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微差は大差と誰かが言っていた

期待のルーキーがデビューした。といっても、甲子園のヒーローや金の卵のドラフト1位ではない。大卒社会人の25歳。ドラフト4位の外野手・塩見泰隆だ。

この日二軍の試合が行われていた西武第2球場から直行し神宮に乗り込んできた。ベンチ要員ではない。スタメン起用、それも「5番・右翼」と主力扱いの打順だ。

1回の表に守備についた塩見は西日に慣れないのか、ずっと手でひさしを作っていた。今の時期のナイターは18時半頃までちょっと危ないかもしれないな、なんて考えている間に広島打線は1点を奪っていく。それもうちのエース・小川に30球を投げさせて。

今年というより、後半戦に固定された坂口、青木、山田の打順は1点のビハインドに怯むことはない。3連打で1点を返し、その後ものダブルスチールを経てさらに1点を奪い逆転に成功した。

ジョンソンに小川以上の32球を投げさせるおまけつき。

あ、塩見の第1打席はライトフライ。

1点のリードじゃ心細い。次の点が入った方に流れが傾くのでは? というおきまりのような展開。そこで点を取れないのが悔しいところ。4回に同点に追いつかれ、5回にも2死から走者を出す嫌な展開。ここで迎えるは丸佳浩。選球眼に長け1発もある、なんとも抑えるのがむつかしい言わずとしれた巧打者である。そこを小川は空振り三振に打ち取った。

そのチャートがこちら。全て外角。ストレートとチェンジアップの緩急をつけたみごとな投球。6球目のチェンジアップで丸のバットが止まったのは敵ながらさすが。やっぱり、いい打者だ。

6回には無死一、二塁からバティスタにフェンス直撃の二塁打を浴びて1点のビハインド。尚も無死二三塁とピンチは続く。

並の投手ならここで大量失点だ。でも、小川は違った。ここで後続を打ち取りなんとか最少失点に食い止める。これが、エースなんだと思う。失点しても、ピンチになってもバタバタしない。相手のジョンソンも同じような投球だったけど。

1点差だから勝ちパターンをつぎ込んだけど、近藤が8回に2被弾で4点のビハインド。ちょっと疲れてるのか。でも、その後を風張が抑えて9回の攻防へ。

この展開で投げるのは石山ではなく星。なんとか抑えた。というような投球内容。まだまだ、勝ちパターンは心許ない。風張りと一緒に楽な場面で結果を残し、「昇格試験」を受けて欲しいところ。

4点のビハインドで迎えた9回裏は守護神・中崎との対決。普通に考えれば勝ち目はない。でも、今年のヤクルトはひと味違う。谷内のタイムリーで1点を返し尚も坂口、青木、山田が続き、2死満塁で迎えるはバレンティン。

22時を回ったからアカペラでの夏祭り。応燕むなしく打ち取られたけど、あと一歩だった。これが、広島との違いなんだろう。どこかの監督が言っていた。「微差は大差」だと。

塩見は4打数ノーヒット。見たことないであろうジョンソンの変化球やフランスアのストレート。それを経験できただけでもよしとしよう。でも、大卒社会人の選手に時間はそう多くない。3年以内に1984年組からレギュラーを奪おう。

さて、接戦をモノにしないとやはり苦しい。勝ちパターンを消耗し、負けが続くのはブルペンの運用から見ても厳しいのは火を見るより明らか。70試合を超えるペースで投げてる中尾、近藤は大丈夫だろうか。

風張はここで結果を出さなきゃいけない立場だから、踏ん張りどき。やっぱり秋吉の復活が待たれるけど、戻ってくるのだろうか。彼が復調して戻ってくれば大きく変わるのだけれども。

ひさびさに「No1」が聞きたい。そう思った夜だった。


こちらサポートにコメントをつけられるようになっていたのですね。サポートを頂いた暁には歌集なりエッセイを購入しレビューさせて頂きます。