見出し画像

3‐3 言語化できる学習/言語化できない学習

 それでは「言語化できる学習」と「言語化できない学習」には、その習得の過程においてどのような違いがあるでしょうか?

意識できる、意識できない(顕在意識、潜在意識)


 言語化できる学習は、記憶するときに顕在意識でとらえることができます。「何もせずに2次方程式を理解した」「朝起きたら突然、安土桃山時代に異常に詳しくなっていた」「一度も観たことない映画のセリフを全て暗記していた」ということが無いように、どこかで、情報に触れる、情報に向かう、内容を理解する、記憶する、そういった瞬間があります。

 これに対し、言語化できない学習は、「潜在意識下で進むため顕在意識で捉えにくい」という特徴があります。初めて自転車に乗ったとき、最初は全身ガチガチに緊張した状態で、動きもぎこちなかったと思いますが、それでも乗り続けていると、無駄な力が抜けていたり、スピードが速くなっていたりします。スマホやPCの操作でも、車の運転でも、調理器具を使っての料理でも、スポーツの技術や楽器の演奏技術でも、やっているうちに「いつの間にかできるようになっていた」感覚を伴います。


正しさの足し算、余計の引き算(長期増強、長期抑制)

 「言語化できる学習」は、脳では長期増強と呼ばれるシステムが働いていると考えられています。長期増強においてはニューロン同士が近接しているシナプスで、神経伝達物質が放出された際にそれを受け取る「受容体」の数が増えます。受容体が増えれば、情報伝達はより早く、スムーズになります。ですから繰り返せば繰り返すほど、より強固なネットワークが形成されるわけですね。1+1=2が理解できれば、1+2(=1+1+1)=3に到達できるように、正しさを足し算で積み上げるのが言語化できる学習です。

 一方、「言語化できない学習」は長期抑制というシステムで行われると考えられています。言語化できない学習とは、目的の運動を邪魔する運動指令を減らしていく作業です。長期抑制では、シナプスにおいて「受容体」の数が減り、シナプス間の伝達が少なくなっていきます。石や氷柱から彫刻を取り出すように、余計な動きの引き算でシンプルにするのが言語化できない学習です。(可能性にアクセスするパフォーマンス医学より)

パフォーマンス医学、公開中





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?