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雨は嫌いじゃない

雨のことは嫌いじゃない。雨には雨のよさがある、と思っているからだ。

当社調べによると多くの人は雨が嫌いだという。たしかに思い当たる理由はいくつもある。外に出かけるのがおっくうになる。予定が乱れる。傘を持って歩かなければならない。お気に入りの洋服が着られない。数え上げればキリがない。

社会人時代のぼくも同じようなことを思っていただろう。(今も社会人ではあるのだけれど)営業として様々なところを駆け回っていたときは本当に大変だった。ただでさえ重い荷物に傘、靴下、タオルなど晴れていれば不要なものを詰め込まなければならなかった、たいして大きくもない営業用のカバンに。

それが不思議とそう思わなくなった。年を取ったからなのかもしれないし、自分の力でコントロールできないことに不満を持ってもしょうがない、と考えるようになったからかもしれない。

人と会うときに雨だってそれはそれで思い出になる。「あのときも雨だったね」なんていいじゃないか。とさえ思う。

それくらい、ぼくは穏やかになった。ここ数年で。

だが、しかし、「雨がイヤだな」と思ってしまう瞬間がある。屋外での野球観戦予定日の雨だ。正確に言うと雨がイヤなのではない。試合が行われるのか否かがわからないのがイヤなのだ。

雨が降っている日の観戦は、晴れている日のソレとは大きく違う。傘を差すことはできず、ポンチョ(かっぱ)を羽織り、ずぶ濡れになりながら3時間あまりを過ごすのだ。ノートを取るのも一苦労。これらはイヤと言えばイヤだけれども野球を見ることで緩和されるから、イヤの理由にはならないのだ。

球場まで足を運んでからの試合中止ほど切ないものはない。これを避けたいのだ。モヤモヤした状態で向かう球場は気分を削がれてしまう。野球は屋外で見るのが気持ちいいけれども、日本の気候だとなかなかむつかしいよな。と感じる今日この頃。

あ、雨の中で行われた昨日の試合は完膚なきまでに叩きのめされたので試合中止でよかったのかもしれない。

人間とは往々にして勝手なものなのだ。

8月16日:ヤクルト(2-8)巨人

こちらサポートにコメントをつけられるようになっていたのですね。サポートを頂いた暁には歌集なりエッセイを購入しレビューさせて頂きます。