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最遅!文学フリマ東京38に参加して【前半】

文学フリマ東京38、初参加が無事終了しました。

なんと、もう一週間前のことです。

私はいまだに、文フリ初参加の味をしがんでいます。しがみまくっているうちに、あっという間に一週間が経過しました(でもきっと、明日もしがむ)。

一日通して、とても得難い体験であったことはたしかです。でも、それが自分にとってどんな風に得難かったのかをひとつひとつ書き出していたら途中で恥ずかしくなって、書くのを中断してしまいました。

とはいえ、書かずにいたら絶対そのうち忘れちゃうしな!と思い直して、やっぱり公開してみることにします。

というわけで、めちゃくちゃ遅れての振り返りになってしまうのですが、当日のことをいくつか書き留めておきたいと思います。



前日

前々日くらいまでは、本も完成したし荷物も送ったし、余裕しゃくしゃくだぜ〜!くらいに思っていたのですが、前日になってPOPだったりレジ周りのポスターだったり、あれもこれもないじゃん!ということに気づいて慌てて準備することに。

本を完成させたことですべて終わった気になり、シミュレーションが足りていなかった……。初参加あるあるですが、反省点です。

どうにかこうにか、すべての準備が完了。気がついたらあっという間に0時を回っていて、あんなに余裕あったのに、なぜ……。と思いながら、お風呂に入って寝ました。

先が思いやられます。

当日の朝

こういう時にうっかり寝坊するのが私なので、「頼むから目覚めてくれ6時間後の私!」と念じながら布団に入ったのですが、緊張もあってか、朝は予定より早めに起床。流通センター駅に着いた時には、すでに会場までの長い列ができていました。

東京流通センターだからTRC…ってコト⁉︎

予想以上の人の多さに圧倒されつつも、いそいそと建物の中へ。会場に入ってからは、今回ブースを貸してくれたミモザブックスさんが手際よく準備を進めてくださったことにより、瞬く間にブースの設営が終わりました。

ポスターやPOPは用意していたものの、実際にレジ周りをセッティングをしてみると、「あれ!?これって寝かせて置いたらあんまり目立たないのでは……」「持ってきたマスキングテープが全然くっつかねぇ!!!」など、細かなトラブルが多発。何事も想定通りにはいかないものです。

こざわが粘着力の弱いマスキングテープに苦戦している間に、設営完了

比較的余裕を持って開場に備えることができましたが、実際に始まってみるまでは、一人も来ないかも……。とダウナーになったり、いやいや、取り置きの人がいるじゃん!と自分を鼓舞したり、当日キャンセルもあり得るしな……。とまたダウナーになってみたり。新刊の発売日を一週間後に控えた小説家のように、とにかく心が忙しなかったです。

そして、ついに……!


ついに、開場

会場内に、定刻通り開場するとのアナウンスが。自然と沸き起こる拍手に、じわじわとテンションがあがります。

開場して間もなく、まずは有名な出店者さんのブースにずらりと人が並び始めました。すげー!!!と興味津々でその様子を眺めたり、みんな朝から楽しみに並んでいたんだなあ、と一番乗りでやって来た人達の待ち時間に思いを馳せたり、結局今回ってどのくらい人来てるんだろう、と入り口の方を覗いてみたり。

ただし、この時点で我がブースは無風。続々と入場者は増えており、ブース前を行き来する人や、チラ見してくれる人もいるにはいるのですが、なかなか足を止めてもらうまでにはいたらず……。

10分も過ぎた頃には、さすがにちょっと不安になってきます。



ほ、ほんとに一人も来なかったらどうしよう?



そう、私はこれまで散々ミモザブックスさんに「当日はゆったりしてて大丈夫っすよ!」「一冊も売れなかったりして!ガハハ!」とかなんとか言っていたくせに(そして、そのたびに励ましの言葉を強奪していた)、心の底では「さすがにそんなことにはなるめぇ。……な、ならないよね?さすがにね???」と思っていたわけです。

予防線張りまくり虚勢メンタルしなしな女です。

だって!!!

だってみんな、Twitter(X)ではあんなにいいねをくれたじゃない!

たのむ!!!!!!!

来てくれ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!

と祈るような気持ちで通りすがる人々に笑みを向け、会釈を繰り返していたわけですが、開場から少し経った頃、(私の見間違いでなければ)ちらちらとこちらの様子を窺っているような人の影が……。


売れた!!!!!

