見出し画像

鏡餅と腹筋

強そうなひとで強いひとはいる。優しそうなひとで優しいひともいる。
楽しそうなひとで楽しいひともいるし、面白そうなひとで面白いひともいる。でもね、偉そうなひとで偉いひとはいない。

前に、あるカラテの大会のゲストで呼ばれて、会場に着いたときのこと。いわゆる大会本部というのかな、お偉方が座っているような場所に通された。そこにいた多くの方が、元気いっぱいに挨拶してくださって。流石、武道家だな、って僕は感心してた。

そしたら、初めて会うある師範らしき人が、僕の肩を大袈裟にビシバシ叩きながら、周りに聞こえるくらい大きな声で

「おう、今日、頑張れよ!しっかりやれよ!」

とマウント的パフォーマンスをした。「なんじゃこいつ」と思ったが、周囲も注視してる状況だ。

「オス、ありがとうございます」

と笑顔で返しておいた。僕もゲストで呼ばれているし、事を荒立ててもその場で何も得ることはない。いちおうそれなりにイメージもあるので、敬語で対応しておいた。

この状況をとても気にしたのは、僕のことを古くから知る仲間たちだった。

「よく我慢したね、一瞬イラっとしてたの、わかったよ」

「わかった?あははは。大丈夫大丈夫。カッコつけたかったんでしょ。いつかこのこと、何かに書くからさ」

「それなら良かった。たのしみだ、お~す」

「お~す」

そんなやりとりがあって、その「いつか」がやってきた。それは今日だ。なぜ今日か?買い物に行ったとき、「鏡餅」をみて、そのことが突然フラッシュバックしたからだ。せっかくなので手紙形式で書いてみようと思う。

ーーーーー
鏡餅師範様

数年前の大会会場では、ご自身のパフォーマンスに初対面の私をフィーチャーしてくださりありがとうございました。かなり驚きました。

あの直後「Dr.Fは〇〇師範とお知り合いなんですか?」と他の方々に次々に聞かれましたので、「名前も顔も知りません。今日初めてお会いしました。誰ですか?あの方?」と逆に質問させていただいたことをご報告させていただきます。

これは随分と余計なお世話で、失礼なお話ですけれど、空手家を名乗られる以上、もうすこし腹囲をお絞りいただきまして、世の中の空手、および武道のパブリックイメージの向上に寄与していただきたく存じます。

「空手を知らず、あなたを知っている人たち」にとっては、「空手=あなた100%」です。空手の技に「体重」というのはありませんので、ぜひとも前向きにご検討をよろしくお願いいたします。せめて動ける身体を。

まだまだ寒い日が続きますので、どうぞお身体にはお気をつけください。

ーーーーー
と、ここまで書いてみたが、かくいう僕も気づかないうちに偉そうになってしまうことがあるだろう。そういう意味では自戒のきっかけになったと言えるかもしれない。

いつのまにか偉そうにならないように。もしそのようになりそうな兆候があったら、遠慮なく指摘して欲しい。僕は距離の近い仲間にはそのように伝えている。知らないうちにそうなってる、って怖いから。

強そうなひとで強いひとはいる。優しそうなひとで優しいひともいる。
楽しそうなひとで楽しいひともいるし、面白そうなひとで面白いひともいる。でもね、偉そうなひとで偉いひとはいない。

もう一度、自分で書いて、自分に読ませる。

そして、しっかり腹筋します、おす!










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?