「いつかこうなりたい」を、まだ延長しますか、しませんか?

『コントが始まる』の第5話を観ていたときである。

第5話は、売れないお笑いトリオ「マクベス」を解散するかどうかの決断を描いた回。

10年やってもなかなか売れず、このまま続けていくか、辞めるか。夢を抱いているすべての人の胸をえぐってくるような世界を観た。





さて、物語の冒頭と最後はいつもコントで終わる。

今回、最後のコントのセリフに、グサッときた人も多いのではないだろうか。

舞台はカラオケボックス。

菅田将暉さん演じる店員が、「延長で」となかなか帰ろうとしないお客さん役の神木隆之介さんと仲野太賀さんに言うセリフである。

舞台であるカラオケボックスは今日で閉店するためもう延長ができないそう。「お二人が最後のお客様となりました」と言う菅田将暉さんに対して、2人が「(お店が閉店してしまうなんて)それはお気の毒ね」と返す。

その言葉に対しての返答が秀逸だった。

「お気の毒?ずっと辞めたかったんですよこの店。やめることが全てネガティブなこととは限りませんから。で、どうしますか?まだ延長しますか?

このセリフは第5話の内容である「芸人を辞めるか・まだ延長するか」の伏線を見事に回収している。

何が刺さったかというと「まだ延長しますか?」という言葉が、画面の向こう側にいる私たちにも言っているように思えたんだよね。(是非ドラマを観てほしい)

なかなか上手くいかないけれど、やりたいことがある、夢を諦められない。

そんな人たちに「その夢、いつまでやるの?」と問いかけられているような気持ちになった。





夢や目標を抱いて突き進むのは楽しい。

だけど、なかなか芽が出ないとき。全然結果が出ないとき。

「いつまで続けようか」という黒い気持ちが一瞬頭をよぎる。

いやいやいや。そんな気持ちなんて跳ね返して、死ぬまで続けたらいいじゃない。結果なんて求めずに、好きだったらそれでいいじゃない。自分のやりたいようにやったらいいじゃない。

そんな風にもう1人の私が言う。

その気持ち、ごもっとも。

「何か形になったらいいな」なんて欲張らずに、趣味でいいじゃん。自己満足で空いた時間でやればいいじゃない。

わかっている。わかっているよ。

でも。

そんな気持ちで片付けられたら、どれほど良かっただろうなあと思う。

文章を書いていて、そんな気持ちがごくたまーにやってくる。

まだ何も始まっていないのに、「いつか私は諦めてしまう日がくるのだろうか」と考えてしまって、なんとも言えない気持ちになる。

いろいろ書いているけれど、まだ「これが書きたいです」とはっきり言えない自分。テーマが見つけられていない自分。加えて圧倒的な実力のなさ。

気持ちがぐるんぐるん変わってしまう日もある。

そんな日もあるからこそ、「まだ延長しますか?」というセリフに、妙にドキッとしてしまった。

私、まだ延長してもいいよね?

ちょっとばかりドキドキする。


でもね、文章は年齢を重ねれば重ねるほど上手くなると勝手に思っているから、私は死ぬまで文章にまつわる夢は諦めるつもりはない。

「あんなふうになりたい」と思ってしまったものだから、簡単に辞めたくないんだよね。

てゆうかまだ何もできていないから、もっともっと頑張らせてくれ。全然頑張っていないもん。諦める理由がないわ。自分の弱さに負けていただけだと思う。

私はまだまだ「延長します」と言うだろう。





延長するか・しないか問題って、自分を試されているように思える。

ここを乗り越えられるかどうかで、また見える景色も変わってくると思うから、スリルある延長ゲームに乗っかれるかどうか、度胸を試されている気がする。

どうせなら乗っかりたいし、そのゲームに勝ちたいよね。

「いつまで続けようか」で時間とメンタルを削られないで、スキルアップを頑張ろう。

延長しますよ、まだまだ。

最後まで読んでいただきありがとうございます!短編小説、エッセイを主に書いています。また遊びにきてください♪