土鍋まるごとロールキャベツ
「なぜその土鍋は丸い形なのですか?」
世界でひとつの形であり、それが愛嬌。この愛嬌が、計算しつくされたプロダクト製品とのちがいであり、良くも悪くも、だから手のしごとには失敗がある。
手でつくるものなので、このカーブに型はない。
料理をつくるとき、そして洗うときの記憶が、つくるときの記憶に連鎖するのだ。心地よい形を記憶するという行為が、型になる。
本体もまるい。ふたもまるい。
低い丘をのぼる「足あと」と、張れなかった「根っこ」の線刻が本体とふたをつなぐ。火は熱風となり、土を通して料理の音がする。
ふたのつまみには「しるし」(家/山)があって、そこには穴がある。
丘の上から香りを放ち、丘の上から蒸気をまいて世界をしめらす。土を通して料理の香りがするのだから、耳も鼻も、すます。
ネズミ色の町を、せめてものエンターテイメントで愉快にさせたいのだ。良くも悪くも、これも手のしごとであり、皮肉にも失敗があるわけで。
土を通して料理を味わいながら、せめてもの笑いがあればと願う。
土鍋まるごとロールキャベツ
キャベツ1個
豚ひき肉 500g
おからパウダー30g
牛乳 少々
トマトピューレ(350cc)
コショウ、ナツメグ 少々
コンソメ1/4個
塩 適量
あとがきコッチョリーノ
▶︎この記事は、コッチョリーノ ブログ(地球のかけら)を書き下ろしたものです。「なぜその土鍋は丸い形なのですか?」の詳細な答えや、「陶芸家のなんちゃってレシピ」も載っています。ブログは作品の情報優先で、こちらは心情というソースをかけた創作料理のようなページです。▶︎今夜は窯出しです。個展の作品数をもっと増やさなければならず、しかし体力に限界が見えてきました。あらゆる想像力ばかりで、何十年やってもドキドキしています。髪の毛はボサボサで、家族に驚かれ「ハワイのトロール人形よりすごい」と、こんなことで愉快にさせています。▶︎己の体力をメタモルフォーゼさせたいというか、メルモちゃんのキャンディが欲しいというか。そういえば、メルモちゃんってメタモルフォーゼの略だって知っていました?
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