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生還

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楽観主義の私が大腸癌サバイバーになりました。この経験は書いておかなければもったいない!とメモしていたものをまとめています。単なる記録ではありますが、人工肛門や抗がん剤、手術など、…
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生還5

生還5

新しい機能

さて、思った以上に美味しく重湯をいただき、私のストーマも活動を始めます。無事に任務を果たしてくれるのでしょうか。ド文系な私は想像するわけです、一本の水道管を。地中に埋められた一本の水道管。それを途中でぶった切り、下流側の切り口は閉じ、上流側は地上に引っ張り出して袋をかぶせておく――それが私の、ストーマ造設手術のイメージです。こういう風に書いてみるとストーマが機能する理屈も分かります。

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生還4

生還4

初体験の「手術後」

ストーマ造設手術が終わった後、夜になってからが大変でした。全身が痛いのです。なんとも皮肉なことに、一番楽なのが手術した箇所の傷。じゃあどこが痛いかというと、背中、腰、そして元々痛かった腫瘍の部分です。これらはすべて、身動きできないことが原因でした。
手術前に血栓予防のため、弾性ストッキングを履き、フットポンプをつけていましたが、その上からさらに電気毛布がかけられています。手術

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生還3

生還3

手術室の扉のむこう

私に示された「生きるためのプログラム~外科編」の概要はこうです。
ステップ1:人工肛門造設
ステップ2:術前化学療法
ステップ3:横行結腸切除
大腸内視鏡検査の結果が相当悪ければ、一気にステップ3の緊急手術になるかもしれない、その場合はほぼ確実に人工肛門(永久的な結腸ストーマ)になる、と言われていました。しかし幸いにも、手順を踏んで準備する余裕はありそうだ、ということで改めて

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生還2

生還2

生きるためのプログラム

一ヶ月間悩まされた腹部の痛みは、主に左側半分で起きていて、時には下わき腹が絞られるような感覚に襲われることもありました。しかし、病変は中央上腹部に見つかったのです。確かに、みぞおちのやや下あたりにも痛みはあり、張るような感じはしたものの、こちらはむしろ後から加わった症状のように思っていたので意外でした。
消化器内科で私の主治医となってくださったK先生からは、エコー、CT、

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生還1

生還1

覚悟した日の海

食べ物を選ぶとき、まず気にするのがカロリー! そう、できる限り少ないカロリーで栄養バランスを整えて……、というのが、これまでずっと私にとって当たり前の基準でした。でも、今私が選ぶのは「できる限り効率よく高カロリーを摂れる食品」。中々馴染めなくて、スーパーでもついつい低カロリーな商品を探してしまい、「違う違う」と、ひとりノリツッコミみたいなことをしています。
なぜ、私が今高カロリー

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