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帰り道のサンドイッチ

保育園からの帰り道、ときどき子どもたちとするゲームがある。

「サンドイッチ」とわたしがお題を出すと、息子が「チョコ、バナナ」と答える。わたしが「あぁ〜いいねえ間違いないねえ」と答えながら、続いて「チーズ、生ハム、柿」と言うと、今度は娘から「あまじょっぱ〜」と返ってくる。

「いちご、生クリーム、あんこ」「きたーー」
「ツナ、マヨネーズ、きゅうり」「そうそう」
「チョコ、生クリーム、イチゴジャム」「アリやな!」
「たまご、焼き鳥、マヨネーズ」「絶対おいしい!」
「チョコ、生クリーム、メープルシロップ」「甘いーーー!」

つまりは互いに、「これぞ!」というサンドイッチの具をひたすらに言い合うだけのゲームなのだが、これが意外と楽しい。

盛り上がるポイントは、どんな組み合わせでも否定せず、うんうんとおもしろがること。そして、自分のも相手のも、「おいしそう〜!」と全力で食べたい気持ちをオープンにすること(ちなみに具材を読み上げるときは、少しかしこまった声で、ひとつひとつをゆっくり、特に決め手となる3品目あたりはちょっと溜めて「どうだ!」という感じで発表し合うと、さらに盛り上がる)。
無論、4歳男児の提案する組み合わせは、ギョッとすることも多いけれど、これがなかなかおもしろく、ハッとするものも飛び出すからあなどれない。

昨日の帰りは、ずいぶん冷え込んだ。

「肉まん食べたいねぇ」
「あんまんもいいねぇ」
「じゃあ、今度つくるのもいいよね」
「つくるならチョコまんは?」
「だったらそこにマーマレードちょっと入れたくない?」
「焼き鳥まんはどうかな」
「間違いない、マヨも足そう」

そんな感じでどんどん広がり、気づけばまた、「ハンバーグ!」「くりあんとバター!」「唐揚げ!」「焼き芋と生クリーム!」「みたらし団子まん!」と、延々と肉まん合戦が繰り広げられ、親子で大笑いしながら帰った。

なにも食べていないし、なにも見ていない。ただただ想像の世界を交換し合うだけなのに、驚くほどほかほかの気持ちになれる。インスタにも載せないし、人にわざわざ話すこともない。誰の家にもあって、でもうちにしかない。そんな名もなき遊びのはなし。


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