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書籍購入の上司への事前説明不要、どんどん読みましょう、で1年近く運用しました。

私たちの部署では、上司への事前説明なく業務用の書籍を買えるようにしています。昨年3月に開始して1年近く運用してみて、結果や気づきなどを書いてみます。

ほとんど使われない書籍購入費

元々、業務上必要な知識を身に着けてもらいたい、勉強もしてもらいたい、という理由で書籍購入費、という費用を計上しています。

が、これが、面白いように使われない。数十人の部署なのですが、年で2~3冊くらいしか購入されない。毎月、毎年、費用は計上はするものの使われないのでだんだん額も減らしてきました。

個人的には、業務で使う書籍、資料、勉強のための書籍については、「その仕事をしていなければ買わない書籍」と考えています。なので、これを自腹にする、というのも抵抗があり、ぜひ書籍購入費は利用してもらいたかったのですが。。。

今のやり方だと、必要な本、読みたい本は、たぶん自腹で買うか、読むのを止めてしまうか。

そこで、「なぜ、この書籍費はこんなに使われないのだろう?」というところを考えました。

上司への説明が面倒

これまでは、書籍を購入する場合、上司に対して「〇〇の知識を身に着けることで××の効果が得られそう」「〇〇の業務をする上で××の知識が必要」と説明をして上司が承認することが必要でした。

もちろん、上司も嫌な奴ではないです。何かしら上がってきたら承認してくれそうな上司ばかりです。しかし、あまり購入の声が上がってこない。何が原因なんだろう?

思い浮かぶところしては、「説明が面倒」というところです。

本は読んでみないと、実になるものかどうかわからない。ので、効果が説明しづらい。
・流行りの手法、考え方を知っておきたいときなど「流行りなので」というのは説明として言いづらい
業務に直接は関係ない書籍は、なかなか言いづらい。(本人的には、ゆくゆく関連する分野だったり、少し違った見方を学びたいことがよくある)

などなど、考えてみると、説明するハードルはそれなりに高そうです。

そこで読むのをあきらめてしまっては、チームとしては長期的に損失になりそうなのでやり方を変えてみました

「上司への事前説明不要、自分が必要だと思ったらまず買ってみましょう」

運用ルールの概要

ということで、部署のマネージャーさんたちと相談して以下の運用ルールとしてみました。

上司への事前説明なく自由に買える
kindleも可(個人所有可)
「図書館アプリ(kintone で作ったデータベース)」を作ってそこにに登録する。どんな本を誰が買ったかは公開されていて、誰でも見られる
・できれば感想を書いて、おすすめかどうかも教えてほしい。
・業務に関係があっても無くても買っていい。(まずは読んでみましょう)
・「なぜこの本買いました?」と聞かれることがあれば説明はお願いします。(説明責任)
・この方法で運用してみて、あとで振り返って問題あれば、その時に運用方法を修正します
・業務上の必要性判断は経費申請時に判断する。(事後承認)
・「この本買っていいかなぁ?」迷ったときはお気軽に相談してね。

ということで、昨年(2021年)3月から運用を開始しました。

実際のアプリ(一覧画面)
実際のアプリ(一つ一つの本の詳細)

事前の懸念点

さて、「上司の事前説明不要」ということになると、ほんとにそれで大丈夫?という声があります

・業務と関係ない書籍を買う人が出る?
・漫画とか買う人出てきたらどうしよう?
・一人の人がたくさん買ってしまったらどうする?

などなど。

とはいえ、ほんとにそんな人が何人も出てきそうか?というと普段見ている限りそんなことが起こりそうには思えません。問題が起こるとすれば一部の人が何かやらかすかもしれませんが、それで全員を規制したくない、と思いました。

また、何が業務に役立つのか、何が役立たないのか、これの線引きは意外と難しい。今は役立たない知識かもしれないけど、ある時ふっと思い出して「なるほど」と合点がいって業務でも使える、ということもありそうです。(個人的にそういう経験ありました。)

