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悪者図鑑/トキワエイスケ

世の中で起こる悪いことのすべてはすくなからず自分のせいでもあるというのを中高生の頃からずっと思って生きてきた僕にとって、この『悪者図鑑――なぜ、「悪者」はいなくならないのか』でトキワエイスケさんが、

もちろん、あなたも悪者を生み出している張本人です。

と書いているのをみても、驚きは何もなく、そうそう、そうだよねと共感するばかりだった。

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自分が悪を生みだすことに加担しているという僕にしてみれば、なにか世の中で問題が起こっていることをただただ批判する気には到底なれないので、なんでみんな自分が犯している罪(悪を生みだすことに加担しているという罪)を棚上げして、そんなに他者を批判できるのだろう?と思っていたので、この本には共感しかない。

悪いことをなくしたい思いはただの罪悪感から

そういう意味で、僕がなぜサステナビリティとか、環境・社会課題にふつうに関心がもてるかというと、それこそ中高生の頃からすべての悪いことの原因は自分に(も)あると信じて疑わずに生きてきたからだと思う。

世の中で起こる悪いことが多かれ少なかれ自分のせいだと思えるんだから、そういうことはできるだけ起こらないようにしたいと感じるのは、自然な反応だと思っている。なので、サステナビリティへの関心は、僕にとっては、世界のことを考えてということ以上に、自分の罪悪感に根差したものであるわけだ。

そんな風に感じて生きてきた僕がぼんやり感じていたことを、トキワさんはいろいろ調べて論理的に整理した上で、しかも、わかりやすく簡潔に示してくれているので、おもしろく読んだ。

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原因は複雑に絡み合っているので構造的に解く必要がある

すごく読みやすく、イラストもたくさんあって読みやすいので、内容には触れずにおく。それぞれみんなが読んでみてほしい。

でも、ひとつだけ書いておくと、悪者がうまれる要因は単純なことはめったになく、多くの場合、複雑に絡んだ複数の要因からなるということだ。これは現在の環境・社会課題の場合と同じで、そうなると、個別に表面的な問題解決をはかろうとしてもだめだということだ。表面的に、個別に問題を解くのではなく、複雑に絡み合った問題が生じる社会のしくみそのものを構造的に理解し、リデザインする方向で問題解決をはかる必要がある。

だからこそのトキワさんのいろんな事業の取り組みなのだろうし、今後の構想なのだろうなと思う。

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悪者は生まれる/生み出される

もうひとつ、悪者は生まれる/生み出されるものだということもこの本を読んで確認しておきたいところだ。悪者は元から悪者なのでもなく、勝手に悪者になるのでもなく、僕らや社会のしくみがある人たちを悪者にしてしまうのだ。

悪者でなかった人がある日、なんらかのきっかけで悪いことをしてしまう。それはもちろん、悪者自身の責任ではあるのだけれど、責任がその人だけにあるかというとそうではない。その人を悪者してしまう人たちやしくみも悪いのだ。

それは環境・社会問題に対して、誰もが責任をもち、その解決に向けてコミットしなくてはいけないのと変わらない。問題を生み出しているのは、僕たち自身なのであることをまず認識することからはじめないといけない。他人の悪事を批判する権利など、僕らにはこれっぽっちもありはしない。

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トキワエイスケさんのこと

最後に、トキワさんのことは実はかれこれ10年近く前から知っている。正確には、彼が僕のことを知ってくれたのがきっかけだった。当時からとてもとても変わった人だと思っていた。尋常じゃない人だなという印象だった。最近の活躍も、この本の準備が進んでいるのも、Facebookの投稿を通じて知っていて、本が出たら絶対読もうと思っていた。

で、読んでみて、あらためてすごいなと思ったし、どうしてこんなにすごい彼が僕に興味をもってくれたのかもなんとなくわかった気がした。

トキワさん、見つけてくれてありがとう。


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