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POPPY-SHADOW OF LOVE-

 手のひらに生えたつぼみを今日も見つめる。
 つぼみはどうやら、わたし以外見えないようだ。
 水をすくうような仕草をすると、それが見える。それが日々育っている。何を栄養としているのか、知る術はない。
「まぁた見て。暇なんかい」
 コイツは大阪から転校してきて、それから何かとわたしに絡んでくる。
「暇じゃありません。考え事」
 はぁ、お前に考え事? と呆れたように笑みを浮かべ、そしてわたしの机に両腕を組んで、頭を乗せた。
 ふわふわの毛、つむじが見えた。いつも見えないところが視線に入り、言葉にできない下から上に昇る感情を何というか知っている。
 言葉を超えて、距離が近づいた。
 手のひらを見ると、つぼみは真っ赤な花を開かせていた。


 Twitter内「毎月300字小説企画」に参加させていただきました。
 今回のお題を見たときは、このお話をすぐに思いつきました。シーンが、ぱっと頭に浮かんで、すぐに書けてしまいました。
 お読みくださり、ありがとうございます。

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