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道を見つける場、Dojo。

映画、ベストキッド。

原題はKARATE KIDであり、エンターテインメント作品としてもちろん楽しめるが、教育、哲学、思想、東洋と西洋、暴力性、精神性など様々なテーマが内包された、非常に奥行きのある名作である。

この映画にはふたつの対照的な「道場」が出てくる。

ひとつはコブラ会。とにかく勝利至上主義の道場で、

「no mercy(情け無用)」

を合言葉に道場生達は日々近代的な道場で汗を流す。コブラ会の指導者はカリスマ的強さを誇り、生徒たちは指導者に憧れている。

コブラ会のカラテはまさに「強さこそ正義」であり、弱さは否定され、勝つためには反則も辞さない。生徒たちはそんな指導者を模倣する。生徒はみんなコピーみたいに見える。


もうひとつは主人公ダニエルが師事したミヤギの道場。といっても、ミヤギにはいわゆる建物としての「道場」がない。ダニエルは、ミヤギに言われた通り、車を洗ったり、ペンキを塗ったり、盆栽に美を見出だしたり・・・。

「こんなのでホントに強くなれるのだろうか?」「もっと殴ったり蹴ったりの練習のほうが近道なんじゃないか?」と観てるこちら側が心配になるくらい、練習らしい練習はない。

 しかし、ダニエルは、何気ない日々の生活の中に「カラテ」を見つけていく。自らの動きの中に強さがあることを理解していく。ミヤギはダニエルに自分のカラテを押し付けず、ダニエル本来の強さをまるで盆栽のように丁寧に引き出していく。防御、つまり身を護る技術を主軸に。

このようにコブラ会の攻撃のカラテと、ミヤギの護りのカラテが、まるで闇と光、黒と白のコントラストのように描かれる。

映画を最後まで観れば、誰もがミヤギのカラテに憧れるだろう。人間である以上、コブラ会のカラテになってしまう危うさをもっているからこそ、余計に。

だからこそ、ここでミヤギのカラテ、つまり「人間としての強さを求めるカラテ」を、日々の生活や活動、人との関わりの中で、見つけてみよう、と思った。

ひとりひとりが己の強さを磨き、お互いの可能性を高め合い、強さを引き出しあう。より良く生きるために、本来の意味での「道場」を、我々の手に取り戻したい。

A Place 2 Find Your Way. あなたの道を見つける場。

これからの道場の「再定義」として。

そんな流れの中、2023.1.27、「強さとは何か?」について、読者の皆さんとオンラインでディスカッションを繰り広げてみた。

麻酔科医、演出家、国際政治記者、宗教家、ゲームクリエイター、競輪選手、編集者、歯科医、武道指導者、音楽家・・・多種多様な人たちがオンラインで繋がった。

舞台はそれぞれ違うから、求める強さもそれぞれ違う。だが、今よりも少しでも強くなりたい、その想いはみんな変わらない。そんな人たちによるディスカッション。盛り上がらないはずがない。専門家としての知見や人生経験を全体に投げ込みながら、そこから気づきや学びを得る。とてもエキサイティングな時間となった。

強さとは何か?我々ひとりひとりが1ミリでも強くなるためには、何をどうすればいいのか?暗中模索ではあるけれど、ミヤギのカラテという理想を心に置いて、光の方向に進んでみたい。

PS. 拙書『強さの磨き方』たくさんのご支援をありがとうございます!








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