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流し・ウィンドスプリント のすゝめ(ランニングについて)

今日は陸上部出身なら必ず知ってる「流し」についてです。英語では「ウィンドスプリント」、なんかカッコいい名前ですね。実際、ちゃんとできると結構カッコいいと思います。また、コツを習得すれば見かけほど辛い練習ではないので、私は一番好きなメニューかもしれないです。

流しとは何か

流し・ウィンドスプリントとは、短い距離を軽く・流す感じで、でもそれなりのスピードでざっと走る事です。全力で走るのではなく、リラックスした力みのない状態のまま、全速力の6割くらいの力で8割くらいのスピードで走るイメージです。距離は、色々な距離でできるのですが、まぁ50メートルくらいが良いと思います。というのは、それなりのスピードで走るので長くなるとキツイですし、かといって短すぎると ある程度のスピードまで加速するのに初心者はそれなりに時間がかかるので、適当なスピード(8割くらい)まで上がる前に終わってしまうからです。適当なスピードに上がり、そのスピード感覚を感じながら少し走ってすぐ止めてしまう、くらいでちょうど良いと思います。キツくなる前に止める感じです。
(もっと長い距離でやる人もたくさんいます。陸上部出身の私は基本100メートルで行います。長距離強豪校では200メートルとか、もっと長い距離での流しもやるみたいです。それは、その距離の流しに慣れているからと、トレーニングの蓄積によって可能になっているものなので、これまでやってきていない人は真似しなくても良いと思います。)

流しの極意

流しのメリットとか意味とかを説明する前に、先に流しの極意を語ってしまおうと思います。というのは、流しというのは、体得してもらうのが一番良いと思うので。ある程度コツを掴めたら、その気持ちよさからどんどんやりたくなると思いますし、その感覚は長い距離を走る時にも必ず役立ちますので。

極意1:頑張らない

速く走るって、歯を食いしばり腕を懸命に振って頑張って頑張って走る、と思っている人は多いと思います。しかし流しではそれは禁物です。力まず、歯を食いしばらず、にこやかに、頑張らずに走れる最大スピードで走るのが「流し」です。
(流しって、頑張らずに適当にやり過ごすって言葉のイメージだと思います。だから私はウィンドスプリントというカッコいい名前より、流しと呼ぶ方が極意に近づくので良いと思っています。)

極意2:フォームの力で走る

流しでは、力で走るのではありません。良いランニングフォームを作り、そのフォームの力で走る、というイメージです。力はフォームを維持するために、そのためだけに使うと考えます。
そのように考える事で、極意1の力みを減らし、なおかつスピードを保った走るができると思います。

極意3:大きく走る

普段はピッチ走法で走っている人も、流しの時は、なるべくゆったりとしたイメージでストライドを大きく走りましょう。ランニングの動きを大きく、大げさに行います。

おまけの極意:ランニングドリルでランニングフォームをしっかり作る

フォームの力で走るので、それだけ良いランニングフォームで走る事が重要です。そのため、ランニングドリルをしっかりやって、速く走る動きを身につける事が何より重要です。

流しのメリット

流しには多くのメリットがあります。順に述べていきましょう。

スピード能力が上がる

流しのスピードが、長距離を走る時のスピードの最大値を決めます。というのは、頑張ったり力んだりすると長い距離は走れないから。
良くスピードトレーニングと言って、インターバルトレーニングやレペテーショントレーニングなどを行うのですが、あれはスピード能力を上げるトレーニングではなく、スピード持久力(速いスピードをある程度の間保つ能力)を上げるトレーニングなんです。スピードの絶対値を上げようとするならば、ランニングの動き(フォーム)を改善しないと上げる事はできません。それは、流しのスピードを上げる事で、できるようになるのです。(より正確に言うと、ランニングドリルで練習して改善した一つ一つの動きを流しで統合していく、というイメージです。)

ランニングフォームの改善

また、「流しでフォームを作る」というイメージで練習する事で、ランニングフォームの改善になります。
流しでは、ランニングの動きを大きく、少し大げさ気味に行います。それを実際に長い距離を走る時には、幾分か小さくして走ることになります。小さな動きは、大きな動きができたなら、それを小さくするだけなので易しいですし、より小さな力で行う事ができるのです。

リラックスして走るコツが掴める

長距離を走るためには、なるべく無駄な力を使わず、力まずリラックスして走りたいのです。そのコツが、流しで掴めると思います。
流しで、頑張らなくても力まなくてもスピードを出せるコツが掴めたなら、それよりゆっくりなら、もっと力を入れなくても走れるはずです。

ランニングエコノミーの改善

これらの結果として、ランニングエコノミーが改善されると思います。
ランニングエコノミーとは、和語に直すと「走りの経済性」になります。つまりいかに効率良く走るか、の指標で、長距離をより速く走るために重視されているものです。それは、いかに無駄な力を出さずにスピードを上げて走れるか、な訳で、ここまで述べてきた事ができれば、自然と改善しているものと言えるでしょう。

ラストスパートが速くなる

あと、競走をやる人なら、ラストスパートが速いのにあこがれる部分はあると思います。流しをしっかりやっていると、ラストスパートも速くなります。
流しは力まずに出せる最大スピードです。なので、長距離を走っていて疲れ切っていても、その最後だけならちょっと切り替えて出せるスピードになる訳です。つまり、最後の最後に切り替えて流しのつもりで走れば、それがラストスパートになります。なので、流しが速くなれば、ラストスパートも速くなる訳です。
(私は、職場で駅伝に出たりとかもあったりするのですが、その際のラストスパートではほぼ負け知らずです。10メートルくらいまでの差だったら逆転可能です。)

風を切って走ろう

流し・ウィンドスプリントで、速いスピードで走るのは気持ち良いものです。しかも頑張らずリラックししているため、風を切って走る、その風を感じる余裕があると思います。その気持ちよさこそが、ランニングの一番の気持ちよさなんじゃないか、と思います。
ランニングを趣味としているのなら、是非ともその気持ちよさを味わってもらいたいと思います。(そうすると、苦しい練習を越えて習慣化とか、考える必要がなくなります。だって気持ち良くてやりたくて仕方なくなりますから。)

でも、そのためには、ストレッチランニングドリルをたっぷりやりましょうね。


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