北海道を走る

僕の車は4人乗りの5ナンバー。マニュアルシフトなため運転も楽しい。だいぶ長くも乗っている。操作も慣れたものだ。ここは北海道。ドライブの聖地と言ってもいいだろう。正直、直線道路が多いのでつまらない部分もある。30分以上ハンドルを切らないことも珍しくない。

だからといって気は引けない。それが運転というものだが、北海道には本州とは違う注意の払うポイントもあった。最高速度だ。常に最高速度を気にしていないと、すぐにオーバースピードとなってしまう。本州でも高速道路では同じであろう。だが北海道では一般道でもそうなのだ。それは国道だけではない。道道や市道、町道でも気を抜けばオーバースピードになってしまうのだ。

直線の道道や市道には他にも気を付けたいポイントがある。突然のクランクだ。クランクと言っても減速は必要ない。1m未満の車線変更があるだけだ。おそらく測量の誤差なのだろう。何もないところで急に出現する。普通に走っている分には問題ないが、一応気を付けておきたいポイントではある。

野生動物もだ。街に近いからと言って油断はできない。「ここで?」と思うところでも飛び出してくる。注意が必要なのは、もっぱらエゾシカだ。かなり大きい。奈良公園の鹿と比べても一回り以上大きいと思う。ぶつかれば廃車の可能性は高い。『鹿保険』なんてものもあるそうだ。

とはいえドライブは楽しい。すこし左手足は暇にはなるが、いい景色が次々と流れていく。ついつい車間距離も気持ち多く取ってしまう。見れる景色の範囲も広がるからだ。

煽ってくる車も本州に比べれば少ないと思う。もしかしたらスピードに対するの価値観が違うのかもしれない。誰だって出そうと思えば出せてしまうからだ。そこに技術や根性が入り込む余地はない。イキってるアピールにはならないのである。

故に譲る車も多い。僕も基本的には譲る派だ。いいタイミングで左に寄る。このタイミングが難しい。危険な場所で左に寄られても迷惑だと思う。スピードを落としてハザードを炊かれれば尚更だ。僕はそんなんことはしない。あくまでもエレガントに。安全で楽に抜けるポイントで左に寄る。追い越しを仕掛けてきたらスピードをすこし落とす。それも周りを見ながらだ。第三の車にも配慮を配ってこそ、一流の追い越せられ屋だと思っている。

北海道の道路事情で少し気になったのは交差点だ。信号が青になる前に動き出す車が多い。これはきっとローカルな特徴だろう。フライングスタートが日常となっている。そのためか、赤信号への変わり目で突っ込んでいく車は少ない。ここら辺でバランスは取れているのだろう。

気が付けば10kmは『近所』となっていた。1時間で行ける範囲は『近場』と思っている。目的地への到着時間も求めやすい。青看板に掲示されている『距離』は、ほぼほぼ『時間』と思っていいだろう。『旭川まで60km』だったら『旭川まで60分』なのだ。まわりの車の流れに乗って走るとそうなる。あまり細かい詮索はしないでほしい。「フィクションと思ってくれると楽です」とはそういうことだ。

とはいえ慣れない部分もある。見通しの良すぎる信号の無い交差点がそれだ。遠くから来る車を待ちすぎてしまう。車が来ているからと止まっているのだが、その車が過ぎるまでの時間が長いのである。

おそらく目測を誤っているだろう。でもそれでいいとも思っている。慌てて行く必要もない。たかが数10秒のことだ。それくらいの余裕は持っていたいのである。

北海道で暮らし始めてから数ヶ月が経った。だいぶ運転にも慣れたと思う。長距離の運転も多くなった。燃費もよくなった。以前よりも車との距離感は短くなったとさえ思える。これからもよろしく。僕のドライブは果てしなく続くのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?