カワノアカネ

くらし発酵家。 東京巣鴨うまれ。九州に移住して里山の暮らしをまなびつつ、お酒が好きすぎ…

カワノアカネ

くらし発酵家。 東京巣鴨うまれ。九州に移住して里山の暮らしをまなびつつ、お酒が好きすぎて酒蔵ではたらく。そこから発酵をロジカルに考えることのおもしろさを知り、いつのまにか講師業がなりわいに。現在は岡山在住。 「季節の発酵しごと」https://cutt.ly/1fwIQoy

最近の記事

【豊かさについて】

福岡でも愛媛でも岡山でも、 「大都会から来て、ここは退屈でしょう」とたくさんの方に声をかけられました。 そのたびにぶんぶんと首を横に振っています。 一瞬たりともそんな風に思ったことがないのは、わたしが食いしんぼうだからだと思う。 季節ものを毎日食べて暮らそうと思ったら、地方のほうが圧倒的にたやすく叶うのではないかしら。 * たとえば写真は先週産直でみつけたオクラの花。 オクラは実をつける前に食べられる花を咲かせるのだけど、スーパーに並ぶことはまずありません。

    • 一粒のむこうがわ

      お米をさわるのが、とても好きです。 田んぼをしていた身としては、いま自分で稲のお世話もしていないのにお米がいただけるなんてすごいことだなあと思ってしまう。 だからようこそようこそ、来てくれてありがとう、とすりすりしながら洗います。 自給的な暮らしをしてよかったのは、お米一粒の背景を想像できるようになったこと。 いまここにそれがある、ということは 去年誰かが種もみを選んで取っておいてくれて それを苗床を用意して撒いてお世話をしてくれて 稲の赤ちゃんが芽吹いてすくすく育

      • 才能について

        わたしの父は広告系のスチールカメラマンです。 いまはほとんど現役を引退していますが、昔はちいさなスタジオを持って仕事をしていました。 * 小さなころ、ときどきスタジオに遊びに行かせてもらうのがとても楽しみでした。 カラフルな色見本、白い背景紙と暖色のライト、バスルームを改造した暗室と薬液のにおい、黒くて重たそうな撮影機材と大きなシャッター音。 何をしているのかわからないことも多かったけど父の写真はきれいだったし、仕事場は秘密基地みたいでわくわくしたのを覚えています。

        • お豆とわたし

          【お豆とわたし】 梅雨が明けるまでに終わらせておきたい台所しごととして、「豆ストックの使い切り」があります。 あなたのおうちにもありますか? お味噌をつくったとき余った大豆、いただきものの黒大豆、ここぞというとき使うつもりだった小豆、などなど。 乾物って保存がきくので、ついつい使うタイミングを逃しがち。 でもね。。今時期湿気をたっぷり吸って、ここから気温が上がるとまあ一気に味が落ちちゃうのです。 お豆が大好きすぎて幼少期家族から「豆女」と呼ばれていたわたしとしては

        【豊かさについて】

          ものと息をあわせる

          福岡に住んでいたころ日本酒が好きすぎて、冬は毎年近所の酒蔵ではたらかせてもらっていました。 上司や同僚にほんとうに恵まれたこともあって仕事はとても楽しく、醸造への興味がもこもこと高まってしまい、3年目、ちょっと特別なお酒のつくりかたをしている千葉の蔵に半年勉強させてもらいに行くことになりました。 その千葉の蔵にいたころのはなし。 わたしの担当は分析といって、毎日発酵が進んでいくお酒から少しづつサンプルをとり、いまどれくらい甘みが減ったか、アルコールが作られたか ビーカー

          ものと息をあわせる

          台所で海をつくる

          2年ほど前、「銀河のおうち」とみんなが呼ぶ、 愛媛県東部の小さな古民家に住んでいたときのはなし。 ご縁あって1年だけ間借りしていたそこは 棚田のうつくしい、山の中腹にぽつんとありました。 愛媛に住んでみたくて家をさがしていたわたしには 友人やご近所さんとのおつきあいもふくめてとてもありがたく、 やさしい居場所でした。 ただひとつ、とても辛かったのは 「海がない」こと。 それまで福岡の海沿いの山間集落に住んでいたわたしは コンビニに行く途中にも海が見えるような、 とても贅

          台所で海をつくる