見出し画像

「天気の子」:一人ひとり、それぞれの見ている世界がある(ネタバレあり)

病院の窓から外をみると、夕立のなか、一棟のビルの屋上だけ光が差していた――。

そんな神秘的なシーンからはじまる「天気の子」。雨がふり続ける“異常気象”の東京を舞台に、祈ることで晴れた空を呼び寄せる女の子(陽菜)と、地方から東京に出てきた少年(帆高)が、自分たちの幸せとはなにかを考える、愛のものがたりだ。

新海誠監督はラブロマンスじゃなくて、擬似家族をイメージしていたと言っているけれど、私からすると愛のものがたりだった。)

印象に残ったのは、みんなが晴れた東京の空を見上げて歓喜の声をあげるなかで、帆高が呆然と泣き叫ぶシーン。総じて、現実離れしたストーリーのなかで、犠牲を知っている者だけが嘆くさまがなんともリアルだった。

映画がおわって、「コナン君と、千と千尋の神隠しが融合した感じの映画だったね」と表層的なコメントをする私に、「天気の子」ファンの友人は、「一人ひとり見えている世界があって、それぞれがその人にとっての現実なんだということを描いている」というような解説をしてくれた(たぶん)。

その言葉をきいて、人とかかわるうえで心に留めておきたいことだと思った。その後にたまたま見た緩和ケア医の西智弘さんのTweetをみて、よりいっそうその想いを強くした。

こちらは人によって見ている世界が違うというよりも、同じ人間であってもその内実は極めて多面的なんだという話だけども、通じるところがある気がした。

2019.8.12 鑑賞








花を買って生活に彩りを…