弾丸ドライブを連発した

医療系の研究施設で働いている。僕は短期転勤族だ。現在お世話になっている事業所は7ヶ所目。場所は北海道。楽しく過ごさせてもらっている。2回目の夏も終わりかけ。お盆を過ぎれば急速に冷えてくる。9月に入れば暖房も欲しくなるというわけだ。

僕は写真が好きだ。趣味を通り越してライフワークと化している。北海道への異動も自ら志願した。おかげで今まで気が付かなかったことも多く知ることができた。写真の腕も知識も以前よりかは上がっていると思う。本当に北海道へ来てよかった。

仕事も順調だ。いろいろと問題は発生したが、その都度解決してきた。問題を乗り越える度に、仕事の安定感も増している。今ではすべてがルーチンワークのように変化している。

だが、1本のニュースがこの生活の終わりを示唆していた。

僕はサラリーマンだ。あまり詳しく書けないこともある。このニュースの内容もそうだ。結論から言うとオーナー会社の新規事業が飛ぶ恐れがある。それは僕を雇う意味も半分消える。実のところ、僕を雇うということは業界内でのスタンス表示の意味合いもあったのだ。それが消えてしまうのである。

僕は同じ会社の後輩を呼び出した。「おそらく異動がある」。そう告げると彼女は吃驚していた。同時に嘆いてもいた。僕も同じだ。激しく同意する。それから2週間後、案の定僕らに異動の話がやってきた。

オーナー会社の部長から直々の伝達だった。謝ってもくれた。異動日は僕らの異動先が決まるまで。そこの配慮はしてくれたのである。

仕事をしている場合ではない。まだまだ撮りに行きたいところはある。スケジュール的にも厳しい。おそらく猶予は3ヶ月くらいだろう。最後の方は雪の降る季節でもある。急いでスケジュールを立てたのであった。

異動までの残りの週末は、できるだけ予定を入れた。日帰り弾丸ドライブも多い。帯広動物園、有珠山、苗穂の鉄道工場一般開放日も外せない。ここに来て35mm魚眼レンズも手に入れた。焦りが購入を後押ししたのである。

美瑛、室蘭、サロベツ原野。4回目で最後の旭山動物園。美瑛と富良野へはもう一度リベンジした。オホーツクエリアにも足を延ばし、函館へは仮眠を取りながらの遠征となった。

星空も撮っておきたかったから、深夜の桂沢湖にも訪れた。札幌の街角スナップも敢行した。札幌ドームや千歳方面の撮影も押さえることができたのである。

雪が降り始めた。タイムオーバーである。それでも行きたいところは行ききった。北海道一周はできなかったが、残りはサロベツ原野から紋別までである。機会があれば1回で完遂できるであろう。あえて残しておいた。将来的に、もう一度北海道へ来る可能性もあるからだ。

強行スケジュールであったが写真はしっかりと撮れていた。お気に入りの1枚も増えたのである。魚眼レンズの使い方には課題が残ったが、他は満足。有意義な残り3ヶ月となったわけだ。

途中、次の異動先のアパート探しにも出かけていた。また本州へ戻ることになる。正直、あまりわくわくはしていない。楽しそうな地ではあるが、どうしても北海道と比べてしまう。

僕の写真生活はどうなってしまうのだろうか。不安でたまらないのである。

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