読んでみたら思った内容と違って役に立たなかった、そんなこともありそうです。が、買って読んでみないとわからないし。

などなど考えました。で、問題が出てきたらその時考えよう、ということで、実行してみました。

導入結果と導入後の気づき

昨年3月から開始して約11か月、80件くらいの購入がありました
そのほか、自腹で購入して図書館アプリに情報や感想を登録してくれたのが30件くらいあります。

以前は、年に2~3冊の購入だったことを考えると、「業務上必要な書籍を購入して勉強する」という当初の目的は達成されつつあります。

この冊数がいいのか悪いのか、というのはなんともわかりませんが、まずはよかった。

導入したところ、いろいろ気づくことがありました。

人によっていろいろ学び方がある
  一冊の本を精読するタイプ。
  たくさん読んで、どの本にも書いてある公約数を取り入れるタイプ。
・この制度を利用してたくさん本を買う人もいれば、全く本を買わない人もいる。
・この購入制度を一切使わないものの、自分で買った本を「図書館アプリ」でおすすめしてくれる人がいる
・感想文をガチで書く人、あっさりな人
・(今のところ)ほんとに業務に関するものだけみなさん買ってくれている
同じ本を何人かで各自一冊買って勉強会する人たちがいる。有志でやることもあれば、部署で課題図書として読んだり。

改めて、人によって学び方もいろいろなんだな、と思いました。私は、買ったからには最後まで読むタイプですが、使える所だけ読むという方も何人かいらっしゃったり。

本を読む(買う)人と買わない人がいて、一部の人が優遇されているのではないか?というのも考えはしましたが、そもそも公平がいいのか?というのはあります。

これは昨年の私たちのイベント「Cybozu Days」のとあるセッションでプレゼンした資料の一部です。

※「公平」という言葉を「平等」という言葉と同様の意味で使っています。

どんな知識、情報をどれだけ取得したいか、できるのか、というのは人それぞれ違います。公平にすることで学びを阻害したり、何か無駄を作るよりは、予算の範囲でそれぞれの人にベストな学びの環境を提供したほうが、みんなハッピーになれると思います。

業務からかけ離れた本についても今のところ特に見当たりません。そのうち現れるかもしれません。誰が何を買ったか、というのが誰にでも見える形にはなっているのと、購入した理由を聞かれたら説明お願いします、という形で説明責任をお願いしました。なので、あまりムチャする人もいないだろうと思います。

意外と感想文面白かった

人により感想文を書いてくれます。それを読んで、この本自分も読みたいなと思うこともあれば、本を読んだ人に一度この本の話を聞いてみたい、と思うこともあります。

感想文には、「思っていたのと違う内容だった」みたいなのもあります。周りのメンバーは少し効率的に本選びできそうです。

ただし、感想文書くのも結構負担になりそう、という声も部署内にあり、感想文の代わりにお勧め度を「★(1つ星~5つ星まで)」で表現してもらう方法も導入されました。

書籍はコスパがいい学習方法かも

本来的には研修制度、教育制度を充実させる必要もありますが、残念ながら私たちの部署ではまだそこが追い付いてないです。また、新しい考え方や手法についてはそもそも研修もないため、本やネットで情報を得るのが早い、ということもあります。

社外の研修ですと、数万円以上かかるものが多いですが、本は高くても数千円です。また一部の人を除いて、毎月何十冊も読めるものではないです。

そう考えると、書籍購入は相対的にはコスパのよい勉強・教育手段の一つと言えます。使わない手は無いです

最後に

ということで、「上司への事前説明不要で書籍購入可能」というのを1年近く運用してきました。書籍の購入(勉強?)も確実に増えたと思いますし、引き続き続けていきます。

最後に私の反省としては「事前説明不要にしたら、業務上微妙と思う本を買う人が出てくるかも」ということを思っていましたが、今思えば、そのようにして仲間を信じないのもどうかな?と思い反省してます

このやり方は、各部門でまちまちの時期にスタートしましたが、今は全社でほぼ同様の手法となりました。自ら自律的に学べる環境をこれからも整備していきたいです。

おわります。


2022年2月10日 20時40分 記載を修正。

当初「書籍購入の上司承認不要、自由に買ってOK、で1年近く運用してみました。」という題名と内容でしたが、サイボウズ社員の方から下記の指摘をいただき、該当箇所を修正しました。確認が甘く、申し訳ありません。。。

・社内からいただいたご指摘
「林田さん、書籍購入については上司への事前説明は確かに不要だけど、経費申請時には業務上の必要性を判断して事後承認という形で進めていますよね」
→「あ、確かに。。。」(私)

お知らせ
来る 3 月 15 日、福岡で「Cybozu Circus 福岡」を開催いたします。
リアルイベントです!
昨年 9 月の開催を目指しましたが、残念ながらコロナのため延期しました。今も、、、ちょっと難しい状況ではありますが、3 月には状況がよくなっていることを祈念しております。

講演やブースでリアルに話を聞く、SNSで実況を見る、同じような境遇の人に出会ったりする、いろいろな距離感、楽しみ方があります。
ぜひ、みなさまのお越しをお待ちしております。


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