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種別のものさし(関西私鉄編―6.近鉄)

今回は大阪・京都と奈良・三重・愛知県を結ぶ、近鉄の種別について述べてみます。
路線延長が大手私鉄最大となる近鉄ですが、種別は整然としているようです。

近鉄の路線は大きく分けると4つのグループに分けられます。
1.難波線・奈良線・京都線・橿原線・天理線と、その支線(生駒線・田原本線)
2.大阪線・名古屋線・鈴鹿線・山田線・志摩線と、その支線(信貴線・湯の山線)
3.南大阪線・長野線・御所線・吉野線と、その支線(道明寺線)
4.けいはんな線
そして4.はOsaka Metro中央線と直通している路線で、種別がありません。
したがって、ここでは3つのグループについて述べることになります。

3つのグループで共通する種別は次のとおりです。
【特急】【快速急行】【急行】【準急】【普通】の5種類です。
1.と2.に存在する種別として【区間準急】が、3.だけに存在する種別として【区間急行】があります。
【普通】はすべての駅に停まります。
駅の案内放送では行先のみが伝えられるか、「◯◯行きの【各駅停車】」と案内されます。ただし、伊勢中川以東では「◯◯行きの【普通】」と案内されます。
列車の表示は【快速急行】や【準急】であっても、その列車の終点まで各駅に停まる列車は【普通】と同じように案内されます。
なお、【特急】については使用する車両によって列車名が付くものがありますが、ここでは列車名にまつわる話題は割愛します。
それでは、順にまとめてみましょう。

<グループ1>難波線・奈良線・京都線・橿原線・天理線
【特急】の停車駅は整然としていて、難波・奈良線はすべての【特急】が大阪難波・大阪上本町・鶴橋・生駒・学園前・大和西大寺・奈良に停車します。
京都・橿原線は京都・丹波橋・大和西大寺・大和八木・橿原神宮前にすべての列車が停車し、朝夕の一部列車が高の原に、日中の一部列車が西ノ京に停車します。
天理線では特定の日に限り、臨時列車が運転されます。天理線内の停車駅は天理のみです。
【快速急行】は難波・奈良線の種別で、停車駅は大阪難波・日本橋・大阪上本町・鶴橋、奈良県の生駒・学園前・大和西大寺・新大宮・奈良です。大和西大寺―奈良間は各駅に停まります。
【急行】は難波・奈良線の場合、【快速急行】の停車駅に布施と石切を加えます。
京都線の場合は、京都・東寺・竹田・丹波橋・桃山御陵前・大久保・新田辺・新祝園・高の原・大和西大寺に停車します。
朝の時間帯に設定される近鉄宮津行きは、新田辺から先の各駅に停まります。
橿原線の場合は大和西大寺・郡山・平端・田原本・大和八木に停車し、大和八木から先の各駅に停まります。一部の列車は西ノ京にも停車します。平端から分岐する天理線の【急行】は天理線内の各駅に停まります。
【準急】は難波・奈良線の場合、大阪難波・日本橋・大阪上本町・鶴橋・布施・河内小阪・東花園・石切と停車し、石切から先の奈良県内すべての駅に停まります。
【区間準急】は大阪難波―東花園の間は【準急】と同じ停車駅に停まり、東花園より東側は各駅に停まります。
京都線の【準急】は京都・東寺・竹田・丹波橋と停車し、丹波橋以南は各駅に停まりますが、朝夕ラッシュ時の京都ゆきのみの設定となっています。
橿原線には【準急】の設定がありません。

<グループ2>大阪線・名古屋線・鈴鹿線・山田線・志摩線
【特急】は列車によって停車駅が大きく変わるので、大部分の列車が停車する駅についてのみ触れます。
大阪線は大阪難波・上本町・鶴橋・大和八木・名張・伊勢中川・松阪・伊勢市・宇治山田が主な停車駅となりますが、大和八木・名張・伊勢中川は通過する列車も一定数あります。鶴橋―伊勢市の間のすべての駅を通過する列車もあります。
名古屋線は名古屋・桑名・四日市・白子・津・伊勢中川が基本の停車駅で、名阪間を結ぶ列車の一部は名古屋・津に停車すると大阪線の大和八木もしくは鶴橋までのすべての駅を通過します。特急券と実際に乗る列車の行先・方面はよく確認してください。
宇治山田から東側は山田線・志摩線となり、【特急】は鳥羽・鵜方・賢島に
すべての列車が、停車駅の多いタイプの【特急】はさらに五十鈴川・志摩磯部にも停車します。
【快速急行】は大阪線・山田線のみの設定で、大阪上本町・鶴橋と停車すると奈良県の五位堂まで一気に進み、あとは大和高田・大和八木・桜井・榛原・室生口大野・赤目口・名張に停車します。名張―青山町の間は各駅に停車します。青山町から東は榊原温泉口・伊勢中川・松阪・伊勢市と停車し、伊勢市から東の始終着駅まで各駅に停まります。
【急行】は【快速急行】の停車駅に布施と河内国分が加わり、各駅に停まる区間が桜井―榊原温泉口の間に拡大します。
名古屋線の【急行】は【特急】の停車駅に蟹江・弥富・富田・塩浜・伊勢若松・江戸橋を加え、津―伊勢中川の間は各駅に停まります。
伊勢中川から東は大阪線の【快速急行】【急行】と同様ですが、一部の列車が宮町に停車します。
【準急】は大阪線が鶴橋―河内国分の間に布施・八尾・河内山本・高安に停車し、【区間準急】は八尾より東の各駅に停まります。
名古屋線の【準急】は名古屋―蟹江間ですべての駅を通過し、蟹江より南は各駅に停まります。

<グループ3>南大阪線・長野線・御所線・吉野線
【特急】は使用車両の違いにかかわらず、停車駅はほぼ同じです。大阪阿部野橋・尺土・高田市・橿原神宮前・飛鳥・壷阪山・吉野口・福神・下市口・六田・大和上市・吉野神宮・吉野です。一部の列車が古市に停車します。
【急行】は大阪阿部野橋・古市・尺土・高田市・橿原神宮前に停車し、吉野線内は各駅に停まります。
【区間急行】は大阪阿部野橋・古市・尺土に停車し、尺土―橿原神宮前の間の各駅に停まります。
【準急】は大阪阿部野橋・河内松原・藤井寺に停車し、藤井寺より先の各駅に停まります。
ちなみに【快速急行】は臨時列車として観光シーズンに設定されます。停車駅は古市を含む【特急】の停車駅と同じです。

3つのグループをまとめると、次のようになります。
【特急】はさまざまな停車駅パターンがあるが、時間帯や目的地によって使い分けることができる。
朝夕のみの停車駅を除けば、最低1時間に1本は停車する列車があるようになっている。
【快速急行】は大阪市内(難波・上本町・鶴橋)と奈良県内を直結する列車として考える。
【急行】は大阪市内と布施・奈良県の手前にある主要駅1つに停車し、奈良県内は大半の駅に停車する。
京都・橿原・天理線と名古屋・鈴鹿線は主要駅に停車する。
奈良県内・三重県内の始終着駅近くは各駅に停まる。
ただし伊勢中川より先は主要駅停車に戻る。
【準急】は布施・名古屋・京都・阿部野橋から10~15分は主要駅に停車し、その区間を外れると始終着駅まで何駅あろうが各駅に停まる。
【区間準急】は10分ほどで通過駅のある区間が終わる。
いずれも「ターミナル駅のあるエリアからどこに向かうのか」で乗る列車が決まるようになっているのが、近鉄の種別の特徴といえそうです。

それでは次回の投稿まで、ごきげんよう。

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