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映画感想

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わたしのみた映画たち
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記事一覧

きみの鳥はうたえる:ゆらゆら揺れる

夜のクラブでゆらゆらと踊る石橋静河が美しかった。踊りって美しいんだなあと思った。 役者さんたちの目線とか表情からいろんな感情が読み取れる。思い返してみても、真剣な表情が思い浮かぶ。 そいえば、不倫してた店長さん、本気だったぽかったなあ。もうあんまり覚えてないけど。 最後にどうでもいい独り言なんだけど、私は最初からかっこつけずに優しく大事にしてくれる人と出逢いたい。 (もはやいつのだか分からないほど昔の下書きを公開しました)

「共犯者たち」:権力とジャーナリズム

2018年12月15日、はじめてポレポレ東中野を訪れた。 みたのは、「共犯者たち」。韓国の国家権力に対するジャーナリストたちの闘いを描いた韓国製のドキュメンタリー映画だ。 前日、堀潤さんのおすすめツイートを見て行くことを決意した。 李明博、朴槿恵政権の言論弾圧の実態を告発するドキュメンタリーで、チェ・スンホ監督自らが当時の関係者たちにインタビューする様子やストの様子が流れる。弾圧の対象となるメディア機関は、韓国の公共放送局KBSと公営放送局MBCだ。 参考:NHKよく

男はつらいよ お帰り 寅さん:気の向くままに

2020年新春一発目の映画は友人に誘われて寅さん映画に。寅さんの甥っ子の満男さんの視点から、過去の思い出を振り返るストーリー。映画というよりは、テレビの「○周年記念スペシャル」のような感じだった。 満男さんの妻は若くして亡くなっているという設定なのだけど、そのお父さまが「自分たちのことは気にしなくていいからいい人がいたら再婚してくれ」と満男さんに伝えるところが印象的だった。ちなみに、満男さんのひとり娘も自分のことは気にせずにいい人がいたら再婚してね、と言う。 わたしの従

君の膵臓をたべたい:私たちは自分たちの意志で出会ったんだよ

昨日の真夜中に、どうしてもみたくて布団の中でみた「君の膵臓をたべたい」。号泣してそのまま寝たので、今日は眠気と涙で目が腫れていただろう……。 終わったとき、頭に浮かんだのは、私が大学生のときにバス事故で亡くなった高校の同級生のことだった。 ある日、母が「●●高校って書いてあるけど知ってる?」と新聞を見せてくれた。そこにはバス事故で亡くなった大学生たちの顔写真があった。その中の1人が私の同級生だった。私はその子と同じクラスになったことはなかったけれど、お洒落でかわいい子だっ

永い言い訳:何のために生きていくのか

スマホですこーしずつみた、永い言い訳。 幸夫と陽一くんが海辺で遊ぶ子どもたちを眺めながら、こんなやり取りをするシーンがある。 幸夫 「守るべきものがあるっていいな」 陽一 「守るべきものがあるって大変だよ」 自分のことで精一杯なわたしは、もうひとり、自分が守らねばならない脆弱な生命が存在するなんて、とても大変なことだろうと思っていた。だけれども、それこそが生きる糧になることもある。 多くの人は、おとなになるにつれて、もう自分の幸せを追求するのに飽きるのか、諦めるのか、

「天然コケコッコー」:ピュアとはこのことだ

田舎の中学生のほんわか恋ものがたり。 夏帆がデビューしたぐらいの頃からずっと好きだったわたしは、ずっと天然コケコッコーを見ようと思いつつ、見ていなかった。やっとのことで見た映画で、夏帆は本当に漫画のヒロインそのもののような可愛さだった。岡田将生くんもかっこいいし、キャストの顔ぶれだけでも甘酸っぱいのでは、と思う。 いちばんキュンとしたのは、修学旅行で夏帆が東京の音に耳を立て、「(東京のことを)少し好きになれそう」と、うれしそうに岡田将生くんの手を繋ぐところ。意気揚々とした

「VICE」:事実は小説より凶悪なり

ウィット溢れるコメディーでありながら、とてつもなく恐ろしい。そんな映画だった。 ジョージ・W・ブッシュ政権時代の副大統領ディック・チェイニーの人生を追いながら、9.11同時多発テロやイラク戦争の裏側を描く。 権力者の思うがままに、権力を乱用する仕組みをつくれてしまう実態を浮き彫りにしていた。 政府、シンクタンク、広告代理店、TV局……彼らが総力をあげて情報操作すればどんなことでもうまくごまかせてしまうし、国民を自由に操れることがよく分かる。 情報密度は濃く、その演出も

