【詩】返し縫い
日々は波縫いであるとしたら
時間を掬い取って感情を詩にしたり
その周囲とともに四角い枠を与えて
四角い枠で切り取る写真をとったり
日記にわざわざ書き留めたりすることは
返し抜いのようだ
今から少し過去に戻って、
過去の場所に糸を通す
もちろん過去に戻ることなどできない
時間というのは前にしか進まない
糸も針の刺す方向にしか進めない
今が針先を過去にむけその位置に糸を通すことで
他の部分より頑丈になった過去
あるいは、わっっと情動高ぶった時
波縫いの幅が凝縮されている
そこも頑丈になる
頑丈なところだからほつれにくい
ほつれなかったところを私は記憶と呼ぶ
私のなみ縫い
糸の持つ限りまで
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?