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読むPodcast「田中健士郎の働き方ラジオ」#104 ヒーローズジャーニーで作るストーリー(サードドア解説)

「読む働き方ラジオ編集室」のまあち(森まゆみ)です。

第1回放送から継続して聞いている「働き方ラジオ」。その時は難しいなと思った話も、繰り返し聞いているうちに、いつの間にか理解できていく。
まさに「解像度が上がる」を実感しています。

そんな「働き方ラジオ」、今回はこちらの放送をピックアップ。

#104「ヒーローズジャーニーで作るストーリー(サードドア解説)」(2022/10/9配信)

以前紹介した書籍「サードドア」の解説回です。
実は「ヒーローズジャーニー」の考え方は、知っているといろいろなところで使えて便利なんですよ。

それでは「読む働き方ラジオ」始まります。まずはタイトルコールから!

働き方ラジオ始まります。このラジオは「誰もが情熱を持って働く」それを実現するために「働く」ということの解像度を上げていくポッドキャスト番組になります。
今日も働き方エバンジェリスト田中健士郎が、みなさんの眠りを誘うゆったりとしたトーンでお話させていただきます。

「ヒーローズジャーニー」はフレームワーク

皆さん「ヒーローズジャーニー」ってご存じですか?
映画や小説などの物語を作る時に使うフレームワーク、ストーリー展開の型みたいなものですね。
「ヒーローズジャーニー」を使った映画で有名なのは「スター・ウォーズ」だそうです。
主人公が日常の世界から非日常の世界に飛び出していって冒険をする。そして元の世界に帰ってきて成長する、という流れなんですが、この「非日常の世界に行ってきて成長する」という過程に、人は共感をしたり自分と重ねたりして物語に引き込まれるんですよね。

僕が聞いているPodcast番組「COTEN RADIO」でも、「人は、ロジカルに説明されるよりもストーリーで聞いた方が理解できる。ストーリーでしか理解できないこともある」って言っていました。

最近、僕の周辺で「ヒーローズジャーニー」ってキーワードをよく耳にするんです。
僕が主宰しているコミュニティ「ライターゼミ」やパラレルワーク先のrebornでも話題になっていて、何だか面白いなと思って調べてみました。

そうしたら、先日から読んでいる「サードドア」が、まさに「ヒーローズジャーニー」に当てはまるなって思ったんです。
なので今回は、あらためて書籍「サードドア」の解説も含めながら「ヒーローズジャーニー」について説明していきます。

「ヒーローズジャーニー」は、大きく分けると、A、B、Cの3つの構成要素になっています。
日常から非日常へというのがA、非日常での訓練や試練みたいなものがB、非日常からまた日常に戻っていくところがC。
ABCの中がさらに細かく分かれていて、全部で10~12個ぐらいの要素があるんです。


【ヒーローズジャーニーの概念】

<Aブロック>
1.日常の世界

2.冒険への誘いがあったり冒険へ行く動機がうまれたりする
3.冒険への拒絶。一度は「この冒険に出るべきじゃないんじゃないか」と葛藤する
4.賢者との出会い。キーパーソンになるような人と出会ったり、旅に出るきっかけを得るイベントが起きる
5.第1関門突破。この関門を突破することで一気に非日常の世界に行く

<Bブロック>
6.試練、仲間、敵対者
。仲間と出会ったり、敵や裏切り者に会ったりする7.最も危険な場所に接近していく。ラスボスのところへ行く前段階
8.最大の試練。まさにラスボスとの最後の戦い
9.報酬。剣や武器を手に入れる

<Cブロック>
10.帰路。元の世界へ戻る
11.再生、復活。最後にもう一度、試練がある。
12.帰還。日常の生活に戻る。


「日常の世界から、特別な非日常の世界に行ってまた戻ってくる」っていうのが「ヒーローズジャーニー」の流れです。

もちろん全部じゃないですけど、世の中のストーリーや物語の多くが「ヒーローズジャーニー」に沿って作られてるんじゃないかって思うと、なんかすごく面白いですよね。

みんな同じ構造だとつまんないじゃないの?って思うかもしれないですけど、当てはめる具体的な事例が違うと物語自体も全く違うものになっていくんです。
「ヒーローズジャーニー」っていうのは、あくまでも型なんですね。構造を定義してるだけ。
ライターさんだと「序論・本論・結論」って論文構成をよく使うと思うんですけど、そういう構成の型と同じ感覚です。

例えば、自分史を語るとき面接で自分のことを話すときに「ヒーローズジャーニー」に当てはめて流れを考えてみたら、めちゃくちゃ共感されるかもしれないですよ。
人の心を動かすような記事制作に「ヒーローズジャーニー」のフォーマットを使うケースも、増えていくんじゃないかなと思うんです。
ライターの方にも意識していただくといいなと思いました。

「サードドア」は「ヒーローズジャーニー」に沿ったストーリー

ここから「サードドア」の話に移りますね。ネタバレしすぎない程度に書籍を紹介していきたいなと思います。

まずは、1番目の「日常の世界」です。
主人公はごく普通の大学生、19歳のアレックス・バナヤンさん。ちょっとイケてない大学生活にモヤモヤしていた彼が、たまたまビル・ゲイツの本を読んだことがきっかけで、2番目の「冒険への誘い」につながります。

もともと何者でもなく自分と同じような大学生だったビル・ゲイツが、起業をしてマイクロソフトを作っていく過程を読んだアレックスさんは、
「一体何があったんだろう?」
「どうやって最初の一歩を踏み出したんだ?」
「どうやったらビル・ゲイツみたいになれるだろうか」
「それを知ることが自分のミッションだ」と、テンションが上がっていくんです。

