見出し画像

観光しない旅行

以前、「しょうゆをめぐる冒険」という一人旅を企画した。

一人旅は何度もやっていて、それまでも日本の各地で美味しいものをたくさん食べた。そして旅先の食卓には、かなりの割合でしょうゆが置いてあった。(国内なので当たり前ではあるのだけど)

淡白な魚に合う甘口しょうゆ、湯葉に合わせて手作りしたしょうゆ、つける量が少なければ少ないほど豊かな味わいを引き出す辛口しょうゆ。

一人客でも、しょうゆのおかげでいろいろなエピソードがふりかかってきた。
人生初の一人カウンター寿司は新潟でのことだったけど、大将が「しょうゆは本当に少しでいい、そのままで食ってもうまい魚はうまいが、しょうゆをほんの少しだけつけるだけで風味が全然ちがうんだ」と。
あれ以来、いつもしょうゆの量には気をつけている。

という感じで、わたしの旅行に与えてくれる彩りが本当に豊かで、しょうゆが永遠にご飯の脇役なのはもったいない!と思ったため、しょうゆをめぐる冒険に出た。

向かったのは瀬戸内海。
しょうゆ生産のさかんな小豆島があるところ。

しょうゆ工場の見学とか、大昔からの蔵見学とか、自転車でしょうゆポイントを回るのはとても楽しかった。もちろん、合間で他の観光スポットも見るけれど、目をつけるポイントが普段とずれているからか、好奇心の蓋が開いたような感覚があった。
そういう瞬間は、とても幸福に感じる。

なので、旅をするときは必ず一つテーマを決めるようにしている。
かっちりしてなくてもまったく問題ない。一つずれた視点を持ちながら移動するだけで、没入できる世界がぐっと広がるから。

目に入った神社にはすべてお参りしていく旅、なるべくたくさんの種類の日本酒を飲む旅、あとガイドブックに載ってる写真をなるべく同じ構図で撮っていく旅もあった。
旅の嗜好性とでも言うべきか。

今度は何にしようかな。

最後まで読んでいただき、うれしいです。 サポートをいただいたら、本か、ちょっといい飲みもの代に充てたいとおもいます。