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2019.03.06 アジアチャンピオンズリーグ 浦和レッズ vs ブリーラム(タイ) @埼玉スタジアム2002 ~攻撃に見えた光明、我慢比べの果ての衝撃~

公式戦未勝利、得点0という、どん底の状況の中、アジアチャンピオンズリーグが開幕しました。フルターンオーバーをするのではないか、という憶測も流れる中、蓋を開けてみればFW杉本ではなくナバウトを先発起用、山中を下げて宇賀神を左に戻し、右を橋岡&森脇のコンビに変更。中盤のエヴァルトンを除けば、昨年も在籍していた馴染みの顔ぶれの先発陣となりました。

選手入場。御披露目となったACL用の新チャントを轟かせてサポーターが出迎えます。

試合開始直後から、浦和は一斉に攻め立てます。アンドリュー・ナバウトは馬力あるドリブルと判断の良いショートパスに特長のある選手ですが、何よりも頼り甲斐のあるのは、実直に繰り返す前線からのプレス。相手チームへのプレッシャーをかけることを厭いません。加えてかつて知ったる連携で動く両サイドが、積極的に前に出ることができたので、タイは前線の二人を残し、5バックどころか中盤の選手までが自軍近くまで後退を余儀なくされます。

しかし浦和のシュートはなかなか増えません。ゴール前に選手が密集してスペースが少ない、という理由があるにせよ、各個人のプレーの判断のスピードがゴールに近づくほどに遅くなり、シュートを打つべきタイミングを逃すシーンが目につきます。得点が入らないプレッシャーが足枷になっているのは明らかでした。

当初は試合の雰囲気に呑まれていたようなブリーラムですが、次第に立ち直り、中盤のプレスをかけてくるようになります。前節リーグ戦で対峙した札幌ほどの連携したプレスではありませんでしたが、それでも浦和のプレーにミスが生じるようになります。先発唯一の新顔、中盤の底でアンカーの位置を務めるエヴァルトンは、未だに自分の役割を探っているようで、ポジショニングに気を配っている仕草は盛んに見せるのですが、存分にその能力を発揮する場面は少なく、プレーが切れた場面で、柏木と随分と長く大きなジェスチャーで話し合う場面が見られました。

前半中盤、タイが決定的なチャンスを迎えます。ミスから奪ったボールにFWが独走、かろうじて追いついた槙野がギリギリで食い止めるシーンです。きっかけとなったミスを犯したのは、久しぶりの出場、チャンスに燃える森脇でした。積極的に前に出て、得意のサイドチェンジで攻撃のパターンを増やそうと奮闘していた彼でしたが、次第にタイの攻撃の狙い所にもなっていました。

私が知る限り、森脇という選手はJリーグプレーヤーで最も、メンタルコントロールが下手っぴな選手です。興奮のあまり余計なことをやらかしてチームに迷惑をかけたり、大きなミスをしてはそれを引きずってその後のプレーがグズグズになったりする光景を何度も見てきました。前半終了時、私は森脇が後半に立て直せるか、そのことがとても心配でした。

その後半開始からの約20分。結果から言うのであれば、その20分間がこの試合の肝となりました。前半終盤の勢いのまま中盤のプレスからチャンスを伺うブリーラムと、その間隙を縫ってパスを繋げて前に進む浦和の攻めの応酬の中、ブリーラムはセットプレー絡みのシュートでポスト直撃2本に加え、決定的シュートを打つものの西川にブロック。一方の浦和はコーナーキックから、悲願の今季初得点を槙野が奪取。チャンスをついに生かしきった浦和が耐えきると、65分を経過した頃から、ブリーラムの中盤での運動量がガクッと落ち込みます。

再び勢いを取り戻した浦和、特に右サイドでは前へ前への押し上げを辞めない森脇に尻を叩かれるように、普段よりゴールに近い位置に陣取るようになった橋岡、彼の前に、長澤のシュートの跳ね返りが溢れてきます。それを鋭いゴロのシュートで打ち返し、見事にゴールをゲット!19歳の若武者のゴールで、スタジアムが一斉に沸き立ちます。

さらに浦和サポーターを興奮させたのは、84分、興梠と交代して出場した汰木でした。今期、山形より移籍加入。昨年末の天皇杯準決勝、J1の仙台相手に自軍ゴール近くから圧巻のドリブルを披露し、一気にゴール前まで押し寄せたプレーでJリーグファンに強く印象を残した24歳の、浦和初見参です。

その彼がスタジアムを沸かせたのは88分。左サイドでボールを受けた彼はドリブルを開始、緩急をつけたドリブルでたちまち二人を交わすと、さらに一人を鋭い切り返しで外し、フリーの状態で鋭いクロス!ナバウトのヘッドは惜しくも届きませんでしたが、その裏に走りこんでいた橋岡のスライディングにピタリ!ダメ押しの3点目は、浦和サポーターが心から愛する、生粋のドリブラーのプレーから生まれました。

平日の夜の2万人越え。人数的には札幌戦の半分ですが、平日にわざわざスタジアムに来る気合の入ったサポーターの声は、今日も迫力十分でした。

汰木の衝撃のドリブルデビューにサポーターの興奮も冷めやらぬまま、試合は3-0で終了。浦和、ついに今期の初勝利です。

今季初ウィアダイ。ブリーラムのサポーターさんは選手と親しげに挨拶をした後、手際よく片付けを済ませてお帰りになったので、多くはご覧になりませんでした。

試合内容としては、まだ満足という訳にはいきません。ブリーラムのプレーはかなり不安定で、おそらくは満足な戦いができていませんでした。その相手に途中までは苦戦し、決定的なピンチも迎えています。しかし、攻撃の修正、守備の粘り強さ、そして何より、与えられたチャンスと生かそうと力を発揮する選手の出現は大きなプラス要素です。週末の松本戦、この時に出場する選手は誰か。ついに奪った得点と勝利は、ぎこちないままだったチームを変える契機となるのか。

俄然、今週末の松本山雅戦に期待が高まる夜となりました。

おまけ。

今夜のスタグル。これめっちゃ美味い。あっさりサクサクな揚げ物に甘じょっぱいタレがやたら合う逸品。1000円。

がってん寿司ポーズの武藤。果たして復帰戦はいつになるのか?

その隣は、この試合後半40分からピッチサイドで出場準備したのにプレーが途切れず待ちぼうけ、わずか30秒程度の出場に終わってしまって不機嫌な表情で腕を組む鈴木大輔の図。残念な初出場だったが次は頑張ろう。

更新は不定期ですので、気長に待っていただけると幸いです。Jリーグのサポーターの方はどこのチームでも大歓迎。煽り合いではなくゆるいノリで楽しめたらいいなと思っています。