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お客さま

1月のある日
キッチンで料理をしていて
後ろにあるリビングを見た。
振り返るとすぐ3人くらい座れるソファーがある。

気がついたら、人が座ってる
女の人で顔は見えないけど
髪の毛で顔は隠れてて
白い服を着てて、ちょこんと前を見てる
身長は150センチもない
年配で細いけどガリガリでもない

おぉーー
と内心思ったけど、害はなさそうだから
ほっておいた。

街中でもたまにこーゆーオバケさんをみる

視線を合わせなきゃ大丈夫だから
基本、みてもスルー。

料理を続けて、またリビングに目をやると

まだ座ってた
" はて?なんだろか "

しばらくしたら 居なくなってたけど
佇んでるって感じだった。
特に感情はなく。そこに座ってた。

…それから2日後くらいに、近所の70歳近い奥様が気がついたらリビングにいらしていた。シェアメイトが頂き物をしたお礼で招き入れていたのだ。
たまにお菓子とか色々下さる奥様で、ワタシはよく道端で立ち話をすることがある。

その方が初めて
今、私たちが住んでいるシェアハウスになる前
この一軒家に一人で住んでた
お婆様のお話をしてくださった。

ちょうど、ワタシがみた
あの白い服を着てた人のそばに
近所の奥様は腰掛けて座った。

その先住の方をTさんとする。
Tさんは100歳になられた頃に
流行り病が始まった時期
病院でお亡くなりになったそうだ。
最近までご存命であった。

女性として、バリバリ働き
お一人で人生を全うされた方だそうだ。
施設に入られる前には
今のリビングの部屋で
こたつに入って外をよく眺めて過ごされてたそう。

もしかして、そういう光景を懐かしんで
2日前に出ていらっしゃったのを
私は見ていたのかなと思った。
お話くださる奥様のから、ひとしきり話を伺ったあと

解らないけど、思い出してもらえる機会が来ることを
あらかじめ知らせてくれたのか
話してほしくって、出てきたのか。
どちらかは解らないけれど、せっかくお話を伺ったので
みんなでTさんに向け、お茶とお香と、お菓子をお供えしてリビングでお話して過ごした。

お線香は、”誰のためにあげるのか”を意図してあげると
きちんと供養になるという。
たくさんの方が眠る供養塔などでは
みなさんで分けてください
というと仲良くシェアしてくれるそうだ。

誰しも家族が居る状態で亡くなるとは限らない。
だけど、こうやって気が付く能力を頂けてるのだから
こうして弔いを捧げるのも愛なのではないか?

Tさんのおかげで、このシェアハウスが出来た。
Tさん有難う。
時折、部屋でお香を焚くときも
Tさんへと思ってあげているという
見えないお客様のお話。

誰かに向けて
語りかけるように
お香を捧げる
(‐人‐)

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