(ネタバレなしです)「ゴジラ キング・オブ・モンスター」鑑賞。
予告編に映し出された、ゴジラ、モスラ、ラドン、そしてキングギドラの勇姿!これはもう面白いに違いないぞ!という確信のもと、居ても立ってもいられず、公開初日の映画館直行です!ありがとうプレミアムフライデー!君のおかげで残業時間がわずか30分で済んだよ!
前作のハリウッド版ゴジラ(2014)も力作ではあったのですが、「ゴジラの暴れるシーンが少ない」「余計な人間ドラマに尺取りすぎ」などの批判もちらほら。その点、有名怪獣がこぞって出演するこの映画では、そんな不満はあり得ません!冒頭のモスラ幼虫のシーンから、視聴者に飽きさせないタイミングでスクリーンに顔を出してくれる怪獣の皆さん、そのカッコイイこと!前作より頭身が上がり、より精悍に(…いや、そのぶん迫り出したお腹がより目立つ感もあるけど…)なったゴジラに、溶岩の炎を翼に纏ったラドン、艶めかしく発光するモスラ、そして圧倒的な威容を誇るギドラが絡み、怪獣同士の大乱闘!特に途中、ラドンの空中戦は圧巻です!
それはまあ、いいんですが…ストーリーはどうかというと…。当然、怪獣さんたちは暴れるのに夢中なわけですから、ストーリーに関しては人間パートが請け負うわけなのですが、これがまあイケてない。いや、もちろん怪獣の暴れるシーンがメインなわけで、ストーリーなんか添え物!だからコンパクトにご都合よくチャッチャと展開させるね!というテンポでやってくれてるんですよ。だからペース配分としては正しんですけど…
そのコンパクトに収められたストーリーが、何故こうも俺を苛立たせる?
「ハリウッド映画の親子愛がウザい」という感想が目立つようになったのはいつからでしょうか。主題としては大切なものですし、それが必要であった作品もまた多いと思います。
それにしても、この映画に関しては邪魔なんてもんじゃない。
親子の葛藤だの何だのでここまで世の中の事態を悪化させる映画はスターウォーズ以来じゃねえか?ってくらい、主人公一家が世間に迷惑をかけまくります。「何人死んだかなあ?お前のせいで一体何人死んだと思ってるんだ!」と、銭形警部に変装したルパンみたいなことを叫びたくなってしまいます。
迷惑不愉快極まりない、ゴジラ達よりモンスターなモンスターペアレンツ一家でも、メインキャラクターなのでそうそう殺すわけにはいかない怪獣さん達。その圧倒的な巨体とド派手なビジュアルの攻撃方法を誇りながら、極めて繊細に気を使いながら主人公らメンバーへの寸止めを繰り返します。その為にイカすビジュアルの割には怪獣達の破壊力がまあ印象として乏しいこと乏しいこと。この映画の中で、もっとも人を殺戮したと思われるのは、ゴジラの火炎放射でもギドラの光線でもなく、多分ラドンの翼のはばたきです。挙句に鉄人28号のコントローラーみたいなしょぼい機械ごときに終始振り回されっぱなしの怪獣さん達。おそらく怪獣ファンの多くが望んでいたであろう、理想的な「まるで本物が現れたような迫力の怪獣」を映像化して見せたというのに、ストーリーが全力でその魅力を潰しにかかっているような印象すらあります。
ただ、これをハリウッド側の責任にばかりにしてはいけない。この映画、かつての日本版ゴジラシリーズに対するリスペクトを感じるシーンが多く、特に「平成シリーズ」と呼ばれる作品群を彷彿とさせるシーンが多くありました。ゴジラシリーズでも多くの人気を集め、正月映画としてファミリー層に受けるように作られたシリーズですので、これもまた怪獣の魅力を削ぐような「余計な要素」が多く含まれていた印象は拭えません。そういう部分まで、ハリウッドさんが「必要なんでしょ?」と思って、ついついすくい取ってしまったのかも知れません。「メカゴジ」とか「スペゴジ」とかで、家族愛とか散々言っちゃってたしなあ…放射能描写のお粗末さは「デストロイア」があたりか…
ついつい不満が多く出てしまいましたが、怪獣アクションとしてはこれ以上ないほどに完璧です。なんつってもデザインは素晴らしくても首部分の操演がネックで、実際に戦うとあんま強く感じられなかったギドラが、今作ではめっちゃ強くて迫力がある!真のキングギドラファンが半世紀以上待ち望んだ映像がここにはあります。
キングギドラファンと金星人は必ず劇場に!
評価 星4/5
更新は不定期ですので、気長に待っていただけると幸いです。Jリーグのサポーターの方はどこのチームでも大歓迎。煽り合いではなくゆるいノリで楽しめたらいいなと思っています。