったから。
もちろん私も含めですが。

難しい問題です。


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