「聲の形」:生きることを手伝って欲しい

めまぐるしく感情を揺さぶられる映画だった。 学校生活における人間関係構築があまり得意ではなかったし、反省も多々ある私にとって、心が重くなり、イライラするところもあった。ただ、登場人物それぞれのいろんな意見があって、考えさせられる作品だった。 最後に、将也が硝子に言うセリフがすごい。「生きることを手伝って欲しい」って、うまく言葉にできないけど、すごい言葉だ。 この作品は、小学校の授業で使ってみてほしい。自分の考え方や対人関係について、客観的に考えさせられるとてもよい題材に

「新聞記者」:穿った見方が求められている

観るひとの心にモヤモヤを残す、絶妙なラストシーンだった。 映画「新聞記者」は、国家権力による情報コントロールをひとつのテーマとして描いた作品だ。 32歳の若き監督は、政治や社会情勢に関心が高いわけでもなく、プロデューサーからのオファーを一度は断ったという。そんな藤井監督が、東京新聞の望月衣塑子記者の著書『新聞記者』を原案に、官僚側の視点も盛り込んで脚本をつくりなおしたそうだ。 現実世界の政治ネタを盛り込みつつ、ノンフィクションではなくて、あくまでも、エンターテイメントと

「風をつかまえた少年」:学びが人びとの生活を変える

「ぜんぶが失敗じゃない。ぼくを学校に行かせてくれた」 俺は失敗してばかりだと嘆く父親に向かって、少年ウィリアムはまっすぐな目でこう言う。 学費が支払えず学校を辞めざるをえなかったウィリアムだが、学校の図書館で風力発電のしくみを学び、風車をつくることを思いつく。そうして井戸から水を汲み出すポンプを動かすことで干ばつから村を救う。そんな実話にもとづく映画だ。 冒頭のウィリアムのことばのとおり、本が、教育が、人びとの生活に大きな変化をもたらしていくことを実感できるはなしだった

「天気の子」:一人ひとり、それぞれの見ている世界がある(ネタバレあり)

病院の窓から外をみると、夕立のなか、一棟のビルの屋上だけ光が差していた――。 そんな神秘的なシーンからはじまる「天気の子」。雨がふり続ける“異常気象”の東京を舞台に、祈ることで晴れた空を呼び寄せる女の子(陽菜)と、地方から東京に出てきた少年(帆高)が、自分たちの幸せとはなにかを考える、愛のものがたりだ。 (新海誠監督はラブロマンスじゃなくて、擬似家族をイメージしていたと言っているけれど、私からすると愛のものがたりだった。) 印象に残ったのは、みんなが晴れた東京の空を見上

「サムライマラソン」:走れ、侍!

小松菜奈の走っている姿が美しかった。 トップで走り抜けた藩士たちの家族への愛が愛おしかった。 感想はこの二言に尽きます。 あとは、いまいち敵・味方の情勢を理解しきれなかったのと、刀やら銃やらで人を殺しまくる残酷なシーンが大量で、画面をみられなかったので、特に印象に残ることなかった。 ああいうシーン見なきゃならないの、拷問的だなと思うのですが、そう思わない人もいるのが不思議。 豪華キャストの映画で少し期待していたけど、私が理解できていないのか、ストーリー性に乏しく感じ

「愛がなんだ」:愛ってなんだ

純粋に人を愛する女の子の片思い物語ということで、私は主人公に共感するつもりでこの映画をみにいった。 だけど、それほど共感できなかった。 共感できなかった理由は、一見、主人公のテルちゃんがあまりにも自分のことを大事にしていないように思えたからだろう。 私は自分が好きになった人のことはすごく好きだし、とても大事な存在だと思うけど、同時に、自分も大切にしたいと思っている。自分も相手も幸せであることが大事だ。 だから、大事にされていないことが分かっていても、マモちゃんの望みに

「最高の人生の見つけ方」:誰かに喜びを与えたか?

原題は、「The Bucket List」。 “The Bucket List”とは、kick the bucket ; (humorous informal) to die というイディオムからきているそうで、死ぬ前にしておきたいリストのことを指すらしい。 仕事第一で生きてきた大金持ちの病院経営者の男性と、家族を大事に生きてきた自動車整備工の男性ふたりが、死を直前にやりたいことを一緒にやりきるという映画だ。 ありきたりな感じだけど、あたたかい気持ちになって、みんなで号