砂漠の蜃気楼かな?

いや、でもあれは……。

……な、なんと!

こっちめがけて歩いてくる!

わ〜〜〜〜〜!!!!

売れた!!!!!!!!(売れたよ音頭を舞い踊る私)

記念すべきお一人目は、取り置きの方でした。

と、と、と、取り置きの方!!!ありがとう〜〜〜〜〜〜!!!!!!あなたが本を取り置きしてくれて、ブースに立ち寄ってくれたおかげで、この十数分間を耐え切ることができましたよ……!

という感じで、エモーショナルに感謝を伝えたかったのですが、現実には「アッ…ア…」「て、手が、震えちゃいますね…ヘヘッ」「サッサイン……しちゃってもいいすか、ハハ…」などと、久しぶりに親戚と会った思春期の中学生みたいな言動しかできなかったことが悔やまれます。でもでも、本当にありがとうございます……!!!


ブースに立ち寄ってくれる人が増える

その方が最初の防波堤を突破してくれたからなのか、11時半を回った頃から少しずつ、ブースに立ち寄ってくれる方も増えてきました。

今回、お渡しする本によってペンの種類を変えたり、サインの横に落款を押したり、ノベルティのステッカーを渡したりと、開場直前に細々した作業を加えてしまい「無駄に工程を増やし過ぎた……?」と不安を覚えていたのですが、お一人お一人しっかり話す時間を作ることができて結果オーライというか、それはそれでよかったような……。ナイス・過去の自分。

商品にサインをする時に、なるべく「この本のこと、どんなきっかけで知ってくれたんですか?」とお声かけするようにしていたのですが、なんとそこに、「読者です」と名乗ってくださる方が……!

わざわざ本を買ってくれているわけですから、もちろんそういう方もいるだろうと思ってはいたのですが、実際に目の前にしてみると、人間「えっ、本当に?」となってしまうものです。

驚きのあまり「え〜〜〜!!」と仰け反り、「そんな人、本当にいるんですか?」と疑惑の目を向け、「めちゃくちゃレアですよ!レア!!!」と鼻息荒く詰め寄るなど、今思い返せばちょっと失礼だったな、という発言を繰り返してしまいました。

なんというか、アイドルのライブとか握手会とかに行って、
『アイドルって、存在するんだ……。私も生きている、この世界に』
と"理解"した時の感覚に近かったです。

中には『負け逃げ』の頃から読んでます、という方もちらほらいらっしゃり、さらにびっくり仰天。


古参、参上

何を隠そう『負け逃げ』は、2015年に発売された、私のデビュー作なのです。もう市場には出回っておらず、今読もうとしても電子書籍か図書館か古本でしか読めない、※幻の本……!

※もう出回ってないと言ったくせにあれですが、もし今回の同人誌を気に入ってくれた方がいたら、次に読むのは『負け逃げ』がよいかな?と勝手に思っております。おすすめです。
今回の同人誌は、比較的初期の作品を集めて作ったこともあり、既刊で空気感が近いものと言ったら、やっぱりこれじゃないでしょうか。前述の通り、電子しかなくてあれなのですが……。

か、紙派の方……!図書館か古本、きっとどちらかにはある……はず……。入手しづらくてごめんよ〜!(こういうことがあるから、絶版や重版未定はならないに越したことはない)


とにかく年数だけで言ったら、今から8年前の本。文庫にしたって5年前。ということは、私が全然本を出せずにいた数年の間も、本のことを覚えていてくれたということで。ていうか、すげ〜よ!登場人物の名前も覚えてくれてる!!!!

……そんなことある?

時間、息してる?

まるで自分とその読者の方だけが多元宇宙に迷い込んだかのような、不思議な体験でした。

その他にも、Twitter(X)でおすすめに流れてきた告知を見てくれた方、r-18文学賞は毎年チェックしてますという方、ミモザブックスさん主催のスペースの企画を聴いて、興味を持ってくれた方。

そして、私が文学フリマに出ることはまったく知らなかったにもかかわらず、ブースにいる私をたまたま見かけて、お越しくださったという方も。

「なんでここにいるんですか!?」と声をかけられ、「たしかに、なんで私ここにいるんだろう……?」という気持ちになったりもしたのですが、「なんで」もなく、「どうして」もなく、ただ私たちはここで出会った。

それでよいではありませんか。



そんなことを思う、うららかな日曜の昼下がりでした。



続く


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