農家のブログは難しい
十勝の田舎町で暮らしている。僕は地域おこし協力隊だ。任務は多岐にわたる。自身の就農研修を行いながら、所属する生産組合の活性化も担う。加えて満期後のことを考えて、今からやれることは、すべてやるつもりだ。すると時間が足りない。365日が忙しいというわけだ。
早朝はブログを書いている。日々のたわいもない話がネタだ。正直おもしろくない。筆者である僕が言っているのだから確かだ。それでも書いている。すこしづつだが、ライティング技術が成長している気がするからだ。
きのこ栽培についても書いている。ただ、間違ったことは書けない。親方さんには悪いが、裏取りをしてから公開している。とはいえ情報源はインターネットだ。調べた情報が正しいとは限らない。しかし複数の情報を並べれば、朧気に真実も見えてくるだろう。そう思っていたが、想像以上に情報は散乱していた。
腐朽に関しても様々だ。菌を木に打ちこめば、およそ1ヶ月で木の隅々まで侵食しているはずである。だが、1年半もの時間が掛かるという情報もあった。
発生環境は高湿度の方が良いという説もあるが、中湿度で大丈夫なはずである。むしろ高湿度の環境で発生したきのこは品質の低下が著しい。そもそも、発生しないときの原因は湿度ではないことの方が多いのである。
傘が開いた方が美味しいという記述もあった。僕は閉じていた方が美味しいと思う派だ。こればっかりは主観によるところだと思う。ただ、傘が開くと胞子が飛ぶ。品質の低下も著しい。そこに旨味があるのならば味も低下するだろう。故に傘は閉じていた方がいいと思っている。
傘が開くまで収穫を待ったとしても、それで完熟するわけではない。熟成もしない。きのこは微生物。植物とは違うのだ。僕はそう思っている。
旨味成分も諸説ありだ。生きのこの旨味成分はグルタミン酸だと思っている。グアニル酸は生成されていない。とはいえ微量は含まれていると思う。測定機械の検出限界以上は含まれているのであろう。だが桁が違うと思う。ゼロと言っても嘘ではないだろう。グアニル酸は、乾燥や凍結により生成される旨味成分だと思っている。
大きなサイズの希少性も、すこし疑わしい。基本的には発生前の管理がしっかりしていれば、大きなサイズのきのこも出やすい。だが、それ以上に品種による違いの方が大きいだろう。大きなきのこを育てたいのであれば、大きなきのこが発生する品種を選べばいい。大きなきのこが発生するからといっても、栽培が難しいわけではない。むしろ栽培が簡単な品種もあるようだ。
結局、なにが真実なのかは分からない。真逆の説もある。あきらかに嘘だろと思うものまであった。おそらく、皆が好き勝手に書いているのであろう。だが、これはきのこに限ったことではないと思う。インターネットの情報というものは、そういうものだ。
それらを踏まえて、僕は何を書けばいいのだろうか。もちろん嘘は書かない。けれども、これが本当だというアピールもしない方がいいだろう。嘘くさくなるからだ。
だからといって、なにもしなければ負けてしまう。嘘情報には勝てない。その力は強すぎるのだ。どうしたものか。農家のブログは難しいのである。
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