デブリの星/冒頭試し読み
5月19日(日)文学フリマ東京38に参加します。文学フリマ東京の詳細については、リンク先からご確認ください。
さて、当日販売する同人誌は2冊です。
そのうちの一冊、『デブリの星』に収録されている掌編(10〜20枚程度)の冒頭を公開します。ひとつの作品あたり150字くらいなので、すぐ読める……!
ではでは、どうぞ。
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デブリの星
デブリは今日もいじめられていた。
窓の外の夕焼けくらい真っ赤に熟したトマトが、あるものは半壊し、あるものはピューレ寸前の姿で教室中に散らばっている。それはさながらトマトの海だ。青臭い空気が鼻をつく中、弁当箱を開く。のり弁に卵焼き、ポテトサラダに冷凍コロッケ。そして赤ウインナー。着色料たっぷりのそれを僕が憎々しく思っていることを、僕の二番目の母さんは知らない。
僕と保地君の生きる道
まことに残念ながら、保地君は空気が読めない。
本人に悪気はないらしいが、何をするにも一言多い。いちいち嫌味で、いけすかない。多分、読書のしすぎで頭のいちばん大切な器官がショートしてしまったのだと思う。つまり保地くんには、生きるセンスというものがまったくもって欠けていた。
ハツカネズミの恋
私は毎夜、愛を祈る。
明日こそは私がこの世の誰かに愛されますように。そしていつかはこの祈りが、どこかで終わりを告げますように。つまりは私ってば、愛されたくて愛されたくってしょうがない。にもかかわらず、ちょっと不思議なくらい誰からも愛されないまま、この世に産み落とされて早二十四年が過ぎようとしている。
華子ちゃんの才能
遇然入ったラブホテルで、なんとなしにテレビのアダルトチャンネルを点けると、そこに華子ちゃんがいた。
出演していたAVのタイトルは、びっくり爆乳シリーズエピソードⅣ。そんなテロップの後ろで揺れる華子ちゃんのおっぱいは、爆乳と呼ぶにはあまりに貧相すぎて、それがいちばんびっくりだ。
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以上です。
同人誌『デブリの星』は5月19日(日)東京流通センターで開催される 文学フリマ東京 で販売します。ブースの場所は第一展示場 Z01〜02。出店名は「ミモザブックス」です。
今回、印刷・製本・ブックデザインともに全部自分でやってみたのですが(表紙のホワイト印刷だけは自宅プリンタではできなかったので、印刷所に依頼しました)、感想としては「本って作るのってめちゃくちゃ大変!!!!!」でした。手間もかかるしお金もかかる。
手間暇かけてできあがった本はかわいくてかわいくて、この世でいちばんこの子がかわいい!!!!みんな見て、かわいいかわいいうちの子を……!という気持ちです。
通販もしたいところですが、まだ何も調べられてません。
がんばります。
Webカタログ(出店者情報)はこちら
お知らせは随時Twitter(X)にて
(もう一冊の『テレパシーはいらない』、試し読みのお知らせで収録作のタイトルを間違えるという痛恨のミス)
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