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落ちこぼれシニアのリベンジ読書~『メタバースとは何か』岡嶋裕史著~

<<感想>>
メタバース・・・・・・? 
プロ野球のどこかの球団に超大物外国人助っ人でもきたか?
言葉を聞いた当初は、そんな風にしか思っていなかった。
著書の定義によると、メタバースとは「現実とは少し異なる理(ことわり)で作られ、自分にとって都合のいい世界」とのことである。
ひと言で言えば、「多様化を推進する『もう一つの世界』」なのだそうだ。
著書では、VRだ、ARだ、ツインワールドだ、デジタルツインだ・・・・・・・。
いろいろな技術(?)の名称がでてきたり、GAFAMのどこがメタバースを制覇するか。
いろいろな記載はあったが、何より勉強になったのはメタバースが出てきたその時代背景だ。
 
すでに業界では常識なのかもしれないが、「大きな物語」と「ポストモダン」という言葉。
これが時代の変化をあらわすキーワードである。
「大きな物語」とは「みんなの価値観が狭いレンジにまとまっている状態」のこと。まさに自分が生まれ育った時代。
一方「ポストモダン」は、「大きな物語」がほどけたあとの時代であり、価値観の多様化を示す、自由な選択できる社会のこと。
これをアイドルに例えるとわかりやすい。価値観のレンジが狭い時代はアイドルは「1人」でいいが、ポストモダンの時代は「これだけいれば気に入った人がいるでしょう」とグループ化が進む。
そう考えると「多様化」も理解しやすいし、時代との関連性もわかりやすい。説明もしやすい。
 
またメタバースはSNSの次に来るものともいわれている。
そもそもSNSは、友だちとつながるネットワークといわれているが、厳密には「つながりを断って人を囲い込む技術」。小さな空間に同じ属性の人を閉じ込めて世界を作ることによって、フリクションのない快適な空間を作ることができる。
興味深いのは、メタバースはSNSの技術をさらに進めることによって、その快適な空間の中で、いつまでもいることができる世界になる(?)ということ。ケガや病気をしていても、高齢でも障害を抱えていても、以前のように元気よく、みんなと同じ時間や空間を共有できるという。
メタバースの目的地は「リアルを超えて、もう少し居心地のいい場所」とのこと。
現実的にはなかなかピンとはこないが、多様化と高齢化の進む今日の日本社会において、まさに「超大物」登場といったところだろうか。期待は大きい。

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