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【世界史】異常なほど肉を愛した肉食男子たち

「肉食女子」という言葉が登場したり、塊肉や熟成肉が人気の昨今ですが、

日本人が食べる肉と言えば、ウシ、ブタ、トリ、ヒツジくらい。

たまに、シチメンチョウとか、ウサギとか、ハトを食す機会があるくらいではないでしょうか。

歴史上の本当の「肉食家」たちは、なにをどのくらい食べていたのでしょうか。

3名の伝説的な肉食男子を紹介します。


1. ダイアモンド・ジム・ブレディー 1815-1916(アメリカ)

ダイアモンド・ジム・ブレディー(本名ジェームス・ブキャナン・ブレディー)はアメリカのビジネスマンで、鉄道ビジネスで一代にして巨額の富を築き上げた人物です。

彼は自分の名前に「ダイアモンド」と付けるほど宝石を愛し、生涯をかけて集めまくり、その総額は5000万ドル(約50億円)にも上るそうです。絵にかいたような成金です。

彼が宝石と並んで愛したのが食事で、毎食彼が食べる食事のボリュームはもはや伝説の領域にまで達しています。

朝食にはパンケーキ、マフィン、グリッツ(粗びきの乾燥トウモロコシ)、パン、卵、バラ肉、ステーキ、フライドポテト、オレンジジュース。

「午前のおやつ」に牡蠣20~30殻を平らげ、その後ランチでカニ数匹、ロブスター1匹、牛ステーキ、巨大なサラダ、デザートに自家製パイ数人前とオレンジジュースをペロリ。

「午後のおやつ」にアフタヌーンティーと魚介類のプレート、そしてレモンソーダ2~3本。夕食は通常牡蠣20~30殻、カニ6匹、タートルスープ2人前を食べましたが、豪勢に行くときはロブスター6~7匹、カモのロースト2匹、淡水のカメ、サーロインステーキ、野菜2人前、デザートにフランス菓子とチョコレートキャンディー2ポンド。

カロリーも気になりますが、これまで大量の食材が体のどこに消えていったのでしょう…。

彼が食べた食事があまりにも凄かったというのは後に大げさに誇張されている、と言われていますが、実際のところ凄く、ニューヨークのレストランオーナー、ジョージ・レクターは「私が生涯に抱えた顧客の中でベスト25に入る」と述べています。

  

2. ヘンリ8世 1491-1547(イギリス)

テューダー朝2代国王ヘンリ2世は、ローマ・カトリックからイギリス国教会を分離させたことで有名。一般的には、妻キャサリン・オブ・アラゴンとの離婚を認めないカトリック教会に愛想を尽かし、独自の教会を作って自らそのトップに立ってしまったとされています。実際のところ肉食系男子だったようで、常にいい女を探し求めており、その生涯で6度も結婚しました。

肉食系だったのは食生活もしかりで、ヘンリ8世の食卓にはあらゆる種類の肉が並びました。

牛肉、豚肉、マトン、鶏肉、ベーコン、ガチョウ、子牛、鹿、ラム、クジャク、白鳥、マガモ、コガモ、ヤマシギ、ツグミ、コマドリ、ツル、サンカノゴイ等…。

当時イギリスの貴族は80%近くをタンパク質から摂取しており、野菜は付け合わせとして出る玉ねぎ、キャベツ、ニンジン、レタス、チーズ、ネギなどを摂取する程度でした。

1933年の映画「ヘンリ8世の私生活」で描かれた食事風景を見ると、当時の王宮の食卓がどのようなものだったかイメージができます。確かに、みんな手づかみで肉に喰らいついています。


3. ヘリオガバルス 203-222(ローマ帝国)

 Photo by José Luiz Bernardes Ribeiro
ローマ帝国第23代皇帝ヘリオガバルスは、カリグラ、ネロと並び称されるローマ帝国の「暗君」「暴君」と言われています。

後世に脚色された部分も多くあると思われますが、政治を顧みずに色情と怠惰に溺れ退廃的な生活を送り、性的にも倒錯した趣味を持ち、またこれまでのローマの慣習を無視してオリエントの神の信仰にふけるなど、とかく評判が悪い男です。

19世紀後半にローレンス・アルマ=タデマによって描かれたヘリオガバルスの絵がこちら。パーティ会場にやってきたお客の真上から大量の花びらを落とし、客が窒息しながら死ぬのを見て楽しむヘリオガバルスの様子を描いています。

 これは4世紀に描かれた「ローマ皇帝群像」という書物に実際に記述されているヘリオガバルスの悪行ですが、かなり誇張されており本当かどうか定かではありません。

ただし、ヘリオガバルスが享楽的な生活を送ったのは確かなようで、夕食のメニューは当時の贅を尽くした珍味のオンパレード。

銀のベッドに体を横たえ、よい香りの香水の風を美少年たちに仰がせながら食べる料理は、

トリュフを添えたクジャクの舌と雌豚の乳房、ケシを添えたヤマネ(リスとネズミの交配種)のロースト、アフリカのカタツムリ、オオカミウオ、豚の腹に詰められた生きたツグミ、等々。

ヘリオガバルスは特に「脳みそ」を愛したそうで、ツグミ、クジャク、インコ、キジなど様々な鳥の脳みそを食べ比べしていたそうです。

よく分かんない珍奇なものばっかで、毎日こんなもん食ってたら飽きそう…。


現代は昔の人が食べられないような洗練された料理を数多く味わえますが、一方で昔の人しか味わえなかった珍味も数多くありそうですね。

明日は「奇食を極めた男たち」を紹介します。

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