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WebMagazineタマガ

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多摩美術大学芸術学科フィールドワーク設計ゼミが発行しているウェブマガジンです。芸術関連のニュース、展覧会評、書評、美術館探訪記、美術家のインタビューなどアートにかかわる様々な記事…
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#美術館

どうしてもミュージアムを巡りたい!〜栃木・福島旅行記〜

 2022年8月、栃木県、福島県に旅行に行った。栃木県、福島県というとまず何を思い浮かべるだろうか。温泉、避暑地、いちご、ラーメン…。どれも楽しめそうだが、これらは一度置いておいて、今回の旅の中ではミュージアムや史跡をメインに巡った。いまこのレポを読んでいるあなたが、それぞれの施設に興味を持つきっかけになればうれしく思う。 那須テディベア・ミュージアム まず紹介したいのが、栃木県那須町にある那須テディベア・ミュージアムだ。駐車場から美術館入口へ向かう道では、たくさんの『とな

ZOKU SHINGOは楳図かずおのシン黙示録なのではないか

大阪・あべのハルカス美術館で開催中の「楳図かずお 大美術展」へ。一部撮影可だったので、会場写真を散りばめた。 筆者の頭の中で凄まじい記憶として残っている楳図の作品は、『漂流教室』だろうか。テレビ放映を途中から見てはまったのだが、原作が楳図かずおだと知り、魅力が増した。 怖いのに凝視してしまう。それが楳図の漫画だ。細部まで、とにかく描きこむ。だから、凝視せざるを得なくなるのだ。 この展覧会は回顧展ではない。メインの展示は27年ぶりの新作『ZOKU-SHINGO 小さなロボ

珠玉の藤田嗣治コレクション! 軽井沢安東美術館がまもなく開館

10月2日に開かれた軽井沢安東美術館開館記念展のプレス内覧会に参加した。(開館は10月8日13:00) 藤田嗣治(レオナール・フジタ)の作品ばかり150点を展示。珠玉のコレクションとはこのことではないだろうか。個人コレクションなので小ぶりな作品が多いが、逆に親しみが湧く。「自宅にお招きするような空間に!」というのがコンセプト。代表理事の安東泰志さんによると、さまざまに旅を重ねながらも戦後はフランスに帰化せざるをえなくなった藤田の紆余曲折の人生を自らの人生に重ね合わせて共感し

自然に囲まれたDIC川村記念美術館で「クリストとジャンヌ=クロード展」を見る

 8月も終わりに近づく頃、ふと今年の夏に思いを馳せた。現在も新型コロナウイルスの影響が続く中、休業している施設も多く、外出する機会が減ったという人も多い。不要不急とされるものから娯楽が除外されることに落胆を覚えた人も多いだろう。そこで一度都会の喧騒(けんそう)から離れ、美術に触れてみるのも悪くない。目的地は千葉県佐倉市のDIC川村記念美術館。終わりかけた夏の思い出づくりに、広大な自然の中ひっそりとたたずむ美術館はぴったりだった。  8月29日。京成佐倉駅から無料の送迎バスに

コロナ禍で変わる「ばえる」概念

美術館に「ばえる」という概念は何をもたらしているのか。オンラインメディアに造詣が深いキュレーターの四方幸子氏(キュレーター、批評家/多摩美術大学・東京造形大学客員教授)に聞いた。 本記事は、多摩美術大学芸術学科フィールドワーク設計ゼミが発行しているアート誌『Whooops!』Vol.29(2021年10月21日発行予定)P.10に掲載される同タイトルの記事のフルヴァージョンです。Whooops!誌からの問いに対して四方氏が答えるQA形式で記事を構成しております。 はじめに