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土鍋でつくる米粉ミルクのかぶシチュー

東京のまんなかに住むということ。

空はくらべてみるものではない。大雨を降らせているグレーの空を、どこかの空と比べてはいけない。この期に及んで、日本、東京がせめられている。自粛で自宅にこもることが切ないのではなく、比べてみている空が泣いているのだ。

東京のまんなかに住むということは「協働」の魅力だと思っている。やさしい思考で住めば、日本中、世界中と助け合って生きてゆくことができ、冷たい思考で生きれば孤立する。そんな街だと思っている。



山梨から有機野菜を送ってもらい続けること17年間。若いご夫婦の農業への挑戦を、応援という気持ちではじめた配達野菜。当時、息子は物ごころついてきた3歳。東京のまんなかにいながら、空気のよい場所で育ったその野菜をおいしいおいしいとむさぼるように食べられる幸せを味わった。

箱の中身は開くまでわからない。彼らが育てたいと思う野菜、それが本来の旬であると思っているし、彼らの取り組みのひとつ「自家採種」(育てた野菜から種を採り翌年にその種を蒔く)に一任している。しかしながら、危機的な「種苗法改正」の問題は、この疫病の騒ぎで聞こえにくくなってしまった。(専門知識がないので、これについては言及を避ける)

楽しみにしていた野菜が収穫手前で害虫や天候にやられてしまうこともあった。震災後の放射能汚染においても、苦悩がおありだったことは記憶に新しい。そんなことを思い浮かべながら、今日の混乱においては、東京のまんなかでも、健やかなる野菜がいただけているのだから手をあわせるような思いである。



春一号の野菜ボックスには、まん丸でつやつや、大きな真珠のようなかぶが入っていた。素材の味がひきたつように、いつもよりゴロッと大きめに切って、さっぱりしたミルクスープに。

ミルクスープに映りこむような空を見上げたい。
世界中にひとつしかない本来の都会の空を。



この記事はコッチョリーノブログの書き下ろしです。
材料などは「うつわ職人のなんちゃってレシピ」に載せています。
tamaiazuma.com




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