真夏の雑煮は最高だ

定時にタイムカード。それが当たり前と思っていた。けれども、そうではないところで一度でも働くと、嫌でも意識的になる。有効活用しなくてはと。

とはいえ暮らしているところは、都会ではないが田舎でもない。車で通勤しているが、基本的にはブレーキに足を乗せてる時間の方が長い。ドライブは好きだが、この移動目的の運転はさすがに楽しめないのである。

帰宅時にスーパーへ寄るのが日課だ。だが異動後の新たな通勤路に店は無い。そのため一度家の前を素通りしている。これがもやもやする。わざわざ買物へ出かけている気がするわけだ。ついでの買物とは思えないのである。

おまけに道中には踏切もある。割かしよく引っかかる。15両編成の貨物列車なんかも通過する。ここのスーパーは距離以上に遠く感じるのだ。

おかげで夜の献立を考える時間も豊富なのだが、そんなことで解決できるほど毎日の自炊は甘くない。やはりスーパーの食材を見ながらの戦いとなるわけだ。

肉・肉・魚・肉・魚。こんなペースが理想だが、ついつい肉が先行する。迷ったらカレーにハンバーグ、たまに唐揚げ。料理のモチベーションが落ちていると肉になりがち。仕事量が多いとそんな日も多くなる。

どうしたもんかと。せめて料理に多様性を持たせたい。気が付けば10個くらいの献立がループしているからだ。いっそうのこと行事食が来てほしい。僕はそれに乗ることにしている。おせちに七草がゆ、節分にはイワシの丸干し、桃の節句にはちらしずし。だが、それが来るのも年に数回だ。

何にとらわれているのだろう。ここは自炊だ。無限の自由を求めてもいい。真夏の鍋に真冬の冷やし中華もしたではないか。日付を無視して行事食を食べてもいいはずだ。

僕は葱と鶏モモ、そしてパック餅を買った。そう、今日の晩ごはんはお雑煮である。実家の雑煮は関東風だった。僕の雑煮もそれに倣っている。鶏モモと葱を鍋に入れ、水と酒と醤油。出汁は顆粒の鰹。沸騰しないように煮ていく。餅はオーブントースターで焼いておく。椀に盛れば完成だ。

真夏に食べる雑煮は旨い。一品だけなので量も多くしておいた。おせちは無いのである。そのため器もでかい。椀というか鉢だ。餅は5切れ入れた。食べ過ぎである。だが今日だけだ。大目に見よう。それにしても旨い。正月だけではもったいない。通年のレギュラーメニューにしたいのである。

自炊は自由だ。最高峰の娯楽だとも思っている。またひとつ未知の扉を開けてしまった。次はおせちも作ってみようか。僕の自炊は止まらないのである。


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