見出し画像

【税金Q&A】住宅ローン控除


<質問>住宅ローン控除が見直されたと聞きましたが ?


<答え>

 住宅ローン控除の「控除率」と控除を受けられる人の「所得要件」がともに引き下げられました。
 適用対象となる居住用住宅の要件についても見直されました。

◆ 制度のあらまし

 住宅ローン控除とは、
①個人(非居住者は2016年4月1日以後の住宅の取得等について適用)が、
借入金で一定の要件を満たす国内の居住用家屋の取得等または特定増改築等をして、
③これらの新築住宅等を年末まで引き続き居住の用に供している場合に、
 住宅借入金等特別控除額(=年末時点の住宅借入金残高 × 一定率)を、その年分の算出所得税額から控除できる制度です。
 所得税額から控除しきれない金額のうち一定額(上限あり)は、翌年の住民税額から控除されます。

 居住用家屋の取得等には、居住用家屋の新築、もしくは中古住宅の取得、または現在居住の用に供している住宅の特定の増改築、認定住宅等の新築等を含みます。

 死亡や災害の場合を除き、12月31日まで引き続き居住の用に供していない場合は適用を受けることはできません。ただし、転勤による単身赴任等で、 所得者本人は居住していないが同一生計の親族等が引き続き居住していれば適用されます。
 住宅ローン控除は、最初の年分(適用1年目)は、確定申告により適用を受けます。会社勤めの方は、その後の年分(適用2年目以降)については、年末調整で控除を受けることができます。

◆ 改正の内容(2022年以後居住分)

 2022年1月1日以後の居住分より、住宅ローン控除の控除率が0.7%(改正前:1%)に、適用対象者の所得要件が2,000万円以下(改正前:3,000万円以下)に引き下げられました。

 2021年に居住した場合と比較すると、
 「住宅借入金の年末残高(上限額あり)×0.3%」
各年の控除額が減少することとなります。
 借入金の年末残高が3,000万円なら9万円、2,000万円なら6万円の控除額減少となるので影響が大きいですね 💦

 現在の低金利では、住宅ローンの借入利率よりも控除率のほうが高いため逆ざやとなる(支払利息額よりも税額控除額が大きく儲かる)世帯が多い、といった会計検査院の指摘等を受けての改正です。

 そして2022年以後の居住分から、合計所得金額が2,000万円を超える人は住宅ローン控除制度の恩恵を受けられなくなりました。
 所得とは儲け(=収入-必要経費)を意味します。
 収入と所得は異なるので注意してください。

 所得税法は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得という合計10種類に所得を区分しています。それぞれの所得ごとに所得金額(儲け)を計算した後に、すべての所得を合計した金額が合計所得金額です。
 合計所得金額2,000万円超とは、かなり儲かっている人ということですね。
 ただ髙額の退職手当を受給したことで合計所得金額が2,000万円を超えて、その年は住宅ローン控除の適用がない、というケースなどもあり得ます。
  
 なお、所得税が天引きされる源泉徴収により課税完了とされる利子所得、遺族年金や失業給付などの非課税収入、確定申告をしないことを選択した上場株式の配当、譲渡益などは合計所得金額の計算に含まれまん。


 このほか改正により、中古住宅についての築年数要件(耐火住宅は25年、非耐火住宅は20年)が廃止され、1982年以後に建築された住宅が当制度の対象とされることとなります。

◆ 2022年に居住した場合の控除額

 住宅借入金により一定の要件を満たす国内の居住用家屋を取得し、2022年に居住した場合は、その居住年以後13年間(中古住宅は10年間)にわたり、
 「借入金の年末残高(上限額あり)×0.7%」
相当額を各年分の所得税額から控除できます。
 所得税額から控除しきれない金額は、翌年の住民税額から控除されます。(ただし所得税の課税総所得金額の5%を限度(上限97,500円)とします)

 控除額の計算における借入金の上限額は次のとおりです。
1.一般の新築・買取再販住宅
→ 3,000万円(中古住宅は2,000万円)
2.認定住宅(認定長期優良住宅と認定低炭素住宅) → 5,000万円
3.ZEH(ゼッチ、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準省エネ住宅
→  4,500万円
4.省エネ基準適合住宅 → 4,000万円

 上記1の一般の新築・買取再販住宅が中古住宅である場合は、借入金の上限は2,000万円、控除期間は10年間となります。
 買取再販住宅とは、中古住宅を宅地建物取引業者が、一定のリフォームにより良質化したうえで販売する住宅をいいます。

 上記2~4の認定住宅等(認定住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅)が中古住宅である場合は、借入金の上限は3,000万円、控除期間は10年間となります。
 ZEH水準省エネ住宅とは、快適な室内環境を保ちながら住宅の高断熱化と高効率設備による省エネルギーと太陽光発電等による創エネルギーにより、1年間の消費エネルギーが正味ゼロ以下となる住宅をいいます。
 省エネ基準適合住宅とは、断熱性および空調・給湯エネルギー消費量等において、一定の省エネ基準を満たす住宅をいいます。

 また本来、住宅ローン控除は床面積50㎡以上240㎡未満の家屋につき、本人の合計所得金額が2,000万円以下である年について適用されます。
 しかし、床面積40㎡以上50㎡未満である家屋で2023年12月31日以前に建築確認を受けた新築家屋等の取得については、合計所得金額が1,000万円以下である年に限り適用できます。

◆ 2024年以後の新築住宅は「省エネ基準適合」が要件化

 さらに新築住宅については、「省エネ基準適合」が要件化されました。
 2024年1月1日以後に建築確認を受ける家屋(登記簿上の建築日付が6月30日以前のものを除く)で登記簿上の建築日付が7月1日以降のもののうち一定の省エネ基準を満たさないものの新築等については、住宅ローン控除の適用を受けられなくなります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?