「VICE」:事実は小説より凶悪なり
ウィット溢れるコメディーでありながら、とてつもなく恐ろしい。そんな映画だった。
ジョージ・W・ブッシュ政権時代の副大統領ディック・チェイニーの人生を追いながら、9.11同時多発テロやイラク戦争の裏側を描く。
権力者の思うがままに、権力を乱用する仕組みをつくれてしまう実態を浮き彫りにしていた。
政府、シンクタンク、広告代理店、TV局……彼らが総力をあげて情報操作すればどんなことでもうまくごまかせてしまうし、国民を自由に操れることがよく分かる。
情報密度は濃く、その演出も、俳優陣や制作陣の気合いも、メイクアップも本物の作品だと、解説を読んで理解した。概要や詳細については、いくつか良記事があるのでこちらを参照いただければと思う。
どの記事でも、主人公のディック・チェイニーを演じた俳優クリスチャン・ベールについて言及されているのだけど、たしかに彼の変容ぶりがすごすぎて驚くほかない……。
最後に、そんなクリスチャン・ベールのインタビュー記事からの言葉を抜粋したい。
『バイス』は、人間の検証のような作品。私がやりたかったことはそこです。(中略)愛国心をうたう人が嘘をついていて、民主主義を壊し、そのせいで人々が死ぬ。その大きな悲劇によって、多くの感情が湧き出してくる。さらに、権力をもつ人たちのバカバカしさも描かれている。(中略)演じている僕でさえ、5分ごとに驚かされると言ってもいいほど。
2019.6.23 鑑賞
花を買って生活に彩りを…