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焦った時、不安になった時

人はみんな穏やかに生きていきたいと思うものだ。

焦っているときや、不安を感じているときに気分がいい人間はいないだろう。

だからそんな状態に陥ったら、人は何とかしたいともがく。

不安や焦りに陥っているときというのは、過去や未来、これまで自分がやってきたこと、これから起こることの予測等々がごちゃまぜになって混乱している状態だ。

そんな混乱状態で、何とかしようと軌道修正をはかったところで、かえっておかしな方向へと行ってしまう確率が高い。

だから、まず最初にやるべきことは、そこから離れることである。

一番分かりやすいのが深呼吸だ。
あれは呼吸に意識を向けることで、混乱している思考から抜け出すためだからだ。

いかに「今」に集中できるかが大切なのだ。

座っている状態なら、手を膝の上に置いてみて、その際の手に伝わってくる感触に意識を持って行くのもいい。
手のひらに伝わってくる、皮膚の感触、骨の感触、体温などなど、観察できることはたくさんある。

たぶん、宗教の方面で、手を合わせて祈ったり、お経を唱えたりするのも、今この瞬間に集中するためのものなのだ。

いかに昔から、人は混乱する思考から抜け出すことに心を砕いていたかが分かる。

つまりそれだけ、人にとって大きな意味があるわけだ。

そしてこれは、特別な場所で特別な修行をする必要はなく、日常生活の中でいつでも実践できることである。

手に持っている物の感触、立っている時の足の裏の感触、肌に触れる服の感触、

自分の体を使えば、いつでも「今」に意識を向けることができる。

今に意識が向いているとき、人は過去や未来から離れることができる。

嵐で荒れ狂った海を一瞬にして穏やかな水面に変えることができるのだ。

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