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なごり雪 [短編小説]

なごり雪 [短編小説]

 雪が降ると、初めて恋人として深くつき合った加藤俊輔のことを思い出してしまう。彼がよく連れて行ってくれた都心のビルの36階のレストランから、一緒に雪景色を眺めた日。雪が下へと落ちていく光景を二人で見つめながら、初めて人の目を気にせずにキスをした。
 ずっと年上の男だった。私は大学を卒業したばかり。4月になれば社会人として働かなければならない。そんな、学生として最後の春休みを俊輔と過ごしていた最中に

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