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今こそ知りたい! 食の芸術「創作かき氷」の神髄に迫る!!

 ウェザーニューズの2022年9月発表の調査によると、かき氷は気温34℃でアイスクリームの「人気」を超えるという。気候変動の影響もあるのか、ここ10年、凄まじいかき氷ブームが到来している。その中で台頭してきたのが、芸術的とさえ言える個性を持つ「創作かき氷」だ。季節を問わず多くのかき氷ファンが訪れる東京・東日本橋のDEMEKINを訪ね、取材した。


東京・東日本橋 DEMEKIN

 以前は1000円でも「高いかき氷」と言われていたが、今はこだわりの素材や芸術的な仕上がりから値段の幅が広がっており、1杯2000〜3000円は当たり前、3000円以上というケースもざらにある。UberEatsのような宅配サービスを導入した店舗もあれば、何とフレンチシェフや和食料理人の手がける店も登場している。ただ涼を取ったり味を楽しんだりするだけでなく、かき氷の「エンタメ性」が構築され、「食の芸術」として新たなジャンルを築いているのだ。
 そんな創作かき氷界でも異彩を放つ『DEMEKIN』(東京・東日本橋)を訪ね、素晴らしい「作品」を鑑賞・堪能しつつ、店主の中北レイラさんに話を聞いた。

かき氷を削るDEMEKIN店主 中北さん

「ここにしかない!」を味わう

 DEMEKINのオープンは2019年。昨年8月にリノベーションを経てリニューアルオープンした。カウンター席のみの、瀟洒で開放的な店内。北欧ブランドのチェアやイギリス人アーティストが手がける照明。板張りのカウンターからは、木のあたたかみが感じられる。和と洋の入り混じるこの先端的空間で、『もろ味噌プリン』を注文することにした。メニューを見て、かき氷とは思えないほど多種多様の材料が使われていることに、まず驚く。

(外)ミルク、キャラメル、西京味噌クリーム、コーンポタージュクリーム、コーンペースト、コーン、味噌クランブル

(中)トマトジャム、ほうれん草ルッコラ豆腐クリーム、コーンペースト

 字面を見るだけでも、よだれがじゅるるっと出てくる。いやしかし、ゴーラー(いわゆる、かき氷オタク)である筆者でこそ前のめりで注文するが、「結構攻めた構成だな」とも思う。だって、トマトジャムにほうれん草「ルッコラ」「豆腐」クリームという組み合わせは、普通の創作料理でもなかなかないのでは? と思うのだ。

オーダーは、キュートな注文票に書き込む方式
座席利用は30分制。砂時計を用いることでアトラクションのように楽しめる

 注文票に『もろ味噌プリン』と書き込んで待つこと5分弱。豪華な美しいお山が、香ばしい匂いを引き連れて「着氷」した。トップにはあふれんばかりに乗せられた(いや、もはやあふれているか)とうもろこしペーストと、見るからにザクザクな味噌クランブル。氷は濃密。まるで手で練り上げた彫刻のような趣がある。中北さんの職人芸によって、冷たいはずのかき氷に「命」が吹き込まれている。

 「ザクザクな食感が好きなので、自分のかき氷にも焼き菓子を入れることが多いです。今はパイが人気なので、ナポレオンパイ(※)などを入れることも多いですね」(中北さん)

 一つのかき氷に、2種類のフレーバーのクランブルを使うこともあるそうだ。多い時だと、メニュー4種類に対して7〜8種類のクランブルを用意することもあるとのこと。
 さて、『もろ味噌プリン』ははたしてどんな味だったのか。まずは一口。香ばしいバターのコク深さと、キャラメルのほろ苦い甘み、そしてコーンの晴れやかな味が口の中で出合う。その瞬間、頭のてっぺんから「幸せ!!」が稲妻のように落ちてくる感覚を味わえた。

芸術性は削り方にも。まさに職人技!

 幸せはさらに続く。DEMEKIN独特の「キュッ」としたまとまりの中で「ハワハワ」とでも形容すべき唯一無二の食感の氷を食べ進めると、突如、甘酸っぱいトマトジャムが顔を出すのだ。ほうれん草ルッコラ豆腐クリームは、まるで韓国式焼き肉のエゴマの葉のような、あるいはベトナムフォーのパクチーのような、そんな独特の「緑」の要素が、今まで筆者が持っていた初夏の味のイメージをガラリと変えてしまった。この衝撃こそが、「創作かき氷」の面白さなのである。

 DEMEKINでは、『ラムバナナ』や『アメチェパイ』などの数々の創作かき氷を、季節ごとに展開しているそうだ。ということは、冬でも楽しめるということだろうか? もはやこの店には34℃の壁は存在していないようだ。そして、「あ、これはDEMEKINのかき氷だな」と瞬間的に分かる圧倒的個性。まさにアーティストのなせる技である。食の芸術「創作かき氷」という新たなエンターテイメントを、ぜひ一度ご賞味あれ。


取材・文・レイアウト=大塚理紗子​​
写真提供=DEMEKIN

※編集部注:パイ生地にいちごとカスタードクリームを重ね、ナポレオンの帽子状に作ったパイ

DEMEKIN
東京都中央区日本橋横山町9−11
OPEN - 13pm-20pm(last order 20pm)
東京メトロ都営浅草線東日本橋駅B4出口から徒歩2分
東京メトロ都営新宿線馬喰横山駅B4出口から徒歩5分
JR総武草線浅草橋駅東口から徒歩7分
Instagram
demekin_kakigori

予約
https://www.tablecheck.com/ja/shops/demekinice/reserve

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