事実婚と育休の経験談

2023年3月に長男が生まれた。我が家は夫婦別姓と決めていたので、事実婚という形を取った。そして夫である私は半年を超える育児休暇を取得している。妻はフリーランス、私は会社員であり、私が育児休暇を取った方が家計にも優しかったこともありそうしている。(フリーランスはなぜか産休や育休が取れない)

事実婚と育休という組み合わせは実は参考にできる事例が少なく、ここに至るまでのプロセスや面倒だった手続きを今後の自分や誰かの役に立つかもしれないと思い、まとめておくことにする。

事実婚について


事実婚にした理由は一つではないが、最も大きな理由は夫婦別姓である。妻の苗字が珍しいこともあり、その苗字を大切にしたいという妻の思いを尊重し、また子どもも妻の苗字が名乗れることにメリットを感じたからである。しかし私が婿養子に入るのは親族的にはNGとなったため、事実婚で別姓という形を取ることになった。
田舎の親族などから反対されるかなという懸念もあったが、きちんと順序立てて説明することで思いの外、理解してもらった。両家顔合わせなどは通常と同じように取り行った。

事実婚と決める前にまず最初に調べたのが、事実婚と法律婚でどのような違いがあるか(デメリットは何があるか)という点である。
これは内閣府が提示している資料がわかりやすい。

内閣府が提供している資料

細かい点はあるものの、大きな違いはやはり相続と親権についてだろう。

相続においては、法律婚では「配偶者」という立場になる夫婦関係が、事実婚ではほぼ「赤の他人」扱いである。どちらかが亡くなっても、遺言を残さないと相続すら行われない。また法律婚により認められている配偶者の税額控除が大きい。その額は上限1億6千万円である。つまり法律婚であれば相続があっても1億6千万円までは非課税扱いとなるのに、事実婚では全て課税されてしまう。この点は明らかにデメリットだが、老後になってから籍を入れるとか、その頃には夫婦別姓も認められている世の中になっていたら良いねという寛大な気持ちで待つことにしている。

親権については共同親権が認められず、片方が単独で親権を持たなければならないという点である。これは通常、何もしない限りは母親が親権を持つが、我が家では苗字を妻のものにしているため、親権は夫である私が持つようにしている。これは出生届を提出後に親権届なるものを役所に提出することで変更ができる。
親権が1人しか持てない点は、現在(生後6ヶ月)時点で何か不便を感じていることはないが、中には親権者しかできない手続きなどが発生すると多少の不便はあるであろう。

この辺りが大きな違いであるが、意外とそれ以外については法律婚と変わらず、諸々の恩恵を被ることはできるのである。
ちなみに事実婚の場合は片親扱いとなって保育園が優遇されるとか、手当がもらえるとかいうネットの噂がありますが、全てまやかしなので騙されないように。そういった扱いも法律婚の場合と変わりません。(うまく誤魔化してやっている家庭があるかもしれませんが、よくないものだと思います)

出生に関連するあれこれ

認知届

事実婚においては父親が子どもを認知することで父子関係が成立する。このため、認知届を提出する必要がある。特別な事情がなければ生まれる前に行う「胎児認知」が一般的である。生まれた後に認知することもできるようだが、認知していない空白の期間が生まれるのもあまりよろしくないであろう。
手続きには戸籍謄本なども必要となるので、なるべく早めに準備しておくのが良い。(私の自治体は戸籍謄本のマイナンバーカードによるコンビニ交付に対応していないので、取り寄せがとんでもなく面倒かつ時間を要してしまった)

出生届

事実婚においては嫡出ではない子の場合として出生届を記載する。記載例はネット上でもいくつかみつかる(こことか)ので、これを参考にして記載して、役所で確認してもらうのが良い。
名前を決めるのに時間がかかり、割と期限(生まれてから14日以内)ギリギリに提出した記憶。

親権届

先の記載にもあったが、我が家では夫である私が親権を持つことにしたので、これも提出した。こちらもネット上でも凡例は見つかるので提出する場合は参考にしていただきたい。

育児休暇に関連するあれこれ

育児休業給付金の申請

意外と苦労したのがこれである。
というのもうちは妻と私の住民票が別であった(妻がフリーランスの事務所兼住宅を住民票に登録しているため)ためややこしいことになってしまった。実態としては同居しているため、これを証明するために民生委員が発行する「内縁関係の証明書」なるものが必要となった。(通常、事実婚で同居している場合は、未届の妻のような形で記載されるので妻であることの証明が可能であるが、住民票が別だとこれができない)
一方で役所に問い合わせると、証明書はできず、意見書のようなものしか作れない、ということで八方塞がりとなってしまった。
会社の人事部と管轄のハローワークとでやりとりしていたが、私から直接ハローワークに問い合わせたり、役所との交渉を経て、なんとか承認をもらうことができた。
あまり同様のケースの人は少ないと思うが、もし同じことで困っている人がいたらコメントください。

給付金は最初の6ヶ月は給与の67%(上限30万ちょっと)、それ以降は50%(上限22万5千ちょっと)となる。現在、例の異次元なんちゃらで80%まで引き上げが検討されているので、より助かるようになるはず。ただし支給まで3ヶ月ちょいかかる点は要注意。


以上、自分が事実婚や育児休暇において経験したあれやこれやである。
書き忘れたことも結構ある気がするので、小まめに改訂するかもしれない。
この記事が誰かの役に立てば良いなと思います。質問などあれば何なりと。



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