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映画感想

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わたしのみた映画たち
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2018年4月の記事一覧

「メゾン・ド・ヒミコ」:欲望がほしいんだよ。

「欲望がほしいんだよ」 オダギリジョー演じる春彦は、恋人であるヒミコが死に近づいていく中で、生きるための欲望がほしい、と言います。 「刺激がほしい」という言葉はよく聞きますが、それはつまり「欲望がほしい」ということなのかもと思いました。「欲望がほしい」という言葉の方が的を得ているのではないか、と。 とくに、生きる気力がないようなときにこそ、自分の内から湧き上がるような欲望こそが生きていくための糧になるのだと、この春彦の台詞を通して再認識しました。 だけど、内から湧き上

「リメンバー・ミー」:二兎を追う者は一兎を得ずってほんと?

みんなが大絶賛しているので、「リメンバー・ミー」をみてきました。 (※以下、ネタバレあり) いろんな人が泣いた、というコメントを残しているのですが、映画で涙することの多い私は、なぜか今回は泣くことはありませんでした。 でも、「いい映画」という評価には納得。 「死者の日」というメキシコの伝統文化をベースに、死者と現世の関係、家族と(個人の)夢の関係、記憶と思い出の関係などを考えさせられる作品です。 この「死者の日」というのはラテンアメリカにおける祝日の一つで、この日には

「アバウト・タイム」:いま、この時間をもう一度体験するとしたらどう過ごしますか?

今日の映画は、リチャード・カーティス監督の「アバウト・タイム ~愛おしい時間について~」。 ありがちな感じですが、それでも幸せな気持ちになれる作品です。 何気ない一日を、もう一度体験してみると幸せに気づく、というシーンが好きです。お父さんのオチャメで真面目で、人格者であるところも。 ティムの家族はとっても素敵。メアリーを受け入れるティムのお父さんとお母さんのウィットに富む言葉も。妹を心配して過去に戻ってみたけれど、うまく行かなくて、辛抱強く妹と向き合うティムとメアリーも

「名探偵コナン ゼロの執行人」:それぞれの正義

ひさ〜しぶりにコナン君をみました。複雑な登場人物の関係性とストーリー構成、そしてSFアクション映画並のド派手な演出で、名探偵コナンが大人にも愛される理由が分かりました。相変わらずコナン君かっこよかった…!安室さんも。 ハリウッドと似通っているのかは私には分かりませんが、ここに書いてあるとおり。 冒頭の「エッジ・オブ・オーシャン」の爆破に始まり、『ワイルド・スピード ICE BREAK』を彷彿とさせる車列の暴走、さらにモノレールの線路を激走していくカーアクションに、物理学的

「イル・ポスティーノ」:世界全体が何かの隠喩になっているんですか?

世界全体が何かの隠喩になっているんですか? これは、ポストマンのマリオ・ルオッポロが、詩人パブロ・ネルーダに尋ねた問いです。心にとっておきたいな、と思いタイトルにしました。 海辺で話すマリオの隠喩(メタファー)が素敵。 「言葉が寄せてはかえした」「船酔いになった」「言葉の真っ只中で揺れる小舟のよう」 ちなみに、映画タイトルの「Il Postino」は、英語だと「The Postman」。 映画のなかの景色と、言葉と、ポストマンのマリオ・ルオッポロと詩人のパブロ・ネル

「幸福の黄色いハンカチ」:旅路

「秋刀魚の味」に次いで、レトロものに挑戦。 ということで、名作らしい「幸福の黄色いハンカチ」を選びました。 第1回日本アカデミー賞作品賞、キネマ旬報ベストワンなど、1977年度の映画賞を独占した山田洋次監督の代表作のひとつ。 とのこと。若き頃の、武田鉄矢、高倉健、倍賞千恵子、桃井かおり、渥美清らの演技をみれるのが新鮮でした。 ストーリーに意外性みたいなのはなく、シンプルなものですが、武田鉄矢が笑える役を演じているので、面白いです。 私の関心事の観点から印象に残ったこと

「きいろいゾウ」:君が居ればだいじょうぶ。

今日は「きいろいゾウ」。 これは、とにかく宮崎あおいと向井理が好きな人におすすめしたいです。 見てるだけで幸せになれると思います。 お似合いすぎて夫婦になってほしい。笑 Yahoo!映画によると、あんまり評判よくないみたいだけれど、私はすきです。 感じたことは、タイトルに一言で込めました。 幸せな夫婦生活に思いを馳せたい人は、ぜひどうぞ。

「ニュー・シネマ・パラダイス」:愛すべき友情

一昨日の夜中に「ニュー・シネマ・パラダイス」をみました。 トトとアルフレードの素敵すぎる関係を描いた映画(だと思う)。 トトとアルフレードの関係は、言葉に言い表せないほどに美しい。 詳細は、解説読んでやっと理解しました。笑 トトが可愛すぎます。みてください。 かわいい…… もうひとつ、好きな景色はここです。トトが生まれ故郷を去るシーンです。

「ドリーム」:前例にとらわれず、前例をつくる

4月1日、お花見のあとに飯田橋ギンレイホールにて2本連続で映画をみてきました◎ 「ドリーム(原題:Hidden Figures)」。 軽快な音楽と、強気でかしこくて、夢を持つ女性たちの物語が素敵な作品でした。 やっぱり、映画は夢があっていいなーと。 非日常の世界に連れて行ってくれる。 お気に入りは、目的ファーストで果敢に課題に立ち向かっていく、キャサリンの上司のおじさん。「白人用」(正確な文言は忘れた)と書かれたトイレの看板をみずから斧で外したシーンが好きです。 そ

「ダンケルク」:途切れることのない緊迫感

4月1日、お花見のあとに飯田橋ギンレイホールにて観た映画の一作品目「ダンケルク」。 私は2作品目の「ドリーム」を目的にいったので、自分の苦手な銃戦シーンに、「わあぁ……これに2時間耐えるのか……」と圧倒されたのがはじまり。 物語のストーリーや実際の史実については不勉強で十分に把握しきれない中で、途切れることのない緊迫感がつづきます。 ストーリーがあるというよりは、ただただ戦争の緊迫感がそこにある。 最後まで圧倒されるまでの臨場感に溢れる作品でした。 映画終了後、映画

「言の葉の庭」:歩いてゆく

今日は、今週一週間ずっと「帰宅したらみるぞ」と思いつつ、眠くなってみれていなかった「言の葉の庭」をみました!バンザイ、金曜日♡ みどり生い茂る絵が素敵で、どんな映画なんだろう、と気になっていた本作品。 いちばんに思うのは、「(新海誠作品がすきな)私の会社の代表が好きそう!!!」ということ(笑)。 新海誠さんの作品は、終わり方がすっきりしない(?)のが特徴的ですが、新海さんのインタビュー記事を読んでちょっと納得しました。 『歩くことが生きることのメタファーになる』と