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剣道との向き合い方

剣道は他のスポーツとはまったく性質が異なる

剣道の稽古で日本的な感覚を身に付けよう

剣道は他のスポーツに比べて全く性質が異なります。剣道は純粋な日本生まれの競技であり西洋的な科学性はあまり重要視していません。日本の伝統的な思想である禅や気との関連が深い競技です。

私達が剣道の稽古をするときには、相手との勝負で勝つことよりも、剣道にある独特の感覚を理解して普段から身に付けようとする心構えが大事だと思います。剣道をすることで世の中で生かされる部分は沢山あると考えられます。今の日本社会は西洋的な考え方が強くなってきています。するとどういう弊害があるのかというと、なんでも効率的かどうかを考えるようになってしまいます。

剣道に関しても本来一生かけて取り組むべきな競技ですが、要領よく勝てるようになることを考えてしまいます。相手の考えもしない奇襲戦法をつかってみたり、筋トレで圧倒的なパワーを付けようという発想になります。そうするとそのような剣道は元々の本質から遠ざかってしまいます。なので普段から日本的な考え方をするように修正する必要が有ります。元々持っている体の資質を上手く使いこなすという考え方をしないといけません。

世の中にはなんでも丁寧に繊細にこなしていくことで見えてくる世界があります。物事を上達させることも、いきなり方法を変えたからよくなるということは剣道ではあまり見られません。世の中で活躍している人は、剣道界ではそれなりのことをしている人がほとんどです。普段の稽古を丁寧にしていくことで、優雅で上品な剣道が身に付きます。

きちんとした剣道をすることで、感覚がきめ細かくなり、自分を大切にいたわったり、他人とも丁寧に、繊細に気を配れるようになります。普段の生活も丁寧になり、自分で目標を立てて、地に足がついた生活を送れるようになります。人柄にも落ち着きが備わってきます。

剣道の考え方

経験主義

剣道は稽古でもきちんと量をこなすことを重んじています。普段の素振りでも何100回も反復することも珍しくありません。これらの沢山の量の素振りを1本1本丁寧に行うことで、集中力や繊細な感覚を養っています。経験主義と対立する言葉に合理主義と呼ばれるものが有ります。

合理主義はできるだけ時間をかけずに結果を出そうという考え方です。この考え方は西洋から入ってきている考え方です。最近の日本社会は段々考え方が西洋化してきています。剣道の指導でも、効率が良い稽古法を考える人が多いと思います。しかし私は偏りすぎは良くないと思います。

剣道では、たっぷり時間をかけて丁寧に稽古を積み重ねて、地道に力をつけていくという考え方が大事だと思います。着装を丁寧にこなして、相手に対してしっかり気を配って、基本稽古では1本1本に集中して取り組むことが必要だと思います。

合気

剣道では、相手と呼吸や気を合わせるという考え方が大事です。毎回変わる対戦相手に対して、その都度相手の状態を把握して、自分がどう合わせていくかを模索していきます。相手の特徴は一人一人異なるので、自分の対応の仕方も状況に応じて柔軟に対応する必要が有ります。柔軟に対応できるかどうかは普段の稽古や試合経験の質によって変わります。相手の部分を見るのではなく、相手の全体の雰囲気や迫力を見極めて対応するようにします。自分も体全体を使って、全身の気力を相手にぶつけるように攻めていきます。

頭で考えるのではなく体で身に付けよう

剣道では、論理的に考えることよりも、体で身に付けたことをそのまま競技で表現することのほうが大事です。試合中はなるべく頭では考えないようにします。このタイプの相手ならこのパターンで攻めるというやり方は経験を積むにつれて減らしていくようにします。稽古を積み重ねていくと、その攻撃の瞬間に応じて反応する

という方法に代わってきます。これは今までの膨大な経験で体で身に付けた事が無意識にでてくるということです。剣道の高齢者や高段者が強い理由は圧倒的な経験の量による部分が多いと考えられます。


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