地理的アービトラージを叶える富山の理想的な暮らし
2017年に京都から富山へ移住された東京生まれのTさん。シャイなので顔出しはNGとのことですが、「富山での暮らしは理想的なので、いろんな人に来てほしい!」という熱い想いをお持ちです。
東京、京都での暮らしを経験されてきたTさんに、富山での暮らしと比較していただきました。
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◎東京での暮らしは窮屈すぎた
ーーTさんは東京生まれで、社会人になるまでずっと東京近郊で暮らしていたんですよね?
そうです。でも、住んでいる時から東京の暮らしは人間の暮らしではないと思っていました。
僕が生まれ育ったのは郊外の14坪の2階建の小さな家でした。こんな狭い場所に4人で暮らしていて、無理があると思ったんです。家のまえを大きなトラックが通るたびに揺れるし…。
「実家に帰ったら落ち着く」とか「じいちゃんばあちゃんちって広々としていて寛げる」みたいな話ってよく聞きますが、僕の場合はどちらも東京の狭い家なので全く落ち着きません(笑)。
ーーなるほど。東京で一人暮らしをされていた時期もあったとか?
はい。東京ではお金を払わないと静寂は手に入れられません。大学院に進学し、勉強に集中したかったので都心で一人暮らしを始めました。
5.5畳に9万6千円払っていました。ベッドと机とテレビを置いたら埋まってしまいます。でも、都心での暮らしを捨てると満員電車という殺人兵器に乗らないといけないんですよ。満員電車では参考書を開くこともままなりません。
社会人になったときも手取り21万円で9万円弱の家に住んでいました。こんな生活を続ける将来は見えないですよね。共働きでも満員電車に乗るか高いお金を払って都心に住むかの二択だから、家庭を持つことも前向きに考えられないし…。
ーーそれで、東京を出る決意をされたわけですね。
東日本大震災がきっかけで東北に災害復興支援で伺い、初めて「地方」に出会いました。そこで、地方の魅力に気づいたんです。東京で高いお金を払って買っているものが、地方には当たり前のようにありました。
東京の子供たちが、自然に触れるためにわざわざ地方の学習ツアーにお金を払っているのも知って、それだったら地方で子育てすればいいとも思いました。
ーー最初の移住先である京都の暮らしはいかがでしたか。
物価の違いを痛感しましたね。体感は東京の半分です。京都のど真ん中の賃貸物件(2DK)に10万円で住みました。その時、起業をするためにオフィスを滋賀県に借りたのですが、なんと駐車場込みで8万円でした。
最近、『FIRE最強の早期リタイア術』でも話題の「地理的アービトラージ(*)」が叶うわけです。「理想的な地方移住の形はこれだ!」と思いましたね。IT関連企業を起業したので、結局オフィスにも行かず京都の家でリモートワークするようになりました。すると、京都である必要もなくなったので、さらに安くて自然が多い場所を探し始めました。
ーーそこで白羽の矢がたったのが富山県だったわけですね。
富山県にはご縁があり、それまでも何度か訪れたことがありました。立山連峰の美しさと、路面電車がある風景が印象的で、とても感動しました。一つひとつの施設が広く、美しく整備されている印象があります。
何度か訪れるにしたがって、富山のもつポテンシャルに惹かれ、仕事でも富山に関与できたら面白い!と思うようになったんです。
◎富山で得られたのは豊かな住環境
▲Tさん宅の吹き抜け
ーー実際に富山に移住されて、固定費は京都での暮らしよりも下がりましたか?
富山で最初に住んだ賃貸物件は家賃約10万円で3LDKでした。東京でのワンルームマンション⇒京都での2DK⇒富山での3LDKと、同じ家賃でかなり豊かな生活を手に入れることができるようになりましたね。
今はマイホームを建てたので、単純比較はできませんが、間違いなく固定費は下がりました。家にこだわりたい人には富山での暮らしをオススメします。なんと言っても土地が安いので、その分内装にこだわることができるんですよ。富山市の平均坪単価は約20万円ですから、例えば世田谷区と比較したら10分の1です。
ーーTさんのマイホームへのこだわりを教えてください。
自転車で富山市内の主な場所へ行ける立地であること、吹き抜けであること、庭の広さですかね。
吹き抜けは、家が広いからできる贅沢な空間の使い方ですし、庭も子供たちが思いっきり遊べる広さです。バーベキューも楽しめます。
あ、僕は書籍とガンプラをたくさん持っているのでそれを収納するスペースがあるのも嬉しいポイントです。
◎「稼ぐ手段」を持っているなら、富山へ移住すればいい
ーーどんな人に富山への移住をオススメしますか?
まずは、稼ぐ手段を持っている方には検討してほしいですね。起業家とか、士業の方とか。収入は変わらず、出費は抑えられて豊かな生活を送れるようになります。
東京での用事が多い方にもオススメしたいです。北陸新幹線は一番快適な「動く仕事場」です。東海道新幹線と違い、全ての席にコンセントがありますし、いつも空いています(笑)。隣に人が乗ることは滅多にありません。
北陸新幹線沿線で富山をオススメするひとつの理由は、公共交通機関の発達です。富山市は本当に車なしでも生活できます。最悪、人に乗せてもらえば問題ありません。例えば長野県は、公共交通機関が発達していないので車に頼らざるを得ないんですよね。
ーー富山に移住されて、どんな風に人脈を広げましたか?
正直、「人脈を広げたい」とは全く思わないんですよね。もともとそんな性格ではないので(笑)。でも、面白い方を見つけた時は、SNSや人づてにアポイントをとって会いに行きました。例えば、射水(いみず)市新湊の内川地区でまちづくり事業をされている明石博之さんは、人づてに連絡をとって会いに行った方の一人です。狭いからこそ、地元で有名な方にすぐアクセスできるのも、富山の魅力ですね。
最近は、コワーキングスペースもいくつかできていますので、そこにいけば紹介もしてもらえますよ。
▲富山市街地にあるコワーキングスペース「HATCH」
ーー明石さんご夫婦も移住者で、内川のまちの発展に寄与されてきた方ですよね。Tさんは、富山での暮らしのよさはどこにあると思いますか。
富山は夢を叶えている人が多いように思います。元気なおじさんが多い印象。休日の充実度が高いからでしょうか。
マイホームを建てるだけではなく、事業者が自分のオフィスやお店を思い思いに建てているのもいいな、と思います。カフェ、美容院、雑貨屋、服屋、法律事務所などを見ても自由度が高いんですよね。独立開業のハードルが低いんだと思います。自由度が大きいので、はっちゃけている人がたくさんいます(笑)。
僕自身のことでいえば、ストレスが最小限になりました。最近は打ち合わせはほとんどオンラインだから富山にいて困ることは全くないし、外出するとしても自転車。満員電車に毎日揺られていた東京時代が信じられません。
ーーTさんならではの視点で、たくさん富山の暮らしのいいところを教えていただきました。ありがとうございました。
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▲富山駅北側の風景 ©︎とやま観光推進機構
富山に移住し、ストレスがなくなったというTさん。東京への未練が捨てられない方にとっても、北陸新幹線で1本という富山の立地は魅力的なのではないでしょうか。
まずは一度、富山に足を運んでみてください。ためスモは皆さんのお越しを心待ちにしています。
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