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地域にサンバルの花は咲くか。【バリから始める地方創生(6)】


URYYYYY!

コリコリ弾力ある頸動脈にさわっているぞォジョジョ!」

独特なセリフ回しが読者のハートをわしづかみにし、震えるほどヒート!させるジョジョの奇妙な冒険。中学生の頃から大好きな漫画で、掃除の時間には友人の背中に波紋パンチを打ち合っていました。

ブルブルと拳を振動させながらあてるのがコツです。太陽のウェーブ感が大事です。

ジョジョは主役が代替わりしていくのが特徴でもあるんですが、その9番目の主人公がいよいよ登場しラストシリーズと噂される第9部「JOJOLANDS」がウルトラジャンプにて始まりました。

実はうちの子供たちもジョジョの大ファン。というのも最近になって1部から6部までがアニメ化されて、それをたまたま見た長男がまずはまり、そこから次男、次女、最後には長女まで大ハマりしまして世代を超えてジョジョを楽しめる奇跡が起きてるんです。

同級生に打っていた波紋パンチをまさか息子に打つ時が来るとは

人生の妙、感じずにはいられないっ!

その第9部の1話。

「システムじゃない、メカニズム(仕組み)の話だ。」

というセリフがでてきます。

メカニズム。そうこれはメカニズム(仕組み)のお話。

地域にサンバルの花は咲くか。

ここまで5回ほど地域についての話などを書いてきましたが、本題はこれ。今、地域おこし協力隊として3年目。僕らが挑んでいるミッションは

地域の魅力を活かした産品開発。

たどり着いたのは地域の方々と一緒に育てるインドネシアの辛味調味料、サンバルです。

みさとサンバル

サンバルってなんなのか

サンバルというのはインドネシアでは食卓の上に必ず置かれているもの。もはやそれなしの食卓などありえないほど当たり前のもの。

「日本でいうとなんなんですか?」

と言われることが多いのですがこれがとても難しい。食卓にあり、味変をさせるものとしては味噌だとか柚子胡椒だとか??ラー油なんかに例えられることもあるんですがちょっとイマイチ。

「SUSHI」とか「TABASCO」のようにそれ以外で言い換える言葉のない「SAMBAL」というもの。

それはつまりまだ知られていない新しい概念=大きな可能性だと思うんです。

著作者:Freepik

元々美郷町に来た当初からサンバルの商品化の企画はありました。でも美郷町とバリの関係がそもそも広くは知られていないこと、その中で”サンバル”という長い説明がなくては伝わらないものを作るには時期が早すぎるだろうと寝かせていたんですね。

そんな中、我が家ではたまに妻がバリで習ったサンバルを作ってナシチャンプル(バリの食事スタイル)にすることがあるんですが、たまたまそれを食べた地元の方から「美味しい!これぜひふるさと納税品にしませんか?」と声をかけられたところからサンバルの商品化が歩き出します。

しかし商品化するのならばただインドネシアにあるものを再現しただけではここでやる価値がない。

美郷町でサンバルを作る意義のあるものにするためには??

ここで登場するのが薬草研究会。実は美郷町は薬草で町おこしをしようと活動をしていて、薬草の栽培、研究が盛んなんです。もともと興味があった妻はその研究会に参加していまして、既にサンバルに合う野蒜と当帰という薬草を見つけていました!


◆野蒜<ノビル>は道端にも良く生える強い雑草でもあって、味噌をちょっとつけて食べると玉ねぎとラッキョウの間くらいの味がします。

野蒜<ノビル>

◆当帰<トウキ>は婦人病に効果があるとブームの兆しもあるぐらい温活に最適な薬草です。主に根っこ部分を薬草として使うのですが美郷サンバルで使うのは葉の部分。これがまるでバリで使われるスレッドリー(セロリの仲間)のような甘くていい香りを醸してくれるのです。

当帰<トウキ>

薬草入りオリジナルサンバル「みさとサンバル」。こうして商品の形ができあがりました。そしてこれからが「メカニズム」の本題。

バリ島マス村と姉妹都市だという美郷町の歴史⇒そこにバリからやってきた僕ら⇒育まれてきた薬草栽培の文化⇒それらが「みさとサンバル」という形をとる。それはこの土地で今しかできないオリジナルな営みじゃないか。

ならばそれを地域の新たな力として育み、過疎地ゆえの課題を解決するためのメカニズム(仕組み)として機能させたい。

売れれば売れるほど地域の力になる仕組み

ここ美郷町の地元の方は高齢者が多いですが、皆さん作物を育てたり山に野草を取りに行ったりがとても得意なんですね。80歳をこえる方がひょいひょいとけもの道を上っていく様は圧巻です。

山の中はまるで庭

でも既に子供世代は巣立って夫婦二人で生活されている方も多く、そうなると畑で育てた野菜も消費が少なくなってしまい「こんなに作ってもなあ」と耕作面積を減らしていくことが多いんです。

でもそんな方々の力を借りてサンバルの材料を育ててもらい買い取ることができればどうでしょう?

サンバルが売れるほど地域の方の収入につながり、やりがいをうむきっかけになるかもしれない。そしてそれは、新たな移住者の副収入とすることができ、育てるための知識を地元の方に頼ることができればそこから両者の関係も生まれるし、新しいライフスタイルを見つける手助けになるんじゃないだろうか。

ミョウガを採るのもお手の物!

過疎地において仕事は選べるほど多くはなく、見つけても町外の仕事だったりして移動に時間も体力も削られることが多いんです。

でもこの「みさとサンバル」の仕組みならその現状を変えることが少しだけできるかも。

上手くいくかどうかはこれからです。でも地域の方の強みをいかし、それを喜びに変えていける可能性、ワクワクしてきませんか?サンバルが全国の食卓に並ぶのが当たり前になったらそんな未来が近づくかも。

今回は今目指している理想の形を書かせてもらいました。もし同じようにワクワクしてくださった方がいれば、幸いです。行く末をぜひ見守ってやってください。そして辛くて美味いサンバルをどんどん食べましょうw

さあ、地域にサンバルの花は咲くでしょうか?

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