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お姉ちゃん、結婚してないの。
先日、10年ぶりに会った16歳の弟に「なんで、なっちゃんはその歳で結婚してないの?」と聞かれた。
その場では「ブルゾンちえみだからだよ」(=キャリアウーマン)と答えたけれど、私ほど大きな可能性を持った人間はいないのだよ、と姉は自尊心を見つめている。
きみは16歳だろう。恋をして、それが実れば、付き合ったり、結婚したりすると思っているだろう。私もきみくらいの歳のころはそう思っていたよ。きみは30代の私をもうおばさんだとすら、笑うかもしれない。
でもあっという間に大人になる。
きみが私と同じくらいになるとき、きみは好きな人をきみだけの収入で養えるかな。きみの好きな人は、共働きでもいいと言ってくれるかな。子どもができたらどうだ。
独身の時点である程度の収入があれば、もしかしてきみはもうちょっと遊んで暮らしたい、なんて思うかもしれない。好きなものを買えたら? 服だって、しまむらやGUじゃ満足できなくなるかもしれない。お酒が強ければ、男友達と飲み歩いたり、適当な女の子に奢ったりする日も来るかもしれない。
はたまた、きみにとても好きな人ができて、そしてあざやかに心が砕けたら? 砕けるのではなく、その子がきみの心を砕いたら? 愛を証明するために、痛くないよ、って嘘はつけるだろうか。嘘をつかない代わりに、思いつく限りの罵声を浴びせられるだろうか。大人はたぶん、両方できなきゃいけない。
そんなことをしているうちに、大人は恋から遠ざかる。割れた心を直すつもりが、必要以上に頑なにしてしまうんだ。あいにく三大欲求は残るから、身体の関係だけは器用に結んだりもする。
なっちゃんが結婚していないのは、それが理由。
の、ひとつ、ともいえる。
なっちゃんは、自分のことを女とも思ってないし、男とも思っていない。女の子も好きだし、男の子も好きだし、性別に関係なくどんな人でも好きになった人が私の好きな人。女から男になった人も、男から女になった人も、私の「好き」の対象になりうる。そうすると、日本の法律では、必ずしも結婚ができるとは限らない。
でも結婚をしなくてもね。大切なことは、「この人と一緒にいたい」と思う人を見つけること。相手も同じ気持ちなら、形にとらわれずに一緒にいればいい。結婚をしてもしなくても、ともに暮らしていれば協力し合わなければいけないことだらけ。一緒に頑張れる相手を見つけよう。さらにはこれって、立ち戻れば、相手に恋愛感情を持ってなくてもいえることなのよ。
これが、もうひとつの理由。
最後に、
きみのお父さんは私のお父さんでもあるけれど、きみのお母さんと私のお母さんは違う。きみと私の顔はほとんど似ていない。でも、私はきみを心から、弟だと思っている。
きみの上ふたりのお兄ちゃんにいたっては、私とまったく血が繋がっていないけど、ふたりもまた本物の弟。そして今日、私のお母さんはふたりとも、忘れずに誕生日を祝うメールをくれた。
なっちゃんは、この環境を生きて、たとえば子連れの人と一緒になるのも良いと思ってる。連れ子が簡単に心を許すわけないよ。それでも良いの。分かってるから。
結婚していないことは、恥ずかしいことじゃないの。結婚以外の喜びをたくさん知っているのだから。16歳のぼく、まだ分からないでしょう。
行く先は可能性ばかり、人生を楽しめ。
32歳の姉より
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