まゆ

まゆ、さよならから始める歌はやめにしよう

まゆ、まだ整えていない

まゆ、整えられないほど薄いきみを手のひらに

まゆ、染められない身体に白は入らない

まゆ、眠そうな唇についた衣を

まゆ、それはエビのしっぽであることを

まゆ、眉、繭、強くならないと

ずっとはいられないってなんとなく

それが今日だってこともなんとなく

どちらにしてもあと少しで卒業の僕らだから

桜より前に散りたくなかった

まゆ、あなたはずっと笑っていなさい

たくさんの矢を受け止めて
きみに笑顔でいてほしい

友達がたくさんいるのに一人でいるきみが好きだった

知らない道を通りたがるきみが好きだった

正義感が強くて
言葉より身体が動くきみが好きだった

いつも同じふりかけのきみがすきだった

昔から使ってる巾着のきみが

昔から使ってる髪留めのきみが

爪が丸くて短いきみがすきだった

5時半に帰るきみが好きだった

投資とか始める頃にはお互いのことを忘れているんだろうね

それが健康だよね

そんなわけないじゃんって恥ずかしそうにするきみをもう見れない

うちらって言葉を最後に聞けてよかった

鞄を地面に置く最後の歳に君と話せてよかった

僕を作ってくれてありがとう

悲しみは桜に飛ばしてもらおう

茶色くなった髪と共に


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