B面の銘曲。

「そんなに、読まれたい?」
「読まれたいでしょ」を前提としたnoteが花盛りのなか、しばし思う。
実際のところは「好きに書いて、そこそこ読まれればそれでいい」と思う時が半分以上。なのに、なぜだか大手を振っては言えない。

なんだろ、この感じ・・と思ってきた時に流れてきた懐かしい曲。

好きな服を着てるだけ 悪いことしてないよ

1989年発売、プリンセスプリンセス「ダイアモンド」の歌詞の一節。
「好きな服を着てるだけ」と、わざわざ他意がないことを強調し、おまけに「悪いことしてないよ」と、言い訳めいた言葉を加える。

これだよ、この感じ!!

好きに書いてるだけ。特に読まれたいとかじゃなくて。

なぜ「好きな服を着て / 好きに書いて HAPPY YEAH !!」とは、いかないのかを、ここで考察してみたいと思う。

自己満足 ≠ 悪いこと

好きにする(着る・書く・踊る・歌う・その他)= 自己満足
ここまでは、分かる。けれど、

自己満足 = 悪いこと

こうなるのは、おかしい。

代表的な例を挙げてみる。

1.自己満足で、まわりのみんなに迷惑をかけるのは、悪い
 ⇒悪いのは自己満足ではなく、迷惑をかけていること。だいたい「まわりのみんな」って、具体的にだれ?

2.仕事なのに、自己満足では困る・良くない
 ⇒仕事なのに他者を満足させていないのは良くないけれど、それと自己満足は「直接的には」関係ない。関係づけようとすれば、いくらでも出来そうではあるけれど。

3.ただ「気に入らない」だけ(たぶん一番多い)
 分かりやすい代表例は、こちら

頼んでないし、呼んでもないのに言ってくる。
noteで言えば、読まない自由もあるのに「こんな文章は許せない」というのも、同じ。
これむしろ・・「指摘する側の自己満足」って気づいてほしい。

はい、ここで一句

自己満足 押しつけたなら 悪いこと

「伝える」以外の言葉の機能

「でもさ、わざわざ書くっていうのは、伝えたいから / 読まれたいからじゃないの?」

そんな声もあるかもしれない。対して私の答えは、

「いや言葉っていうのは、『伝える』以外にも『確認する』『整理する』機能があるでしょ?私にとってはそっちの方が強いんだよ」

というもの。
私は生まれてこのかた、

「女性は相談をする時、答えを求めているのではない。ただ話を聞いてほしいだけ。」

と思ったことは1回もない。たぶんこの先もない。

「ただ話を聞く」のは「自分自身で出来る」という人なのだ。

確かにたまたまタイミングが合って「ただ話を聞いてもらった」時はすっきりするし、自分独りで解決した時と比べると、テニスのラリーと壁打ち位の違いは感じる。
でも「壁打ちでこと足りるよね。わざわざ他人を使わなくても」というのが結論。言葉を使って、自分自身で整理・確認で、終了。

こういう私とは真逆の「いちいち他人(異性/同性/もしくは両方)を必要とする人」(私に言わせれば)は、色々と面倒くさそうだし大変そうだ。でもそういうのも含めて「その人にとっては普通」なんだろうなと思っている。

針が降りる瞬間

ところで、先に取り上げたプリプリの「ダイアモンド」。
リバイバルブームで、結構若い子も聴いて、もしくは動画で見てるらしいのだが、

針が降りる瞬間の 胸の鼓動焼きつけろ

歌詞の意味が分からないらしい。
そりゃそうだ。CDの更にその前、レコードの話だからね。

はい、説明しよう。

CDの前、レコードの時。
音楽は廻ってる円盤の溝に、そっと針を落とした時に流れるものだったんだ。
ヘッダー画像でいうと黒い丸いのがレコード盤、黄色い部分から下に向けてレコード針がある、という構造になっている。

なにしろ、全てがアナログのものだから。
レコード針もレコードも、聴き続ければ、摩耗する。
うっかり盤面を傷つけると、音飛びの原因になったりもする。

歌詞の「針が降りる瞬間」は、きっと初めてその曲を聴く時のこと。

この先何度も何度も、文字通り「擦り切れるほど」聴くことになるかもしれない。
案外期待外れで、数回聴いて、しまい込む事になるかもしれない。
しまい込んでいたレコードを、ある時聴いたらとても良くて「なんで、しまい込んでたんだろう?!」ということになるかもしれない。

全部の可能性がある。誰にも分からない。その始まり。
針が降りる瞬間

***

書きたい、と思ったら、それが「針が降りる瞬間」だ。
読まれるとか伝わるとか、そういうことは気にせずに、まず書いてしまえばいい。

B面の曲

※説明にもどる

レコードには「シングル盤」と「アルバム盤」があって、シングルA面が、いわゆる「新曲」っていうのに該当。
ざっくり言えば「B面の曲」は「新曲のカップリング曲」という訳。

「B面の曲」はアルバムに入らないことも多く、ラジオでオンエアされることもほとんどなく、「シングル購入者のみ知る」ある意味マニアックな曲。

けれど創り手側からすると「売れ線」を意識しなくていいからか、よりそのミュージシャンの色濃い感じがしたり、自由な印象を受けたり、「みんなに向けて、じゃない感じ」が個人的にツボに来たりする。

***

別に読まれなくても、伝わる人が限られていても、それでもnoteという場で公開して書きたい、と思うのは、それが作者にとっての「B面の曲」だからなんだと思う。

この記事を書く前に、#noteの書き方 タグの投稿を見たところ、思いの外、ざっくりいって「好きに書かせろ」というのが多かった。いいと思う。

好きな服を着て、好きな曲を聴くように、好きに書いて。
着物警察ならぬ文章警察がやって来た(と感じた)ら、「帰ってください。呼んでないんで」とあしらって。

読ませたいことでなくても
伝えたいことでなくても
誰かのために役立つと、到底思えなくても

いつか誰かの「B面の銘曲」になるかもしれないから。

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