ビル・ゲイツだけじゃなく、スピルバーグやレディー・ガガも、成功している人たちはみんなそうらしい。それなら彼らの話を聞いていけば共通の勝ちパターンみたいなもの、最初の一歩の踏み出し方が見つけられるんじゃないか。
自分はもちろん、世の中のイケてない多くの大学生や若者にとっても大きなヒントになるんじゃないだろうか。ならば自分のミッションとして成功者にインタビューをして本を作ろうって、ここで思いついちゃうんです。
この時点で結構すごいですよね。

次は3番目の「冒険への拒絶」です。
期末試験があることと、お金を得るためにテレビ番組に出場するっていう二つの選択肢にめちゃくちゃ迷う。でももっと大きいのは、その後にキーマンであるエリックさんと出会うこと。その人からいろいろ一緒にやろうぜとかって言われるんですけれども、そこで家族が立ちはだかって、反対されるんです。
もちろんアレックスさんも家族が大事なので、むげに断ることもできなくて揺れ動いていく。家族を泣かせてしまい「もう僕は(冒険へは)行かない」というシーンもある。これが「冒険への拒絶」。

4番目が「賢者との出会い」。冒険へ出発する切符みたいなものなんですが、これが二つあるかなと思っています。
ひとつは「Price is right」っていうテレビ番組ですね。これに出て賞金を獲得するっていうすごいエピソードがあるんです。この勝ち方がめちゃくちゃ面白いので、ここはぜひ本を読んでいただきたいんですけど。

賞金を獲得することによって、まず金銭面がクリアになりました。さらにいろんな人にアタックしていく中で、たまたまエリックっていう、業界で成功している方にメンターについてもらうことができた。まさに賢者と出会ったんですね。
「Price is right」の賞金とメンターとの出会いによって5番目の「第1関門を突破」して、一気に非日常の世界に入るんです。

まずイギリスに飛んで、高級ホテルのラウンジ、プールバーみたいなところに行くんです。お金持ちの人がお酒を飲んでいたり綺麗なお姉さんがたくさんいたり、富豪の集まる場みたいなところ。
非日常に入った感じがめちゃくちゃ分かりやすいですよね。

アレックスさんも「うわー何だここ!」ってテンションが上がって調子に乗っていく。そこからまた新たに有名な人と会っていこうとします。

最終的には「ビル・ゲイツに会いたい」って思いがあるんですけども、いきなりビル・ゲイツにつながるのは難しいし、あの人にもこの人にも会いたいっていろいろと動くんですけど、なかなかうまくいかない。

ここでもう一つ、本を書くにもインタビューをするにも重要なのが、出版社と作家さんの間をつなぐ役割であるエージェントです。アメリカとかだと一般的にエージェント契約を結ばないと先に進むのは難しいんですね。そのためにめちゃくちゃ頑張るけど全然うまくいかなかったり、少しずつうまくいったりしながら、最終的にエージェント契約を結んでいきます。

続いて6番目の「試練、仲間、敵対者」。敵対者というよりも裏切り者みたいな方が出てきます。この辺りもちゃんと「ヒーローズジャーニー」の流れに沿って進んでいるんですよね。
そこから7番8番の「最も危険な場所へ接近」して「最大の試練」。これがビル・ゲイツに会うというところになっているわけです。

ビル・ゲイツにつながるのも必ずしもうまくいかない。でも、9番目にあたる確かな「報酬」を得る。この報酬っていうのは剣みたいなもので、ここでは「サードドア」という言葉だったと、最終的に気づいていくわけです。

その結論がわかっていても、「ヒーローズジャーニー」のフォーマットにのせることによって、めちゃくちゃ引き込まれていくんですよ。だから読んでいて面白くて、いろんな人に「この本とっても面白いですよ」って紹介しています。

ビジネスにおいても、顧客開拓や営業、転職といった時に、アレックスさん並みの信念と諦めなさみたいな気持ちを持てると、その先が変わるんじゃないかなって思います。
何かちょっと自分と重なる部分もあったりするので、より共感ポイントになって引き込まれたんじゃないかな。改めて俯瞰をして認識したこの数週間でした。

前回紹介したときと同じく「この本面白いよ」って話になっちゃうんですけど、働き方ラジオを聞いてる方にはライターさんも多いと思うので、気になる方は読んでいただきたいですね。

ライターゼミでは、今まさに「ヒーローズジャーニー」のフォーマットに沿って、過去の自分を棚卸しするというワークをやっています。
そういったところに使ってみても面白いんじゃないでしょうか。

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放送を聞いて

日常から非日常へ冒険に行き、戻ってきた主人公がその経験をもとに成長する。そういったストーリー、考えてみると確かにいろいろな映画などでも使われていますね。

「サードドア」はかなり分厚い本なのですが、ストーリー性が高くて読んでいてワクワクします。なるほど、そこにも「ヒーローズジャーニー」というフレームが使われていたのか、だからこんなに引き込まれたのかと、納得しました。

ライターとしても、人を紹介するような記事で「ヒーローズジャーニー」のフレームを使ってみると、ストーリー性が増してグッと読み手を引き込む構成になりそうです。

書籍はこちら⤵

「サードドア」についての解説回はこちら⤵

それでは今日はこの辺で。また次回、おやすみなさい( ˘ω˘ ) スヤァ…


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